新たにつないだ手に宿るキセキ『映画プリキュアオールスターズF』OPテーマソング「For “F”」に込めた想いを石井あみさん、Machicoさんが熱く語り合う!
ふたりで踏み出す、歌の旅
──ふたりが映画で一緒に歌われることになった経緯も聞いても良いでしょうか?
Machico:私自身も気になってその意図をうかがったところ、『ひろプリ』と、私が担当させてもらっていたシリーズのプリキュアが一緒に活躍していくシーンで使われる曲です、ということでした。それで選んでいただいたんだなって。
楽曲自体、『ひろプリ』と“これから”が広がっていくかのような景色が見えるもので、かつ、仲間と出会えた喜びや、今後どんなことが起こっていくかのワクワクが詰まった曲で。私自身もあみちゃんとこれからどんな歌の旅がはじまるんだろう、って。
レコーディングは一人ずつなので、ハーモニーがどう重なっていくのかが楽しみでした。
──爽やかで、とても優しい曲になってますよね。
Machico:本当に。曲をいただくまでは「強い曲がくるのか、優しい曲がくるのか」想像がつかなかったんです。でも蓋を開けたら、優しくて、かわいらしさもあって。
『ヒープリ』の時は愛をイメージして、『トロプリ』の時は自分を信じて弾けて、『デパプリ』の時は身近にある幸せを感じて、みんなとシェアしていく……と、シリーズごとに歌い方のアプローチを変えてきました。
今回の楽曲には、これから歩いていくという未来感もあるので、自分らしく、未来を見据えた優しい声でアプローチできたらなと思いました。
──石井さんは曲を聴いたときにどのような印象がありましたか?
石井:とても爽やかな印象があり、私も何かがはじまるようなワクワク感を覚えました。20周年ということもあって今までに対して「ありがとう」の気持ちがありつつ「これからもよろしくね」という前向きなメッセージを感じるような、言葉とメロディがあって。表現のイメージが一気に膨らんで、レコーディングがとても待ち遠しかったです。
──では緊張はなく?
石井:もちろん緊張はあったんですけど、私にとってMachicoさんの存在は、ソラちゃんにとってのシャララ隊長なんです。ソラちゃんの気持ちがすごくわかります。だから「鍛錬!」とたくさん練習しましたし、自分のパワーを最大限に発揮して歌いたいなと思っていました。
それぞれの“F”を見つけながら聴いてくれるのかなって
──<イマカラ ココカラ 未来へ翔けつけよう すぐに!>という青木久美子先生ならではの素敵な言葉もあって。
Machico:これからへの新しい出会いを感じる言葉ですよね。
──『映画プリキュアオールスターズF』の“F”が何を意味するのか想像が膨らみますが、「For “F”」の歌詞の中にもFにまつわる言葉が出てきます。私は特に<For Friends>という言葉にグッとくるものがあって。
Machico:そうですね。<For Friends>の部分は前後の流れ的にも友だちに、を感じるもので。きっと映画のタイトルの“F”には、いろいろな意味が内包されていると思うんです。
この曲を聴いてくれる人もそれぞれの“F”を見つけながら聴いてくれるのかなと思ったら、頭文字だけで語ってくるのがおしゃれだなって。固定概念をあえて作らない。『プリキュア』はやっぱりすごいや、って思いました。
──作家陣の愛もすごいですよね。
Machico:本当に!よくこんな素敵な言葉を思いつくなあって!私には無理だ〜なんて思いました(笑)。私が先にレコーディングをしたんですけど、現場に青木先生も来てくださったんです。入れ替わりですぐあみちゃんが入って。
──同じ日だったんですね。
Machico:青木先生もすごく優しい方なので、ずっとニコニコしながら見守ってくれて。思い出として、青木先生、森(いづみ)先生、私とあみちゃんで記念写真を撮らせてもらいました。チーム感をひしひしと感じながらレコーディングできました。
──青木先生とは何かお話されました?
Machico:あの日は他愛もない話をたくさんさせていただきました。楽曲についてはお褒めをいただくばかりで。青木先生は感覚が常に新しくて、何にでも興味を持っている方なんです。歌詞も優しさにあふれていますが、青木先生自身の言葉も優しさと気品にあふれていて。私は一生手に入れられない雰囲気や言葉を持っている方だなという印象です。
──森先生は石井さんの事務所の先輩でもあるんですよね。
石井:そうです!森先生は褒めて伸ばしてくださる方で、レコーディングの現場もいつも温かく迎えてくださいます。私は森先生のメロディ感や曲の世界観がすごく好きで。一度聴いたら忘れられないメロディなんですよね。「For “F”」を聴いたときに「森先生節が炸裂してる!」と感激しました。
青木先生とはレコーディングの合間にお話をさせていただいたのですが、「『プリキュア』シリーズの曲で伝えたいことはいつも変わらないんだ」と教えていただきました。伝えたいことは変わらないけど、伝える言葉が毎回違って、前向きで元気で。それが本当にすごいなと思って、私もそれを歌で伝えたいと思いました。
──青木先生からは、「ひろがるスカイ!プリキュア 〜Hero Girls~」のレコーディングの時に「ふたりの奇跡だね」というお言葉をくれたんですよね。
石井:そうです!青木先生と六ツ見純代先生はご姉妹でオープニングとエンディングを担当されていて、私たち歌手もふたりで歌わせていただいていて。「“ふたり”というワードのキセキだね」ってお話をレコーディングのときにしてくださいました。
──今回もそれこそふたりの奇跡ですね。
痛みを共有するからこそ、関係が深まっていく
──Machicoさんは以前のインタビューで「プリキュアは次から次に難しい曲がくる。だからこそ成長をさせてもらえる」といったことをおっしゃっていて。たくさんお褒めの言葉をいただいたとのことでしたが、「For “F”」に関しては、どのような気持ちで挑まれたんでしょうか。
Machico:「For “F”」の場合は、歌うというよりも、セリフを言うようなアプローチで攻めたんです。だから難しさというよりかは、いかに明るい雰囲気や優しさを歌に乗せられるかってところを意識していました。
ただ、私のお気に入りのフレーズの<勝つためにきっと戦うんじゃなく>の<うん>のところが難しかったです。あそこで少し音が高くなるので、<うん>が埋もれてしまう。だからこそ<戦うんじゃなく>をきっちりと発音しながらメロディーをたどるのが難しくて、テイクごとに一か八かの気持ちで歌いました。でもここからはじまる3行の言葉が好きなんですよね。
──<勝つためにきっと戦うんじゃなく>(Machicoさんパート)、<怖れるキモチに負けたくないだけ>(石井さんパート)のあと、ふたりで<それでもホントは解り合えたら 笑い合えたらって思う>と一緒に歌う部分ですね。
Machico:そうです。<それでもホントは解り合えたら>……という部分は、プリキュアたちの想いを感じました。プリキュアたちはいつも敵が憎くて戦っているわけではなくて、解り合いたいからぶつかっていくというマインドなんですよね。敵だけでなく、プリキュアの仲間同士で時には心がすれ違ってしまうこともあるけど、痛みを共有するからこそ、関係が深まっていく。
人との関わり方、生き方をこの3行が教えてくれたように思います。だからより大切に歌いたかったんです。他の部分が明るくて前向きな分、自分の心情をここで吐露しているような雰囲気があったので、ここでギャップを見せられたら曲がより引き立つんじゃないかと。
──石井さんはどのような思いで歌われたのでしょうか。
石井:私は“自分をより解放して歌う”というところに重点を置いていました。伝えたい気持ちを自分が思っている以上に伝えて、やっと伝えられる曲なんじゃないかなって。言葉の重みやニュアンスを大事にしながら歌いました。
Machico:うんうん。
石井:もともと歌詞割りはもう決まっていて。私が歌う<ありがとうよりも深い キモチがあるって知った>という歌詞に関して、井上さんから「ここを石井さんにした理由はちゃんとあって……」とうかがって。
Machico:へえ!
──詳しく聞きたい、って、あ!
(ここで偶然井上音楽プロデューサーが通りがかり取材現場に入る)
一同:(驚)
Machico:……って、ちょうど良いタイミングで井上さんがいらっしゃった! 話しだしたタイミングで!
井上 洸氏(MarvelousInc.):えっ、どんな話をしていたんですか(笑)。
Machico:どんな話を井上さんがされていたか、教えてもらう瞬間でした。
石井:はい(笑)。<ありがとうよりも深い キモチがあるって知った>の部分について、「Machicoさんやプリキュアを通して出会った方々に対して、ありがとうよりも深い気持ちがあると思うから、それを存分に歌ってほしい」と。
私はもちろん皆さんに対して感謝の気持ちがあって、それを伝えたいとは常々思っていたんです。ただ最初はなかなかイメージができなくて。そのお話を聞く前は「正解が分からない」と思いながら歌っていました。
でも井上さんにそう言っていただいて、イメージがパッと膨らんで、Machicoさんや千颯ちゃん、『デパプリ』感謝祭でお世話になったキャストやシンガーの皆さん、スタッフさん、井上さんのお顔が浮かんで。しっかりと歌うことができました。
作品としての思いも、自分の思いも伝えたかった部分でした。
──そのあとMachicoさんの<こころの芯から温まる 笑顔に逢いたくなる>という言葉につながっていって。
Machico:私自身も常に思っていることです。あみちゃんに出会ったことで、私のシンガーとしての未来が広がったようにも思っています。
出会いの数だけ未来はひろがっていく。そのためにも、いつも笑顔で、みんなと一緒にいたいなと。ここでもバトンがつながっているのを感じましたね。