『STATION IDOL LATCH!』鈴木 裕斗さん&福崎 那由他さん&高橋 英則さんインタビュー|「エキメン総選挙」で感じた広がり続ける「LATCH」の可能性とパッセンジャーの熱量
各ブロックの楽曲に込められたこだわりと遊び心
ーーここからは1stアルバムに収録されている各ブロックの楽曲について、伺っていきたいと思います。ファンタジスタブロックの「ファンタジスタ!」は、曲調が次々に切り替わる個性的なナンバーです。
鈴木:それぞれの良さを消さずに、1曲にまとめている点が素晴らしいなと。フェイクの部分で飴屋氏(上野駅/飴屋 楊)が低いパート、竹下氏(原宿駅/竹下 宮斗)が高いパートを担当していたり、雷電のあくびが入っていたり、とにかく遊び心にあふれている楽曲です。それぞれの良さが歌詞や曲調だけでなく、アドリブにも出ているので、本当に「ファンタジスタ!」というタイトル通りだなと。
ーー聴きやすさもありつつ、楽曲全体はかなり目まぐるしい展開ですよね。
鈴木:そうなんです。「バラバラだからこそ、それを活かす」という楽曲になっていて、良い意味で様々な色合いが感じられると思います。
ーー打って変わって、リーダーブロックの「Flag on the wind」は、『LATCH』の王道という印象を受けました。
福崎:伝えたいことをストレートに伝えていますよね。「LATCH! ~それが未来の扉〜 」という全体曲と方向性は似ていますが、より指針が定まっているという印象です。「船頭多くして船山に上る」ということわざもありますが、リーダーブロックはそうならないんです。それぞれがちょうど良いポジションを見つけられるというか。
ーー「所作よし」に収録されているリーダーブロックのボイスドラマを聴いたとき、同じことを感じました。
福崎:ドラマの中に僕がサビの一部分を歌う流れがあって、めちゃくちゃ緊張しました。聴いていただくと分かる通り、本当に優しい人たちが集まっているんです。それが曲にも現れていると思います。
鈴木:懐の深い人たちが集まっているから、とにかくスケールが大きいよね。30人で歌っている「Going My LATCH!」に匹敵するくらい。
福崎:それはレコーディングするときに悩んだところでもありました。特にサビの部分で「自分だけ変に外れるのは嫌だな」と思う反面、綺麗に混ざりたくないという気持ちもあったんです。キャラクターとして、どのくらい自分を出すのかを考えながら歌っていました。「大丈夫かな?」と心配していたのですが、完成した楽曲を聴くと、改めて「みんなで作っている」という感覚になれたので、とても嬉しかったです。
ーーエレガントブロックの「サヨナラ・イエスタデイ」は、『LATCH』初のバラード曲ですね。歌ってみていかがでしたか?
高橋:歌詞からは応援歌のイメージが伝わってくるのですが、メロディーはバラードなんです。そのバランスがとても面白いと思いました。『LATCH』は難しい楽曲が多いからこそ、「やってやるぞ」という気持ちになるんです。後から他のブロックの曲を聴くと、「難しいのは、自分たちだけじゃなかった……」と思えます(笑)。
今回は収録がトップバッターだったので、自分の残したものがハマるのか、どちらかと言うと不安も大きかったんです。ただ、ドラマでキャラクターの新たな一面が分かるように、完成した楽曲を聴いたときには、「こういう風にマッチするんだ」という新鮮な驚きがありました。結果的には、このチームでしか表現できないものになったなと。
ーーレコーディング中にも様々な試行錯誤があったとか。
高橋:そうですね。ひとりひとりの歌が重なっていくパートは、どうしてもひとりで歌っていると答えが見えなくて。個人的には、ライブで相乗効果が生まれる曲だと思っているので、ライブで歌う機会が今から楽しみです。今は「難しかった」というイメージが強いですが、みなさんの前で歌えば、それを超える感想も出てくると思うんです。
鈴木さんが「3on☆star」のパフォーマンスに感涙!?
ーー1stアルバムには新テーマ曲やユニットの楽曲も収録されており、作品の歩みを感じさせる内容となっています。みなさんの中で、特に思い入れが強い一曲はありますか?
鈴木:僕は「Going My LATCH!」です。「LATCH! ~それが未来の扉~ 」も同じ全体曲ですが、収録に参加したメンバーは限られていて。でも今回は初めて30人全員で録ることができたんです。「人数がめちゃくちゃ多いけど、どうなるんだろう?」と思っていましたが、キャラクターによって出せる声色やキーなど、技術的な部分が上手く融合していて、30人の歌声が重なると『LATCH』ならではのユニゾンになるなと。また、MVも作っていただき、作品としての“纏まり”を示せたと思っています。ある意味では『LATCH』の集大成であり、「これが『LATCH』なんだ」と僕自身にも感じさせてくれた楽曲です。
ーー30人の声が重なるパートは本当に圧巻でした。
鈴木:そうなんですよ! キャリアや年齢など、バラバラのキャストが集まっている中で、1曲をみんなで歌わせてもらう機会はそうそうないと思います。とても貴重な経験ですし、良い調和が生まれているなと。
福崎:僕は、やはりユニット曲の「We are 3on☆star」が思い出に残っています。純粋に「歌っていて楽しい」と感じるレコーディングだったんです。叫んで終わるフレーズが多くて、ずっと叫んでいた気がします。バランスを取りつつ、僕も「3on☆star」としてふたりの個性に乗らせてもらって。
鈴木:おじさんは聴いていて泣きそうになる……。
一同:(笑)
鈴木:以前「3on☆star」のライブパフォーマンスを見て、「パッションが弾けてる!」と思ったんですよ。自分たちのユニットとは違った良さがあって、「人生(ひといき)」は色数が少なめで、鋭く差していくという感じ。一方の「3on☆star」は、色鮮やかな絵の具がそこら中に飛び散っているようなイメージなので、見たときに「この感じ、昔を思い出す……」みたいな。若かったときに弾けていた自分が蘇ってくるんです。フレッシュな感覚を思い出して、何故か泣きそうになりました(笑)。
ーー「3on☆star」に昔の自分を重ねていたんですね(笑)。『LATCH』の楽曲を聴いていると、一口に個性といっても様々な形があることを再確認させられます。
福崎:そうですね。ボイスドラマでは、「樅野くんがバランサーになって、全体の方向性を決めていく」という楽曲ができるまでの経緯が描かれていました。みんなバラバラな個性を持っているんだなと思います。
ーー高橋さんはいかがでしょうか?
高橋:「Che bello!」の「Showtime」でしょうか。良い意味で、昭和感のあるタイトルが好きなんですよね。最初に歌った「Sparkling Night」にも「シュビドゥバ スパークリング」という歌詞があって(笑)。
鈴木:最高ですね! ディナーショーで歌ってほしい。
高橋:そうそう! 加えて、1stライブを経験したからこそ、「ライブでどうやって歌うの?」という疑問も浮かんだ楽曲でした。これは、メンバー全員が感じていたと思います。この曲について、想像する時間が長かったからこそ、思い入れが深いんですよ。
さらに言えば、マシントラブルでレコーディング中に急遽スタジオが変わって、移動中に豪雨があって……(笑)。
ーー(笑)。発売記念イベントでもお話されていましたね。
高橋:「この楽曲をどう表現したらいいんだ?」という不安を助長するような状況でした。そして、一番ぞっとしたのは、収録が終わった後、ロビーで井上 和彦さんが待っていたことです!
ーーえっ!?
高橋:一応オンタイムで終えたのですが、スタジオを移動しているから、「多少延びても許容範囲だろう」という気持ちもあったんですよ。和彦さんも急遽移動になったとは思うのですが、「大先輩をもし待たせていたら……」と(笑)。今思えば、ラスト5分くらいはスタッフさんが慌てていた気がします。「あっ、良いと思います! もう終わりましょうか!?」みたいな(笑)。
鈴木:急に進みが良くなった(笑)。色々な意味で印象深いですね。
高橋:それは冗談ですけど……様々なハードルがあった楽曲なので、より印象的ですし、終わった後の達成感はすごかったです。