冬アニメ『僕の心のヤバイやつ』第2期 連載インタビュー第4回:小林 ちひろ役・朝井彩加さん×関根 萌子役・潘めぐみさん×吉田 芹那役・種﨑敦美さん|山田と市川のお芝居の時は良い緊張感があります。守りたくなる気持ちになりますね。
TVアニメ『僕の心のヤバイやつ』第2期が、テレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠・BS朝日・CSテレ朝チャンネル1にて放送されています。桜井のりお先生が『マンガクロス』(秋田書店)で連載中の『僕の心のヤバイやつ』は、SNSを中心に人気を集め、コミックス累計発行部数400万部を突破中の話題作です。
アニメイトタイムズでは第1期に引き続き連載インタビューを実施中です。連載4回は小林 ちひろ役・朝井彩加さん、関根 萌子役・潘めぐみさん、吉田 芹那役・種﨑敦美さんが登場です。第16話についてはもちろん、皆さんがこれまでどのようにお芝居に向き合われていたかについてもおうかがいしています。
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『僕ヤバ』はドキュメンタリーの恋愛映画のよう
――TVアニメ『僕ヤバ』第1期、16話(第2期4話)までの全体的なご感想をそれぞれ教えてください。
関根 萌子役・ 潘めぐみさん(以下、潘):『僕ヤバ』、マジでヤバって感じでしたね。山田と市川の尊いっぷりが本当にすごくて。原作を読んでいても、声にならない声が上がってしまうほど、毎回「はあああ〜!!!」ってなってて。それがアニメーションになって、声が乗り、音が乗り、間があって、演出があって……ってなった瞬間の破壊力! すごいなと思いました。原作を読んでいるときは、山田と市川は“物語の中のふたり”というイメージだったんですけど、よりリアル感があって。いつも「良いものを見せていただきありがとうございます」と思っていました。
小林 ちひろ役・ 朝井彩加さん(以下、朝井):コミックスを読んだときのかわいらしい雰囲気とギャグのテンポ感、市川と山田のふたりきりのシーンのコントラストが素敵だなと思って読み進めていました。アニメではキャラデザの等身が少し上がったような印象があって。それもあって、ふたりの関係性がよりリアルに感じたというか……ドキュメンタリーの恋愛映画を見ているかのような作りになっているなと。原作の雰囲気を壊さないまま、尊死感マシマシの作りになっていて、「わ、これがアニメのパワーか!」と実感させられました。第1期の最終回(第12話)も最高でした……! 「これが尊死か!」と(笑)。
吉田 芹那役・種﨑敦美さん(以下、種崎):原作を読んだ時の……徐々にざわっ……ざわ……ざわ……!ってなってくるあの感覚をアニメで表現できているのが本当にすごいと思いました。しかも毎話毎話とんでもない充実感もあって。それってあらゆる条件が揃っていないと、生まれないものだと思うんです。堀江(瞬)さんと羊宮(妃那)さんという、二人以外考えられない!という二人が市川と山田を演じる事が決まった時点でもう「勝ち」だったのかもしれません。でもその勝ち確要素に加えて、アニメーションから、音楽から、本当に全てから「これを作るぞ!」とみんなで同じ方向を向いて作っていることが伝わってくるというか。
朝井:それはアフレコにも表れていた気がします。チーム感というか。
潘:そうだね。収録ブースももちろん、調整室からも「作るぞ〜!」「こだわるぞ〜!」って熱意が溢れていて。いろいろな人の思いと、皆さんの癖を感じています(笑)。あ、いい意味での!
朝井:分かります(笑)。ディレクションの時に「ああ、今の良いですね〜!」ってちょっと興奮してらっしゃるのが伝わってくる。本当に素敵な現場。
潘:そうそう。ものづくりのこだわりを感じます。オンエアでアニメを見たときにも「よっしゃ!」ってなる(笑)。
――私自身も制作陣の皆さんにお話をうかがってきたんですが、本当に熱意がすごくて。
潘:第2期になってさらに感じますね(笑)。
朝井:「第2期もいくぞ〜!」って感じに(笑)。PVを見たら分かる通りなんですけど「ここまでいっちゃうぞ!」っていうこだわりを感じますよね。
三者三様のキャラクターに対する思い
――今回の連載インタビューには皆さん初登場となるので、キャラクターへの思いもうかがいたいです。
朝井:オーディションの段階から、小林はマスコットキャラのような印象があって。山田とは違うかわいいポジションにいるような気がしていました。だから無頓着さゆえのかわいさを追求して、オーディションに挑ませていただいて……。
そしてアフレコが進んでいって。第1期が終わったあとに原作の桜井のりお先生のインタビューを読ませていただいたのですが……。
――桜井先生が小林について「声もピッタリだし、原作よりもアニメの方がかわいく感じる」とおっしゃっていましたね。
朝井:そうなんです! 「話題にあげてくださっている〜!」と思って、しかも言葉にできないほどのうれしいお言葉をいただいて。だからものすごく気持ちが高まった状態で第2期に挑みました。
原作ファンの方からもそういうお声をいただくことがあって、それももちろん嬉しかったんですけど、“神”からそんなお言葉をいただくなんてと。神の享受ですよ! 役者冥利に尽きるといいますか。最上級のお言葉をいただけたことが本当にうれしかったです。
潘:萌子はギャルっ子なんですけど、頭も良く、機転も利くし良いギャルだなという印象でした。でもさっきもお話した通り、空気を読んだり、読まなかったり、時には空気を本気で読めない瞬間もあって。悟りすぎていないところが、年相応で良いなと。「彼氏を作らねば」みたいなことに対しての感覚はヤングでエネルギーもあるんですけど、実際言うほどではないというか。ナンパイに対しても、逆に市川を守るほうに徹してあげていて。だからただただガッツいているわけではなく、総じて良い子だなと思っています。「でもやりすぎだぞ、関根!」って時はありますけどね(笑)。特にバレンタインの時は!
朝井:さすがによくない、ああいうのは!(笑)
潘:本当によくない!(笑) ああいうところはあるのでやりすぎ注意ではあるんですけど、崖から落とすじゃないですけど、それくらい蹴りを入れてあげないとイッチが動かない時もあるので……ふたりが進んでいく一助になれば良いなと思いながら演じています。
――種﨑さんはどうでしょう?
種﨑:オーディションの時に何キャラか受けていたんですけど、吉田だけ考えすぎずにスッと演じることができて。今も、こんなに身体に力が入っていなくて大丈夫か?っていうくらい、かなり素に近い状態で演じることができていて、心にも体にも一切の負荷がかかってなくて。だからなのかマイクワークがやりやすくて仕方ないんですよ(笑)力んでいないからこそ「みんな、好きなマイクにお入りよ」というくらいの余裕がある。
朝井:カッコいい!
――力まずに演じられている理由はなんなんでしょう?
種﨑:自分とわりと似てるというか……。みんながわーっとなっている時にも、一旦様子を見て、必要なら発言し……ってところとか分かるなって。吉田はそういうことを考えているかはわかりませんが、自らいろいろと言わない感じは似ている。バレンタインの時の「こういうのよくないと思うな〜!」とかも。あれ多分私も言っちゃうと思います。伝え方は萌子だけに、とかかもですけど。でも分かる部分が多くてとても演じやすいです。
朝井:先行上映会の時にも「キャスティングがマッチしている」というお話をしたんですが……みんなキャラに似ている部分があるのかなって。
潘:似てるかな……? 自分は萌子?(笑)
朝井:「キャラのまま」って言われたら「えっ」と思われる方もいらっしゃるかもしれないけど、私からすると「そのまま」だなと思っています。メインふたりも含めて。
潘:ああ、でも……似ている、似ていないという話からはそれちゃうかもしれないんですけど、キャラクターそれぞれのポジションが現場にそのままある感じはしています。私自身も主演ふたりにはのびのび演じてもらいたい、っていつも思っていて。それぞれに与えられた役割がそのままキャラクターに活きているのかなと。
――ところで、以前堀江さんにお話をうかがった際に、序盤のアフレコの休憩中に、みんなでご飯行きたいね、って話で盛り上がっている輪の中に入っていけなくて、ずっと聞き耳を立ててたって話をしてて……。
潘:あ、それは……なんか記憶にある……(笑)。
――話しかけられるまで聞こえないフリをして小説を読んでいた、と。
潘:それ、話しかけたの私です。「みんなでご飯に行きたいねって話をしてるんだけど〜」って言ったら「あ、そうなんですか?」って言われたんですけど、絶対聞いていると思いましたよ!(笑) なんなら入ってこいよ!って思っていたんですけど。「もし良かったらご飯の計画立てない?」って。そこで初めて、グループラインができました。そういう意味でも、それぞれポジショニングがキャラクターに近いという感じがしています。
朝井:マインドが同じ(笑)。萌子っぽい。