2ページ目：『魔道祖師』蘭陵金氏特集｜金光瑶、金子軒、莫玄羽を中心に解説

魏無羨が現世に復活したとき、金子軒と江厭離の息子である金凌は15歳の少年に。彼の両親はもうこの世にはおらず、金氏、江氏それぞれの叔父である金光瑶と江澄のもとで育ちました。

雲夢江氏の本拠地である蓮花塢が一度は壊滅に追い込まれ、窮奇道での奇襲と血の不夜天で両親を亡くした金凌には、今や江氏の身内は叔父の江澄しかいない。どれもこれも魏無羨が巻き込んだことであり、弁解の余地はないとして金凌は魏無羨を激しく憎んでいます。

その後、窮奇道と不夜天の真相が明かされ、黒幕の陰謀が暴かれることとなり一連の事件はひとまず解決。魏無羨は藍忘機と共に静かに観音廟をあとにしています。

玄門の情勢は昔とは様変わりし、蘭陵金氏が隆盛を極めていた時代は過ぎ去りました。年長者たちは百年も続く世家だと自慢して相変わらず尊大ぶっているのですが、宗主の座を継いだ金凌はそのような振る舞いを嫌悪。金氏の込み入った事情は魏無羨や藍忘機のところまで伝わっていました。

このあたりは本編後の話になりますが、注目したいのは番外編小冊子収録の「鉄鉤」。雲夢観音廟以来、金凌は初めて魏無羨と顔を合わせています。魏無羨は何かあったら叔父である江澄にいろいろ聞くよう金凌に話していますが、金凌には何やら思うところがあるようです。

江澄は金凌のためにわざわざ人の家に行って威張り散らすなどして、周りから後ろ指を指されることも。叔父であっても江澄は金氏にとっては結局は部外者。それなのにこれまで何度も金氏のごたごたに関わってくれていました。人の家の縄張りにまで口出しして首を突っ込みすぎると、周りから恨みを買って今後陥れられる口実になりかねず、江澄に迷惑をかけてしまうことは避けられない。だからこそ金凌も素直になれずにいたようです。

魏無羨が金凌を「阿凌」と呼び、甥の成長を喜んでいる場面も必見。会えただけで嬉しいのだと力一杯に金凌の肩を抱き寄せ、髪を撫で回す姿は感慨深いですよね。莫玄羽の体に召喚されたことによって、魏無羨が血縁的にも金凌の叔父になったのも注目したいところです。

蘭陵金氏キャラクター＆キャスト紹介

金光瑶（ジン・グアンヤオ）

蘭陵金氏の現宗主であり、百家を統括する仙督。前宗主・金光善の庶子であり、金子軒の異母弟で、莫玄羽の異母兄です。

頭には烏帽を被り、背丈は少し低いけれど控えめで落ち着いた印象。肌は白く清潔な美貌を持ち、物腰が柔らかく口元と眉にはいつも微かな笑みを浮かべています。

彼の剣の名は「恨生」。世家出身の者と違って基礎に難があるため、剣術が確固たるものになることはなかったのですが、霊力が低いながらも幅広く様々な分野の知識と術を習得。記憶力も抜群で、一度でも会ったことのある者なら、相手の顔、名前、年齢と称号すべてを何年経とうとも間違えることなく覚えています。

以前は母親の姓で「孟瑶」と名乗っており、温氏を討伐する「射日の征戦」で名を馳せました。聶明玦、藍曦臣とは義兄弟の契りを結び、「三尊」と呼ばれるように。かつて雲深不知処が焼かれたときに藍曦臣を窮地から救ったのは金光瑶であり、その後も姑蘇藍氏を支援しています。

金光瑶の正妻である秦愫（チン・スー）は、金氏の配下の一族である楽陵秦氏出身で、父親である宗主・秦蒼業は金光善に長年仕えてきた部下です。金光瑶と秦愫は長い間、玄門百家のあいだでも有名なおしどり夫婦でした。

キャスト

金凌（ジン・リン）

金子軒と江厭離の息子。幼い頃に両親を亡くし、金家と江家の叔父のもとで育てられました。両親の死の一因となった魏無羨と鬼将軍・温寧（ウェン・ニン）を激しく恨んでいます。

顔は秀麗ですが、どことなく冷たい雰囲気を持ち、叔父である江澄とは微かに眉や目の形が似ているそうです。両親を失い悪く言われることもあるなかで、傷つきながらも誰にも負けないように強くあろうとする姿も。父親が遺した剣「歳華」を受け継ぎ、少々我儘であるものの正義感に溢れる少年です。

金氏で一人ぼっちで行動していることを魏無羨が気にかけている場面がありますが、夜狩などで遭遇する姑蘇藍氏の藍思追（ラン・スージュイ）や藍景儀（ラン・ジンイー）らと交流を持つように。叔父の金光瑶から贈られた仙子（シェンズー）という名前の霊犬を連れています。

キャスト

金子軒（ジン・ズーシュエン）

金光善と正室の間に生まれた息子。江厭離の夫であり金凌の父です。また、金子勲（ジン・ズーシュン）の従兄弟で、金光瑶と莫玄羽の異母兄弟。非常に整った容貌をしており、仙術の素質も目を奪うほどで、世家公子の風格容貌格づけは第3位です。彼の剣の名は「歳華」。

雲深不知処での座学において、魏無羨、藍忘機、江澄、聶懐桑らと共に学んだ仲。当時の金子軒は尊大な態度をとっており、魏無羨は彼を「独りよがりな男姫」「けばけばしい金孔雀」などとして嫌っていました。優れたものを好む金子軒は婚約者の江厭離に不満を持っていたようで、何よりも母親が勝手に決めた縁談に納得していなかったのです。