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個展「ゾドニスト2」開催記念 漫画家・三家本礼先生インタビュー

個展「ゾドニスト2」開催記念! 漫画家・三家本礼先生インタビュー|イラスト制作への想いや技術、25周年を迎えた『ゾンビ屋れい子』連載当時の思い出を語る1万字インタビュー!

『ゾンビ屋れい子』という漫画をご存じでしょうか?

『ゾンビ屋れい子』は、「ホラーM」(ぶんか社)にて1998年から連載スタート。

死んだ人間をゾンビとして蘇らせる力を持つ女子高生・姫園れい子の活躍を描き、個性溢れる魅力的なキャラクターと、ジェットコースターのように最終回まで突き進む激しいストーリー展開で、連載終了後も多くのファンの心を魅了し続けているアクションホラー漫画です。

そんな『ゾンビ屋れい子』は2023年で連載開始25周年。

それを記念して2023年12月21日~2024年1月21日まで、銀座のヴァニラ画廊にて個展「ゾドニスト2 -SHE IS YOUR BEST DYING FRIEND- ゾンビ屋れい子25th Anniversary」が開催されています。

アニメイトタイムズでは今回の個展に合わせて三家本礼先生の独占インタビューを実施。

個展の見どころや数々の美麗イラストの制作の裏側、25周年を迎えた『ゾンビ屋れい子』について約1万字で語って頂いたインタビューをお楽しみください!

 

今回は自分が納得するまで描き下ろしに時間を費やしました

──個展「ゾドニスト2 -SHE IS YOUR BEST DYING FRIEND- ゾンビ屋れい子25th Anniversary」開催おめでとうございます。2021年に続いて2回目の個展となりますが、どのような経緯で開催が決まったのでしょうか?

三家本礼さん(以下、三家本):ヴァニラ画廊さんから2回目の打診を頂いて「やりましょう」と話がまとまった形ですね。

前回はちょうどコロナ禍の真っ只中、県を跨いだ移動が自粛されていたタイミングだったので、展示に足を運ぶのが難しいお客様も多くいらっしゃいましたので、今回2回目は良いタイミングだったと思います。

──前回の初原画展「ゾドニスト~地獄は楽しい所だわ~」開催時の反応で、特に印象に残っているものはありますか?

三家本:やはり移動自粛期間だったのでネガティブな印象が先にきてしまうのですが、地方の方が個展を見に来たくても我慢せざるを得ないというのが申し訳ない気持ちはありました。

もちろん開催したことの良い面もあって、一般の方が生原稿を見て「ここでこういう技を使っているんだ」といった感想をくださったのは嬉しかったです。

──今回の個展に際して、先生はX(旧Twitter)でイラストの制作過程を公開されています。ここまで下絵やペン入れから彩色など細かく公開されている漫画家さんは珍しい気がします。

 

 
三家本:一般の商業作家さんだと、雑誌で発表する前にSNSで公開してしまうことは微妙な難しさがあると思います。

僕がXで制作過程を公開したものも、ヴァニラ画廊さんから細かい指示や依頼をいただいたわけではなく、割と自発的にこういうものを描こうと決めているパターンがほとんどなので、それもあって僕の場合はSNSで公開して良いのか否かを、あまり考えずに済んでいるというのはあります。

──Xで「2023年は一貫して『ゾンビ屋れい子』の絵を描き続ける日々でした」とポストされていましたが、2023年のほとんどを個展の準備期間に充てられたのでしょうか?

三家本:2023年いっぱいを今回の個展に向けて作品を描きためていました。その分、一点一点のイラストを急いで描かなくて良かったというのは、僕にとって大きなポイントでした。

商業誌の仕事であれば〆切を常に意識した仕事になりますが、今回は自分が納得するまで取り組んで良いという形だったので、やはり一点あたりの製作に日数をかけています。それで結果的にはほぼ1年を使った形になりました。

 

 

──今回の描き下ろしには先生が納得するまで時間を使われたとのことですが、描くキャラクターや構図などは全て先生が決められたのでしょうか?

三家本:特にこれを描いてくれみたいな指示はいただいていないです。全て自分でこのキャラを描こうとか、こういう絵にしようというのを決めています。

ヴァニラ画廊スタッフ:『ゾンビ屋れい子』の25周年ということで、それをテーマに先生が描かれていたのでスタッフもワクワクして作品が出来上がるのを楽しみにしていました。

三家本:今回は『ゾンビ屋れい子』に集中するというスタンスだったのですが、それは今回限りですね。他の作品にも光を当てることもできたのですが、今回は『ゾンビ屋れい子』が25周年ということなのでテーマを絞りました。

実際、前回の個展でも一番人気があったのは『ゾンビ屋れい子』でした。そこは謙虚に受け止めて、一人でも多くの方が喜んでくれることをしようと思い、このような形で展示を行う事になりました。

 

カーミラはキャラクターが一貫していないので描きにくいんですよ

 

──個人的な感想になりますが、描き下ろし絵はがきの中にラスボスのカーミラはいないですよね……。

三家本:あ~なるほど(笑)。それはですね、カーミラはキャラクターが一貫していないので描きにくいんです。

※編集注:カーミラ・エステバン…「魔女の石」に魂を宿した魔女。『ゾンビ屋れい子』9−11巻に登場するラスボス。「魔女の石」に魂を宿しており、劇中でも石を見た者に次々と乗り移っているためカーミラ本人の出演シーンは少ない

──ちなみに今回の描き下ろしイラストの中で特に苦労されたものはありますか?

三家本:ジャスミンの描き下ろし2点が特に緊張しました。僕は褐色の肌を塗るのが得意ではないのです。前回の個展でB4サイズのジャスミンを描き下ろそうとして、色塗りでしくじって1枚破棄しています。

しくじりは本当にその1枚だけで、アナログは何か間違えたら引き返せないので特に濃い色は難しいです。だから今回もかなり勇気を出しながら作品を描き進めていきました。

 

 

──今回の個展では描き下ろしイラスト以外にも、かなりの数の原画も展示されています。実際に会場で拝見してその量に圧倒されたのですが、展示する原画を選定したテーマなどはありますか?

三家本:それはヴァニラ画廊の担当さんにお任せしました。自分ではあまり客観的になれないので、ヴァニラ画廊さんに希望を選んでもらい、そこから話し合って決めました。大枠では各キャラクターの見せ場もしくは各ゾンビの初登場シーンの二つになるみたいです。

ヴァニラ画廊スタッフ:物販で販売しているカタログでは、先生にも各ゾンビに対する思いなどを書いていただいていているので、展示する原画もそれに合わせて選びました。

 

 

──作品に登場したゾンビが一覧になっていて、まさにカタログですね。

三家本:これでも全てのゾンビを掲載できたわけではないみたいですけど、ほぼ網羅しています。

──前回の初原画展にファンとしてお邪魔させていただいたのですが、じっくり原画を見ているとあっという間に時間が過ぎてしまいました。今回は特に『ゾンビ屋れい子』25周年ということで更に内容が凝縮されていると思いますが、先生の思う展示の「見どころ」を教えてください。

三家本:アナログでやっているとミスや手落ちが発生しがちです。それは本来は無ければ良いことではあると思うのですが、原画をお見せする場なので、あえてそういうところに注目してくれても良いと思います。

あと、最近はアナログで描かれる方が減ってきていると思うので、こんな原稿の作り方があるというのを見たり、知ってもらえたら良いと思います。

 

 

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