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- 万木サエ
- 旅行、グルメ、テーマパーク系のライターを経て、アニメのジャンルへ出向。ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆
週刊少年マガジンで連載中の『ブルーロック』は、現在原作コミックスをはじめ、ノベライズ、スピンオフ、前日譚小説が発売されており、累計発行部数は2023年11月時点で3000万部を突破しています。
2022年のTVアニメ放送をきっかけにさらに人気に拍車がかかった『ブルーロック』。筆者もすっかり魅了された一人で、今では発売されるもの全て手に取り読み漁っています。
そこで、「アニメは見たけどコミックスやノベライズまでは読んでいない」という方へ、それぞれの特徴や楽しみ方を紹介します。みなさんが読んでみるきっかけになったら嬉しいです!
日本のW杯優勝のために立ち上がった「“青い監獄(ブルーロック)”プロジェクト」に高校生FW300人が招集される。日本に必要なのは「エゴイズムにあふれるストライカーだ」と断言する絵心甚八の指導の下、己をエゴイストに変える蹴落とし合いの選別に挑む!
日本のサッカーはパス・サッカーが主流と言われるほど、パスを武器に戦ってきた長い歴史があります。数々のサッカー漫画でも“チームのみんなで勝利を目指す”物語が描かれてきました。これらを「正統派」と言うなら、『ブルーロック』は異色のサッカー漫画。登場人物すべてがFW、世界一のストライカーに自分が成るために仲間を蹴落としていくストーリーは、まさにイカれたサッカー漫画です。
主人公は無名のFW・潔世一。潔が持ち前のサッカーIQで急速に成長していく姿と、試合を重ねるごとに“潔世一”に心酔していくライバルたちの様が描かれています。
通常であればサブキャラとして描かれそうな、平凡で人のいい潔が、試合になると一変して強気な発言する狂気じみたキャラクターになるところも面白く、気づけば私たち読者も潔に心酔している――。どこか応援したくなる潔の魅力が、原作の見どころです。
ストーリーの面白さに負けない“絵力の強さ”もまた、見どころのひとつです。例えば、潔の覚醒シーン。まず、空間認識能力を武器とする潔の“眼”の描き方に惹き込まれます。そして特に凄いのが、潔が頭の中で物事を組み立てるときの、ジグソーパズルの描写。アニメでも忠実に再現されていますが、ぜひ原作で見てほしい! このシーンを見て私は「面白い!」と本作品にハマりました。
キャラの顔がジグソーパズルになっていたり、背後にエフェクトが描かれているシーンだったりは、原作の金城宗幸先生の“こういう絵がほしい”をノ村優介先生が味付けしながら絵に起こしているのだとか(『キャラクターガイドブック』より)。
▼エフェクトの悍ましさも必見! ライオンのエフェクトを背負う馬狼のカッコよさは、金城先生もお気に入り。
▼3巻の千切が鎖を引きちぎるシーンも印象的!
ノベライズは、原作コミックを忠実に文章化。コミックスで感じられた熱量やスピード感がそのまましっかりと伝わってきます。
私が読んで感じたのは、サッカーの実況を聞いているかのような臨場感。複雑なサッカーのプレーが丁寧に文章化されているので、イラストだけではどんな技が繰り出されたのかわからなかったシーンも、「こんな凄い技だったのか!」と理解でき、改めて“エゴい”と思いました。
また、台詞は原作そのままではあるものの、絵で見せられない分、それぞれのキャラクターの視点がしっかりと描かれている印象を受けます。表情だけで物語っていた心情を言葉にしているところもあり、「この時、こんな思いだったのか」と知ることができるのも見どころです。
例えばコミックス6巻、二次選考2ndステージの3人1組のチームを作る過程で、凪が玲王と離れ潔とサッカーをしたいと言ったシーン。凪の言葉を受けた玲王の喪失した表情が印象的ですが、小説では玲王の気持ちが深く書かれています。
このコマのあと、何かを言いかけ言葉にできず、やっと口から出たのは「……好きにしろよ。」と凪を冷たく突き放す言葉でした。この言葉を口にするまでに、玲王がどんなことを思っていたのか……。小説でしか知ることのできない真の思いをぜひお楽しみください!
天才・凪誠士郎が主役の、もうひとつの“ブルーロック”物語。金城先生が『ブルーロック』の企画が始まるときにいつか描きたいと思っていた裏ルートの物語で、本編未読でも楽しめるし、本編既読だとさらに面白い作品。2024年4月に劇場版の公開も決定しています。
原作で作画協力していた三宮宏太先生が作画を担当しているので、原作の絵の世界観そのままに楽しめるのも嬉しいポイント。原作では主人公の潔が登場する試合しか描かれていませんが、その裏で起こっていた凪が属するチームの戦況が描かれています。
凪は、金城先生が思う「こういう奴がいたらカッコいい」という要素をすべて詰め込んだキャラクター。そして玲王は、モテる女の子(玲王)に初めてなびかない男の子(凪)が現れて、人生がぐちゃぐちゃになるというイメージで描いていると話していました(『キャラクターガイドブック』より)。その言葉どおり、玲王が凪によって狂わされる出来事が次々と起こり、玲王視点で進むシーンも多く見られます。『EPISODE 凪&玲王』と言っても過言ではありません!
入寮テストの鬼ごっこでの凪と玲王のプレーや、チームVの最強トリオ(凪・玲王・斬鉄)がどうやって誕生したかなど、熱いサッカーの試合シーンはもちろんですが、凪をとりまくエゴイストたちの友情が楽しめる作品です。
“青い監獄”に入寮するまでのそれぞれの日常が描かれた前日譚小説。金城先生がしっかり監修されているため、台詞の言い回しひとつとしてイメージとずれることなく書かれています。
サッカーを始めたきっかけや、“青い監獄”に召集された経緯、それぞれが抱える葛藤など、キャラクターの知られざる一面などが描かれ、深堀されているのが見どころ。
現在3冊発売されており、潔、凪、蜂楽、千切、玲王、凛、二子、國神、氷織の前日譚を読むことができます。私のおすすめは氷織の話。両親の期待を背負いサッカーを“させられていた”氷織が、烏旅人に出会ったことで新しいゲーム(人生)が始まっていく、二人の友情がエモいお話です!
どれから読もうか迷っている方に、おすすめの読み方をご提案します! まずは、それぞれどこまでの話が収録されているかを紹介します。
■TVアニメ…二次選考通過者が明らかになったところまで
■原作コミックス(最新27巻)…“青い監獄”第二段階、新英雄大戦 第5戦まで
■ノベライズ(最新5巻)…二次選考 奪敵決戦の潔・凪・馬狼vs.千切・國神・玲王の試合終了まで
■『エピ凪』(最新3巻)…二次選考 奪敵決戦の潔・凪・馬狼vs.千切・國神・玲王の試合が成立したところまで
エゴイストたちは一試合ごとに成長していくため、セレクションごとに読むと、どんな試合を経て彼らが成長したか時系列で知ることができ、彼らの“今”が見えてきます。
■“青い監獄”入寮~入寮テスト オニごっこ
コミックス、ノベライズ、エピ凪、それぞれ第1巻に収録
■一次選考 棟内5チームでの総当たりリーグ戦
コミックス2~5巻、ノベライズ1~3巻、エピ凪2~3巻に収録
■二次選考 奪敵決戦
コミックス6~11巻、ノベライズ4~5巻、エピ凪3巻に収録
コミックス→エピ凪→ノベライズ→前日譚
頭脳派の潔、感覚派の凪、正反対の二人のプレーをコミックスで見てからノベライズを読むと、二人の凄さが明確になる気がします。前日譚はキャラクターの素性や性格をある程度知ってから読んだほうが楽しめるので、描かれているキャラがコミックスで登場してから読むことをおすすめします!
どの書籍もそれぞれ楽しめるポイントがあり、どれから読んでも“ブルーロック”ワールドにのめり込んでしまうと思います。
個人的には前日譚を読んでほしい! 私自身、今まで以上に愛着が湧いたりイメージが変わり新たに惹かれたキャラクターがいます。実際に“推し変”してしまったほど! みなさんにも新たな推しキャラができるかもしれません!
アニメイトタイムズのお仕事のほか、旅行、グルメ、ウェディング、テーマパーク系のライターをしています。 旅行に行けなくなって、漫画やアニメにハマリ、今はもっといろんなジャンルを知るべく武者修行中! スポコンアニメを見て、一緒に泣いたり熱くなったりするのが最近のストレス発散方法。 ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆