映画
『キングオージャーVSドンブラザーズ』酒井大成×樋口幸平インタビュー

『キングオージャー』と『ドンブラザーズ』が結んだ縁。共演が生み出す新たな色――『キングオージャーVSドンブラザーズ』酒井大成さん×樋口幸平さんインタビュー

作品ごとの”色“の違いが「スーパー戦隊」の面白さ

ーー『キングオージャー』の脚本を務めた高野水登氏が『ドンブラザーズ』のキャラクターを描いていることも今作の注目ポイントですよね。

酒井:両作品の世界観を崩さずにどう描くのかは、個人的にも楽しみでした。演じる際に違和感なく入り込めたのは、たかみな先生(高野さん)の脚本のおかげだ思います。

樋口:「高野先生は『ドンブラザーズ』が大好きなんだろうな」と思いました。作品をよく知っている人にしか書けないセリフ回しや独特の感覚が感じられたんです。引き受けていただき感謝しています。

ーーおふたりの中で、特に印象深かったシーンはありますか?

樋口:「縁ができたな」というセリフを1年ぶりに言ったのですが、その瞬間は強く心に残っています。これからも大事にしていきたい素敵なセリフだなと。この言葉を決め台詞として一年間やれたことは本当に幸せでした。

酒井:ギラが餅を喉に詰まらせて、幸平(桃井タロウ)が僕の口に手を入れるシーンはかなり印象的です。自分の口の中に手を入れられるのは、初体験でした(笑)。意外と長めのシーンだったので、5〜6カットくらい撮ったんですよ。「やばい」という驚きから入って、それが段々焦りに変わって……。段階を踏みつつ、喉につまらせた自分の経験も思い浮かべて演じました。

ーー「餅を喉に詰まらせた人を助ける」という展開が既に『ドンブラザーズ』っぽいですね。改めて「スーパー戦隊」シリーズでありながら、全く違う色を持った2作品だなと。

樋口:その違いが「スーパー戦隊」の面白いところだと思います。それぞれのキャストは全く雰囲気が違いますし、だからこそ『キングオージャー』には大成たちで、『ドンブラザーズ』には我々だったんです。『キングオージャー』のみなさんを見ていて、すぐ打ち解けられる面白さだったり、お芝居に対する向き合い方だったり、「自分たちにはない良い色を持っている」と感じました。素敵な方ばかりだったので、ご一緒できて嬉しかったです。

ーー折角の機会なので、お互いの作品に感じた魅力についてもお聞きかせください。

樋口:『キングオージャー』の魅力は、初めての試みに対して、胸を張って大迫力の作品を作ったところにあるんじゃないでしょうか。あの世界観を生み出せるのは、スタッフのみなさんの努力やキャストの良さが全てが噛み合ったからこそだなと。挑戦も多かったと思いますが、『ドンブラザーズ』に続いて、『キングオージャー』も新しいスーパー戦隊の形を作ってくれました。「スーパー戦隊」の歴史を紡いでいく作品として、とても大事なことだと思います。

酒井:今作を通じて、「意味の分からないことを全力でやる」が『ドンブラザーズ』の魅力であり、「ファンから愛される理由なんだな」と体感できた気がします。物語の世界観は『キングオージャー』寄りですが、これまでに見たことのないストーリーが描かれていて、演じていても楽しかったです。

ーーそういう意味では『キングオージャーVSキョウリュウジャー』にも、今までとは違った魅力がありそうですね。

酒井:タイムトラベルにまつわるお話なので、キャラクターの普段見られないような一面が見られると思います。何より、10年を経て再集結したキョウリュウジャーのみなさんの変身シーンが格好良かったです! 『キングオージャー』のキャスト6人で撮影を見ていたのですが、ワンテイクで完璧に決めていたんですよ。その姿が今でも心に残っていて、本当にすごいなと感じました。

“レッド”という役割に課せられた責任

ーーおふたりは「スーパー戦隊」のレッドという役柄に対して、どのような思いがありますか。

樋口:個人的な意見なんですが、レッドが成長していく作品は人気になるイメージがあります。主役がみんなに愛されていることは、特撮作品の中でとても重要な部分なんじゃないでしょうか。みんなに支えてもらっているからこそ、レッド特有の責任や思いというものが絶対にあるはずなんです。作品の座長ですし、色自体もはっきりしているじゃないですか。恐らく過去にレッドを演じた先輩たちにもあったと思います。

ーーまさに“作品の顔”と言えるポジションですよね。

樋口:そのプレッシャーに耐え抜いた経験は、価値があるんじゃないかなと。先頭に立つなかで、「どうやってみんなを引っ張っていこう?」とか。レッドの位置に立たないと分からないこともありますし、務め方もひとつではないと思っています。僕自身は1年間をやり終えてから、作品に対しての恩を強く感じています。この気持ちはレッドという役割に対して、真面目に取り組めた証でもあるのかなと。

酒井:幸平がほとんど言ってくれましたね。自分も“作品の顔”であることを噛みしめながら、色々な不安と戦っていました。周りに支えられながら、何とかやってきた気がします。幸平は締めるときに締められるタイプじゃないですか。そういった面では、佳久さん(カグラギ・ディボウスキ/ハチオージャー役・佳久創さん)にも沢山助けてもらったんです。人に恵まれた1年でした。

樋口:本人に引っ張っている感覚がなくても、みんなは愛しているから勝手について行く。それが大成の人徳だと思います。

ーー形は違えど、どちらもこの上なく格好良いレッドでした! 最後になりますが、おふたりにとっての「スーパー戦隊」は、どのような存在になりましたか?

酒井:一年間で様々な経験をさせていただいたので、間違いなく自分自身の原点だと思います。

樋口:既に色々な場面で「あのとき得たものが活きている」と感じる瞬間があるんです。この経験を活かして、「もっと羽ばたいていかなければ」と感じています。僕にとっての「スーパー戦隊」は始まりであり、財産です。

[取材/田畑勇樹 文/小川いなり 撮影/胃の上心臓]

『キングオージャーVSドンブラザーズ』作品情報

キングオージャーVSドンブラザーズ

あらすじ

キングオージャーとドンブラザーズはいま、死の国ハーカバーカにいた。彼らは全員、いろいろあって、死んでしまったのだ。お互いに、相手が何者なのかわからないままに、対決が始まる。

この戦いに、終わりはあるのか?いや、そもそも、こんな戦いがなぜ始まったのか?やがて、彼らはひとつの深淵なる真理へと辿り着く……!

キャスト

ギラ/クワガタオージャー:酒井大成
ヤンマ・ガスト/トンボオージャー:渡辺碧斗
ヒメノ・ラン/カマキリオージャー:村上愛花
リタ・カニスカ/パピヨンオージャー:平川結月
カグラギ・ディボウスキ/ハチオージャー:佳久創
ジェラミー・ブラシエリ/スパイダークモノス:池田匡志
桃井タロウ/ドンモモタロウ:樋口幸平
猿原真一/サルブラザー:別府由来
鬼頭はるか/オニシスター:志田こはく
犬塚翼 /イヌブラザー:柊太朗
雉野つよし/キジブラザー:鈴木浩文
桃谷ジロウ/ドンドラゴクウ:石川雷蔵
ソノニ:宮崎あみさ
ソノザ:タカハシシンノスケ

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