欠点や弱さも自分の一部だと思えた。“大人”になった富田美憂さんが踏み出す新たな一歩。デジタルシングル『Silent Beat』インタビュー
アーティストデビューしてからの4年間は“人生の本番”を歩んでいるような感覚
――ジャケット撮影も密着レポートという形で同行させていただきましたが、今回は色とりどりの花びらに囲まれたセットでの撮影でしたね。
富田:自分は「お花」や「儚い」という言葉とは無縁だと思っていたのですが(笑)。
――いやいや!
富田:これまではバキバキに作り込んだ衣装とセットで、MVやジャケ写を撮影することが多かったんです。でも今回は、明るさとともに、ピアノの音色に冷たい空気感や儚さ、切なさがある曲なので、それらの要素にフィーチャーしたジャケットを撮影することになりました。そんな中で、「お花や淡い色味の衣装にも挑戦してみますか?」というお話をいただいて。ビジュアル面でも新しさを追求できたと思うので、非常に新鮮でした。
――衣装も今までにないようなテイストで。
富田:今回のようにナチュラルな雰囲気の衣装は、あまりアーティスト活動では着ていなかったので、「こういう富田もありだな」と自分でも思いました。スタイリストさん、メイクさん、お父さん、お母さんありがとうって感じです。
――個人的に、撮影中の富田さんの顔つきが以前とはかなり変わっているなと感じました。
富田:ずっとパパ似の顔だったのですが、最近は母に顔が似てきた気がします(笑)。以前、地上波の番組に出演させていただいたのですが、母がお友達から「あんたに似てきてるよ」と連絡をもらったようです。『Present Moment』のときとは全然顔が違うと思うので、ぜひ見比べてみてください。
――改めて、5周年イヤーに突入する24歳はどんな年にしたいですか?
富田:これは毎年変わらないのですが、役者面ではいただいたお仕事と真摯に向き合っていきたいです。目標としては、一つ一つの仕事に100点を出していけたら、一番理想的だなと。仕事を作業にしたくないので、先を急ぐというよりは「いただいたものを丁寧に向き合っていけば、お仕事は来る」という母の教え通りに頑張っていきます。
今いただいている役もこれまでやってきたからこそ、任せていただけるものだと思うので、変わらず丁寧に演じたいです。23歳のうちにオーディションを受けて、24歳になってから演じるキャラクターもいるので、純粋に楽しみな気持ちもあります。
音楽活動の面でも「23歳の経験を存分に活かすぞ」という気持ちがありますし、インプットしたものをアウトプットする年にもなると思います。新曲を丸1年出していなかったので、ここ1年で培った経験やライブで色々な人から受けた刺激、自分のやりたい方向性やトライしてみたいものがあります。自分自身もこの5年目に入っていくという年をお祭りみたいに楽しみたいと思います。
――富田さんのSNSでは、5周年イヤーでは、2ndアルバム以外に「沢山のサプライズをお届けしていく」とのこと。ファンのみなさんは詳細が気になっているのではないでしょうか。
富田:まだ世に出ていない“何か”が出るかもしれないので、私のSNSをチェックして、待っていてほしいです。今回のジャケット写真も、これから起こり得る“サプライズ”に紐づいたものになっていることだけはお伝えしておきます。
例えば、周りに散らばっているお花はヒントかもしれません。発表された際に「なるほど! これと繋がっていたのか!」と思えるはずです。ぜひそわそわしながら待っていてほしいです。
――楽しみにしています。最後になりますが、富田さんにとって、アーティストデビュー、そして20代に入ってからの4年間はどのような時間でしたか?
富田:成人してからの4年間は……かなり大げさなのですが、“人生の本番”を歩んでいるような感覚でした。10代は学校に通いながらの活動だったので、意識的には本気で取り組んでいましたが、どこかアルバイトのような気持ちも無意識レベルで存在していたと思います。現場に行けば「学校どうなの?」と先輩が聞いてくださったので、周囲に甘えられる時期だったんです。
そして今、事務所に高校生の後輩がいるので、当時の先輩のような立場に自分がなろうと思っています。今まで先輩にしてきてもらって、自分が嬉しかったことを返すことが、今までお世話になってきた方々への恩返しにもなるのかなと。そういう意味で、10代の経験や20代からの4年間を経て、自分自身が“大人”になったと感じますし、声優・アーティストとして、ようやくみなさんの横に並べた気がしています。
――富田さんの考える“大人”って何でしょう?
富田:心に余裕があることです。声優のオーディションは、絶対に誰かが受かって、誰かが落ちるじゃないですか。数年前の自分には、それに対して嫉妬の気持ちがあったり、「なんで私はここにいられないんだろう」という不甲斐なさを感じて、焦っていたんです。「1クールに2、3本は仕事を取らなきゃ」とかなり生き急いでいました。
ただ、嫉妬や焦りがあるのは当たり前で、どの仕事でもそうだと思いますが、続けていきたいならそのマイナスの感情は自分の中で同居させなきゃいけない気持ちなんだと気付いて。
それからは「そういうものだ」と、あまり嫉妬もしなくなりました。逆に焦っているときの方が、仕事は来ないものだって分かったんですよ。なので、仕事が少ない時期は「インプットをしよう、趣味の時間を増やそう」と。普段なかなか会えない同級生と久しぶりに遊んだりすると楽しい気持ちが仕事にも乗ったりするんです。
そういう風に、全てがインプットになるから、マイナスに思える時間もプラスに変えられるようになりました。加えて、心に余裕が生まれてからは、より人に優しくできるようになった気がしています。それが大人になったということなのかもしれません。
[インタビュー・編集:鳥谷部宏平 文:小川いなり]
「Silent Beat」リリース情報
富田美憂 デジタルシングル「Silent Beat」
各サブスクリプションサービス等にて販売中
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