掛け合いの中でつかんだ、カオルのあり方、須堂との対照性│アニメ『AIの遺電子』カオル役・高森奈津美さんインタビュー【連載第5回】

ネコちゃんが配膳してくれるくらいがちょうどいいのかも（笑）

――第10話のカオルとMICHIのやりとりを見ると、物語が大きく動きそうな予感がしました。

高森：常に須堂さんが“潤滑油”として物語を動かしてきましたが、カオルとMICHIのやりとりを見ればわかるとおり、ここから須堂さんの物語が動き出していきます。ただ、MICHIの提案が本当に須堂さんにとっていいことなのかどうかわからないという絶妙な描き方をされているので、最後までしっかり見守っていただきたいです。

――その須堂について、高森さんご自身はどのようにご覧になっていますか？

高森：淡々としているけれど、どこか温かくて、情熱もある人だなと思いました。ヒューマノイドに対してとにかく親身ですし、ロボットに心があるかどうかはわからないけれど、それはそれとしてロボットとの関係に悩むヒト、ヒューマノイドの力になりたいと考えている。医者として真面目ですし、本当にいい人なんだなと思いました。

――須堂とリサの関係性はいかがですか？

高森：一見するとリサちゃんがヒトで、須堂さんがヒューマノイドなのでは？と思ってしまいますよね。もちろんヒューマノイドにもちゃんと性格や感情がありますが、そう感じてしまうくらいリサちゃんに人間味があるのが面白いです。

――恋する感じがまたかわいらしいですよね。

高森：やきもちを焼いて、人間のように悩んで……。須堂さんと付き合いの長いカオルからすれば“ぽっと出”のリサちゃんだと思うんですが（笑）、初対面のカオルがいきなりからかってしまうくらい、好意が溢れていたのかなって。そういうところが本当にかわいいなと思います。

――ここまで振り返られて、特に印象に残っているエピソードやキャラクターを教えてください。

高森：第3話のポッポちゃんのお話は、最初はホラー回かなと思ったんです。表情のアップから次のカットに切り替わる演出が多かったので、どこを見ているのか、何を思っているのかわからない怖さがあって（笑）。もしかしたらホラーといえばクマのぬいぐるみという刷り込みがあったからかもしれませんけど……。

――ロボットやAIに感情があるのかないのかわからないところは、とても面白いところであり、考えさせられるところでもありますよね。

高森：そうなんです。海を見たときのポッポちゃんの反応も「どっちなの!?」って思いますし、最後に誰かのマンションに行ったジョー君も今までのジョー君と一緒なのかどうかわからないので。ジョー君に“復活の呪文”があるということは、どこかにデータが残っていて、ポッポちゃんがユキちゃんを思い出すみたいにシズカさんを思い出すこともあるのかな、なんて考えたりもしました。ただのハッピーエンドじゃないところが、考えさせられるところでもあり、面白いところだなと思います。

――ちなみに、本作のようなヒューマノイドとヒトが共存するような世界が現実になったとしたら？

高森：やっぱり最初は怖いと思ってしまう気がします。生活をしながらいろいろと疑ってしまいそうで……。本当にヒューマノイドは自分と同じように感情を持っているのか、ヒューマノイドの友達がいたとして相手は本当に仲がいいと思ってくれているのか。『AIの遺電子』の世界でもAIの指導を使わない学校があるくらいですし（第9話）、どうしても相手を疑ったり、グループが分かれたりするんじゃないかなと思ってしまいます。

そういう意味では、ネコちゃんが配膳してくれるくらいがちょうどいいのかも（笑）。壁に引っかかって動けなくなっているくらいがかわいいのかなって。

――確かにネコ型配膳ロボットやお掃除ロボットにヘルプを求められるくらいが、関係としてはいいのかもしれませんね。

高森：人間と変わらないAIが誕生したら倫理観も変わっていくと思いますし、共存までのハードルがかなり高いんじゃないかなと思います。

――では最後に、第11話以降の見どころを教えてください。

高森：注目は須堂さんとリサちゃんのやりとりです。二人の出会ったきっかけ、二人のこれからが描かれていくので、その関係性に改めて注目していただけたら嬉しいです。

TVアニメ『AIの遺電子』作品情報

放送・配信情報

2023年7月7日よりMBS・TBS・BS-TBS ”アニメイズム”枠ほかにて放送中！

■放送情報
MBS：毎週金曜日 25:53～
TBS：毎週金曜日 25:53～
BS-TBS：毎週金曜日 26:30～
AT-X：毎週日曜日 23:30～
【リピート放送】毎週木曜日 29:30～ / 毎週日曜日 8:30～
RKK：毎週金曜日 26:23～

■配信情報
U-NEXT、アニメ放題、dアニメストアほか、各配信サイトでも配信中！

・7月7日より毎週金曜日26:25～配信開始
U-NEXT・アニメ放題

・7月11日より毎週火曜日24:00～配信開始
dアニメストア

・7月14日より毎週金曜日22:00以降順次配信開始
ABEMA・Amazon Prime Video・DMM TV・Hulu・FOD
バンダイチャンネル・ニコニコチャンネル・MBS動画イズム
TVer・Lemino・WOWOWオンデマンド・クランクイン！ビデオ
Google Play・J:COMオンデマンド・auスマートパスプレミアム
TELASA・milplus(みるプラス)・HAPPY！動画
　

イントロダクション

これは、私たちの未来の物語――。

21世紀に始まったAIの圧倒的な進歩は、社会の発展に寄与する一方、高い知性を持つ機械を道具として使う是非を、人類に突きつけた。

そして22世紀後半。
人々は「産業AI」とは別格の存在として、人権を持った「ヒューマノイド」を当たり前に受け入れ、共に暮らしている。

須堂光は、ヒューマノイドを治す新医科の医者として、ヒトとAIの共存がもたらす「新たな病」に向き合っていく。

時に、裏の顔も使いながら……。
　

キャスト

須堂光：大塚剛央
樋口リサ：宮本侑芽
ジェイ：岩中睦樹
カオル：高森奈津美
　

スタッフ

原作：山田胡瓜(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
監督：佐藤雄三
シリーズ構成・脚本：金月龍之介
キャラクターデザイン・総作画監督：土屋圭
サブキャラクターデザイン：尾崎智美
色彩設計：中内照美
美術設定監修：矢内京子
美術設定：田中涼
美術ボード：河野羚
撮影監督：畑中宏信(グラフィニカ)
モニターグラフィックス：加藤道哉(サイクロングラフィックス)
編集：塚常真理子
音楽：大間々昂、田渕夏海
音響監督：小泉紀介
音響効果：山谷尚人(サウンドボックス)
音楽プロデューサー：水田大介
音楽制作：日音
音響制作：Bit grooove promotion
アニメーション制作：マッドハウス
製作：AIの遺電子製作委員会2023
　