「ひとりだけじゃ見えなかったこと、気付けなかったことがたくさんあります。きっとホロとロレンスもそうだと思うんです」TVアニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』ClariSインタビュー
歩幅を合わせて。ふたりが意識する調和
──ホロとロレンスの旅を描いた歌詞ではあるのですが、おふたりの音楽の旅にも重なるように感じました。そこはどのように感じていましたか?
カレン:私たちは明確なゴールを決めていないんです。そこがホロとロレンスと似ているのかなって。「何があるか分からないから楽しい」という気持ちでふたりで活動していて。ハプニングと言うと大げさですけれども、旅の中でところどころにある予想していない出来事も楽しめたら良いよね、と思っているところは、ふたりの感覚と似ているのかなと思いました。
クララ:個人的には、(カレンを見て)ちょっとホロっぽいなって感じているんです。
カレン:えっ? 麦っぽいかな?(笑)
クララ:カレンは旅にスパイスを与えてくれる存在なんです。私はわりと計画的というか、ある程度の決まった道筋の上を歩いていくタイプなのですが、カレンは「それも良いんじゃない?」「あんなこともしてみたい!」と、その場で思いついたことをどんどんと提案してくれるタイプで、旅がさらに面白くなる。そう感じることが普段からとても多いので、ふたりの関係性もちょっと反映された曲になっているんじゃないかなと思っています。
──ホロっぽいと言われて思い当たる節は……?
カレン:心当たりしかないです(笑)。最初は一応「えっ?」と驚いた振りをしましたけれども。
クララ:(笑)。
──じゃあ、クララさんはロレンスっぽいとも言えるのでしょうか?
クララ:どちらかと言うとそうですね。旅行に行くときも事前準備をしっかりするんです。行きたい場所同士の距離を加味して「この日はこことここに行こうかな」と予定を組んでいくタイプ。
でもカレンといっしょに行くと「今はこれが食べたい!」「ここに行きたい気分!」と、どんどん予定が変わっていく(笑)。そういうカレンの、ちょっとだけ突拍子のないところに、ほんのちょっと振り回されるのも「楽しいな」と思いながらClariSの活動もしています。だから「(ロレンスの)こういう気持ち分かるなぁ」と思いながら、作品に触れたり、歌ったりしていましたね。
カレン:苦労しているんだなぁ……。
クララ:ふふふ。そんなことない。カレンがいてくれることで、旅がとても楽しくなっているんですよ。ひとりだけじゃ見えなかったこと、気付けなかったことがたくさんあります。きっとホロとロレンスもそうだと思うんです。だからこそ、私たちにしか歌えない「アンダンテ」になったのかなと考えています。
──正反対の部分もありながらも、そこを楽しめるからこそ鮮やかな調和が生まれていて。この「アンダンテ」の歌声に関しても、おふたりの個性が際立ちつつも、しっかりと調和しています。他の曲にも言えることではありますが、そこにはどのような工夫があるのでしょうか?
クララ:基本的には歌っていくうちに足並みが揃ってくるんです。レコーディングに関しては、私が先に歌うことが多くて。伸ばすフレーズの部分などは当日ディレクションを受けながら決めていくのですが、その時の私の歌い方をカレンがメモしてくれていて、次のレコーディングに向かってくれています。カレンが歩幅を合わせてくれているところが多いんじゃないかなって。
カレン:そうですね。ふたりで話し合うこともあるんですけれども、私はとにかく、クララの歌声がすごく好きなんですね。それが第一にあるので、そこに歩幅を合わせていく自分が心地よくもあります。
ClariSのベースとなるものを作ってくれているのはクララで、私はその時に合った色を加えるというイメージが自分の中にあって。それがカレンの歌声としての役割じゃないですけれども、そのように思っている部分があります。
クララ:話を聞きながらありがたいなぁって……。レコーディング前は「こんなふうに歌おうか」って話をふたりでするんですけれども、実際にレコーディングしてみると、ディレクションを受けて変化していくところもあるんです。そうやって新しい歌が生まれる瞬間に彩りを添えてくれます。「優しいなぁ」「素敵だなぁ」って。
──優しいスパイスなんですね。
カレン:そこに関しては……むしろそこだけは。
クララ:えっ、そこだけ? そうなの?(笑)
カレン:普段からいっぱい振り回してしまっているので(笑)。ライブでこんなことしたい、あんなことしたい!って言ったり、MCで無茶振りをしたりとか、自由に振る舞ったりとか。そういう面で、ピリッとしたスパイスを与えているので、歌だけは優しく……。
──せめて歌だけは(笑)。「アンダンテ」は聴いている分に、とても心地が良くて、自然と身体が動いてしまうのですが、その反面、歌うのはとても難しい曲でもあるように感じました。
カレン:すんなり入ってくる曲ですが、身体で取るリズムと歌うリズムが違うんですよ。それもあって難しいと感じたのかなって。
クララ:「久しぶりにこんなに(時間が)掛かった!」と言いながらレコーディングしていました。特にサビのリズム感には時間が掛かりました。
カレン:本当にちょっとの差なんですけれども。
クララ:気づくか、気づかないか、みたいなレベルなんですけれども、それで「しっくりくる」「こない」が全然違ってきて。
──そこはアーティストであり、職人であり……少しの誤差でも納得できないものがありますものね。
クララ&カレン:そうですね。
クララ:表情をつけすぎるとリズムが崩れてしまったり、リズムを意識しすぎてしまうと言葉の意味が伝わらなくなってしまったり……。
カレン:そうそう!
クララ:そういう細かいところの表現は久しぶりに苦戦しました。イメージの中ではすごく歌えていたんですけれども(笑)。実際に声を吹き込んでみると「ちょっと違うかも」という部分が生まれてきて、そこは挑戦と調整を繰り返していきました。
──丁寧に編み込まれていった曲だからこそ、ライブではどのように表現されるかも楽しみです。
クララ:どうなるのかドキドキしています(笑)。
カレン:MVもすっごくかわいいです! それこそアイリッシュというか、民族的な衣装を着ています。ステップを使ったダンスも入っていて。
クララ:間奏にマイムマイム的なものもあって、それも新鮮なんじゃないかなって。
──北海道の雄大な自然の中で撮られたんですか?
クララ:本当は麦畑で撮影したい気持ちもあったのですが、春はまだ麦が育ったばかりの状態で……(笑)。今回は北海道ではなく、茨城県の、ある森の中にあるおうちで撮影しました。
──5月8日(水)に発売されるCDには丸山真由子さんが手掛けた「サクラ・インカーネーション」、重永亮介さんによる「擬態」と、2曲の新曲がパッケージされます。
クララ:カップリングも春を感じる曲になっています。それと、今までのClariSの……なんて言いますか。
カレン:振り回されたい女性像?(笑)
クララ:振り回す側というか、気持ちを弄ぶ側というか……(笑)。ちょっと小悪魔っぽい、ミステリアスな女性像を描いた、でもライブ映えするような楽曲と、春を感じるような曲も入っていて。
カレン:バラエティ豊かだよね!
クララ:三者三様の楽曲が入っているので、この春にぜひ楽しんでもらえたらなって思っています。また、5月末からは久しぶりのツアー“ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~”がはじまるので、ツアーでも披露したいなって。ぜひ楽しみにしていてもらえたら。
ふたりの旅を早く見たいです!
──楽しみにしています! ところで先ほどカレンさんが私たちは「ここがゴールというのを決めていないところが、ホロとロレンスと似ているんです」とおっしゃっていましたが、ClariSとしての音楽の旅の目標や目的というのはあえて決めていないのでしょうか?
**クララ:そうですね。旅をしていく中で楽しみを見つけていくことを旅の目的として捉えていて。
カレン:目の前のことに100%の力を注ぎつつ、前に進んでいく過程で見つけた楽しそうなこと、やってみたいこと、その場で浮かんだ次の目標を大切にしていきたいなって思っています。
──こうして話していても伝わってくるのですが、おふたりは本当に仲が良いですよね。ふたりの関係性があるからこそ、今回の曲が生まれたんだなと実感します。
クララ:ありがとうございます。照れちゃいます(笑)。
──CDのアートワークも楽しみです。どのようになっているのでしょうか?
カレン:すっごくかわいいです!
クララ:今回は刺繍をしてもらったんです。『狼と香辛料』をイメージさせるようなものがたくさん刺繍されています。中にはホロとロレンスが乗っている馬車の後ろを私たちが一緒に歩いて……と、一緒に旅をしているような刺繍もあります。それがすっごくかわいいです。実際に刺繍をしてもらっていて。
カレン:本物だからこその温かみがあるように感じました。また、新しいアー写では、高野(音彦)さんが私が刺繍をしている姿をイラストで描いてくださっています。それもすごくかわいいです。
クララ:ちょっとずつ、いろいろなところがリンクしているという。
──手作りならではのぬくもりに溢れた1枚になりそうですね。
カレン:ハンドメイドな一枚になりました。
──5月にはアルバムの発売も控えていて、どのようなアルバムになりそうか少しだけ教えていただけますか?
クララ:アルバムタイトル『Iris』(読み:イーリス)には虹という意味があって、その名の通り、いろいろな色の楽曲が収録されています。「今までClariSで歌ったことないよね?」って思わずふたりで話す楽曲が、何曲もあります!
──楽しみにしています。『狼と香辛料』が放送中ですが、どのようなお気持ちですか?
クララ:次の話が楽しみになるようなエンディングに仕上がっていると思いますので、私たちも毎回の放送がもごく楽しみです。
カレン:いち作品ファンとして、ふたりの旅を楽しみにしています。
インタビュー・逆井マリ
楽曲情報
★新曲「アンダンテ」先行配信中!
https://claris.lnk.to/Andante
★「アンダンテ」Music Video
https://youtu.be/P_44hrm_sk4
ClariS 28thシングル「アンダンテ」
○発売日:2024年5月8日(水)
○商品形態:
初回生産限定盤(CD+Blu-ray) VVCL-2460~1 :2,090円(税込)
通常盤(CD) VVCL-2462:1,430円(税込)
期間生産限定盤(CD+DVD) VVCL-2463~4:1,980円(税込)
【Disc1】(CD)※初回生産限定盤/通常盤
01.アンダンテ 作詞:長沢知亜紀・永野小織作曲・編曲:小野貴光
02.サクラ・インカーネーション 作詞・作曲・編曲:丸山真由子
03.擬態 作詞・作曲・編曲:重永亮介
04.アンダンテ-Instrumental-
【Disc1】(CD)※期間生産限定盤
01.アンダンテ
02.サクラ・インカーネーション
03.擬態
04.アンダンテ–TVMIX-
【Disc2】(BD)※初回生産限定盤
01.アンダンテ Music Video
02.アンダンテ Dance Video
【Disc2】(DVD)※期間生産限定盤
01.TVアニメ「狼と香辛料MERCHANTMEETSTHEWISEWOLF」ノンクレジットエンディングムービー
ClariS 7thアルバム「Iris」
○発売日:2024年5月22日(水)
○商品形態:
完全生産限定(CD+グッズ) VVCL-2476〜2477 ¥5,500(税込)
初回生産限定盤(CD+Blu-ray) VVCL-2478~2479 ¥4,400(税込)
通常盤(CD) VVCL-2480 ¥3,300 (税込)
「ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~」
https://claris-room.com/ClariS-Spring-Tour-2024.html
■5/25(土) Zepp Osaka Bayside
開場 17:00/開演 18:00
■5/26(日) 広島クラブクアトロ
開場 17:00/開演 18:00
■6/1(土) TOKYO DOME CITY HALL
開場 12:00/開演 13:00
開場 17:00/開演 18:00
■6/2(日)TOKYO DOME CITY HALL
開場 12:00/開演 13:00
開場 17:00/開演 18:00
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作品概要
あらすじ
ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。
「わっちの名前はホロ」
自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。
彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。
だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。
キャスト
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