TVアニメ『ゆびさきと恋々』糸瀬雪役・諸星すみれさん&波岐逸臣役・宮崎遊さんインタビュー!|逸臣のカッコよさは生まれ持った天性の才能……外国語シーンの収録裏話も
2024年1月からTOKYO MXほかで放送開始となるTVアニメ『ゆびさきと恋々』。
本作は講談社「月刊デザート」で連載中の森下suu先生による漫画を原作としており、生まれつき聴覚障がいを持つ大学生の糸瀬雪と、雪の先輩である波岐逸臣を中心とした物語が描かれていきます。
アニメイトタイムズでは、放送に先駆け糸瀬雪役・諸星すみれさん&波岐逸臣役・宮崎遊さんへのインタビューを行いました。
諸星さんが音が聴こえない雪を演じる時に意識していることや、宮崎さんがオーディションの時に苦労した外国語に関する話題など、興味深い話題が次々と飛び出しました。また、おふたりが気に入っているキャラクターについても必読です。
ぜひ第1話視聴前にチェックしてみてはいかがでしょうか。
おふたりとも不思議とオーディションに受かるような感覚があった
――まずはオーディション時のエピソードや出演が決まった際の心境を教えてもらえますか?
糸瀬雪役・諸星すみれさん(以下、諸星):最初にテープオーディションがありました。その時は儚く可憐でおっとりとしているけれどちゃんと芯が通っている、そんな雪の生まれ持ったエネルギーを感じられるようなキャラクター像をイメージしてキャラクターを作りました。
そこからのスタジオオーディションでは、キャラクターの雰囲気は掴めているけれど、作中で描かれる恋愛を高校生ではなく大学生をイメージして描きたいとのディレクションがあったんです。
私的には等身大で演じたつもりだったのですが、今まで割と幼い印象を受けたり、子供らしさを感じるようなキャラクターを演じることが多かったので、もう少し大人にステップアップした感じで演じてほしかったようでした。
だからといって声のトーンやキャラクターの印象を大幅に変えることは必要ではなかったのですが、アフレコが始まる前から音響監督の菊田浩巳さんたちは「大学生の恋愛にしたい」とおっしゃっていたので、私もそこは大事にしています。
お互いの気持ちの伝え方とかが、やっぱり高校生とは少し違ってくるじゃないですか。まだ大人でもないけれど、高校生ほど子供でもない。その絶妙な空気感やニュアンスみたいなものを、意識して大事にしていきましょうという話があったことも覚えています。
――ありがとうございます。宮崎さんはいかがでしたか?
波岐逸臣役・宮崎遊さん(以下、宮崎):僕の時はテープオーディションはなくて、最初から監督の村野佑太さんをはじめとするスタッフ陣の前で、3〜4人の候補者とひとりずつ台詞を発していく形でした。後は逸臣のトリリンガルという設定から、「英語ができる」「出演が決まった際にドイツ語スクールに通うスケジュールが取れる」というふたつの条件があったんです。
学生の時に一時期バックパッカーをやっていたのですが、その時はじめて行ったタイであまり喋れなかったことから後悔があって。その経験から帰国生(※子女 )の友人に発音の仕方を教えてもらってようやく旅行ができるくらいのレベルにはなったのですが、事務所からオーディション募集に応募していいか聞かれた時は戸惑いました。
英語での演技については、実際に演じられる方が参考にするガイド音声のお仕事はやったことがあるのですが、ちゃんとしたお芝居の経験はこれまでなかったので。
オーディションでは、そんな実力で英語の台詞をその場で演じなければならず緊張しました。結局そこで上手に演じることはできなかったのですが、1次の時に普段のオーディションと違って「自分に決まるかもしれない」みたいな不思議な感覚があったんです。
その後は2次のスタジオオーディションで本格的に逸臣の台詞を喋って、最終ではドイツ後の台詞だけを渡されました。ドイツ語の先生からのディレクションにどれだけ応えられるのかみたいな試験もあったので、普段のオーディションとは全然違ったなと思っています。
――諸星さんは逸臣が外国語を喋るシーンをチェックされたと思いますが、実際にご覧になった感想をお願いします。
諸星:実は全体の収録が終わった後に、宮崎さんだけ居残りで外国語シーンの収録をやっているんです。だから私は、逸臣が外国語を喋るシーンを収録では聴いていなくて。けれどテストが終わった後に、ドイツ語の先生とふたりで打ち合わせをしている様子を見かけてはいました。
ドイツ語は片仮名に直すと、“ヅ”に“ュ”みたいな独特な書き方になるじゃないですか。一体どうやって発音するのだろうって思いました。宮崎さんとドイツ語の先生を見ながら自分でも挑戦してみたのですが、実際に声を聴いてみると「そうやってやるんだ!」という驚きの連続で。私も一緒に勉強している感じがして、宮崎さんは大変そうだなぁと思いつつ、毎回の収録の楽しみのひとつになっていました。
宮崎:諸星さんたちとの収録では僕のフワっとした外国語もスルーされるのですが、終わった後に「この後、英語のシーンやるよ!」って声をかけられるんです。そちらでは英語が堪能な方々が外国人役などを担当する部隊として呼ばれているので、一緒に外国語のシーンの収録に臨んでいます。
――宮崎さんはドイツ語スクールに通うみたいな話がありましたが、出演が決まった時はどんな心境でしたか?
宮崎:自分のお金を使わず有意義な勉強をさせてもらえるなんて、こんなにありがたい事はないな……と。凄くわくわくしました。
ただ、ドイツ語はいざ勉強してみると本当に難しくて……。男性と女性とで名詞や動詞が変わったりして、全部覚えていると気が遠くなるなと思ったくらいです。英語とはまた別の難しさがありました。
一同:(笑)。
――諸星さんは出演が決まった時の心境はいかがだったでしょうか?
諸星:私も宮崎さんと同じで、不思議とオーディションに受かりそうな気がしていて。自分的に上手くハマった感じがあったんです。決まった時は「やっぱりきた……!」と思いました。原作を読んだ時には、この雪というキャラクターを演じられたら今まで見てこなかった世界を知れるだろうと思ってワクワクしましたし、逸臣は誰が演じられるのだろうかと期待が膨らむばかりでした。
私の方がおそらく宮崎さんより先に決まっていたと思うのですが、音響監督の菊田さんが逸臣は決めるのが難しいと話していて。外国語を喋らないといけないし、掴みどころがないキャラクターでもある。凄く演じるのが難しそうで、私が男性だったら絶対できないだろうなと思っていました。自分が決まったことも嬉しかったですが、周りのキャラクターを誰が演じるのかも楽しみでした。