大事なのは“等身大”。つむぎは “普通”だからこそ輝く恋する女の子──『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』リレーインタビュー 第3回:堤つむぎ役 集貝はなさん
ごく普通の高校生と天使の“胸キュン”な同居生活が描かれるTVアニメ『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』。しうの登場により、お互いのことをもっともっと真剣に考えるようになった森太郎ととわ。森太郎に恋心を抱くつむぎと、森太郎が初めての友達になったのえるの思いも交錯し、物語はますます賑やかになっていきます。
本作の魅力を掘り下げるリレーインタビュー第3回は、つむぎを演じる集貝はなさんが登場。“普通”であることにコンプレックスを抱き、なかなか森太郎への思いを打ち明けられずにいる思春期まっただ中の彼女をどのように演じているのか。つむぎの魅力と合わせて語っていただきました。
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自分に自信はないけれど、相手の素敵なところはちゃんと認められる子
――原作の第一印象はいかがでしたか?
集貝はなさん(以下、集貝):ヒロインがたくさん出てくるラブコメ作品というと、ヒロインみんなが主人公に恋心を抱いて、ハラハラドキドキの展開が続くイメージがあると思うんですが、『天使つき。』は“癒し”が一番大きいなと感じました。森太郎への感情、森太郎との関係性がヒロインごとにまったく違っていて、ヒロイン同士も仲良く、平和的に森太郎と温かい関係性を育んでいっているんです。これまで読んできたラブコメとは少し違う、リラックスして読める作品でした。
――集貝さん演じる堤つむぎは、どのような役作りで臨んだのでしょうか?
集貝:これまで演じさせていただいたキャラクターは、どちらかというと気が強く、はっきりと物事を言えるような子が多くて、まわりとの調和を大事にしたり、誰かを優しく見守ってお世話をしたりするようなキャラクターは演じたことがなかったんです。そういう意味では、すごくチャレンジな役どころでした。つむぎは他のヒロインと違って普通であることが個性ともいえる子なので、普通にやってしまったら私でなくてもいいと思い、普通なことが魅力に感じられるようなお芝居を意識しています。
――具体的にはどのようなアプローチをされたんですか?
集貝:つむぎの一番の特徴は、森太郎に対して唯一、明確な恋心を抱いているところです。この作品をラブコメにしている要因の一つなので、恋する女子高生、恋する女の子だということを何よりも意識するようにしました。頑張ってドーナツ店に誘おうとするけど恥ずかしくて言えない、そして行動しなかったことを後悔する……という感じで、つむぎは思ったように行動に移すことができません。その間に森太郎がとわちゃんやのえると仲良くなって、「こうなるなんて思わなかった!」と、さらに後悔してしまう。そういった、現実にもいそうな恋する女子高生、等身大の女子高生という部分を意識しています。
掛け合いになると他のヒロイン役の皆さんが個性的に、魅力的にキャラクターを演じられるので、もちろん私も等身大の女子高生ということを意識しましたが、皆さんが個性的だからこそ、つむぎの普通さを引き立てていただいた部分もたくさんありました。
――つむぎを演じられて、共感するような部分はありましたか?
集貝:すごく理解できるキャラクターではあるんですが、私はもう20代半ばの大人なので、どちらかというと一人の恋する女の子を見守るような気分です(笑)。もっと強くアプローチしたほうがいいよ、あなたはそのままでも素敵なんだよと、親目線というかお姉さん目線で応援しちゃいます。
――確かに、つむぎは応援したくなる女の子です。
集貝:たぶん、一番足りないのは自信のなさだと思うんです。森太郎とは基本的に学校では一緒にいるという、彼の日常に必ずいる存在ではあるので、あとはどれだけ自分に自信を持てるかだと思います。お弁当作ろうかって言えたくらいですから、勇気はあるんです。
ただ、とわちゃんやのえると仲良くなってから、普通であることがコンプレックスのようになってしまって……。私としては、その普通だと思っている部分に、世話焼きなところや優しいところが含まれていると思うので、つむぎ自身がそれに気づいて自信を持てるようになったら森太郎との関係もまた一つ進展するんじゃないかなというふうに見ています。
――森太郎に対しては少し臆病になっていますが、一方で修一に対してはわりとずかずかものを言いますよね。
集貝:むしろ、修一と息ぴったりに見えますよね。幼なじみなので当然といえば当然なんですが、さすがに好きな人に「夫婦漫才」と言われるのはちょっと悲しい(笑)。もちろん森太郎にはなんの含みもないんですけどね。でも、きっと好きな子にはそういうことを言わないだろうなと思うと、胸がキュッとなって「つむぎ、頑張れ!」って、ますます応援したくなります。
――とわにはあんなにドキドキしているのに!って思っちゃいますよね。
集貝:本当にその通りですよ! お弁当を作ろうかと言ったときも、森太郎の前でわざわざ修一には作らないと言って、それとなく森太郎が特別だということを伝えているのに……。森太郎は思春期の心をお家に忘れてきちゃうんですかね?(笑) あとは君次第なんだぞと、お姉さんは思います。
――そういった森太郎への恋心、とわやのえるへのモヤモヤなど、つむぎはいろいろな表情を見せてくれます。彼女の豊かな感情を表現するうえで、何か意識していることはありますか?
集貝:ヒロインの中で唯一のツッコミ要員であり、森太郎への恋心を隠しているということもあって、会話と心の声がものすごいスピードで入れ替わっていくんです。それを別々ではなく続けざまにアフレコしていくので、感情の機微やテンションの変化に振り落とされないようにしています。それが演じていて大変でもあり、楽しいところでもありました。森太郎も会話とモノローグがどんどん入れ替わるので、最初は森太郎役の梅田(修一朗)さんのお芝居も参考にさせていただきました。
――第5話Aパートでは、そんなつむぎの心情が丁寧に描かれましたね。
集貝:この作品は、ヒロインが天使や雪女という秘密を持っていて、それを共有してみんなの秘密にするんですが、つむぎの秘密だけは森太郎への恋心という対主人公の秘密なんです。だから森太郎はもちろん、とわちゃんやのえるとも秘密を共有できなくて悶々としてしまう。その分、モノローグが多くなり、森太郎と二人きりのときにそれが顕著になるんです。第5話のAパートが終わったときはかなり体力を消費しましたし、つむぎはよくそのテンションで疲れないなと感心しました。
――森太郎への恋心が溢れんばかりでした。
集貝:つむぎははっきりと恋心を自覚していて、森太郎との関係を進展させたいと思っています。でも、とわちゃんやのえるちゃんをかわいい、羨ましいと思っても、決して攻撃的な感情は抱かないんです。むしろ、素敵なところをちゃんと受け入れて、なんなら地上のことをよく知らないとわちゃんをサポートしてあげるようなところがある。そういう部分が素敵だなと感じます。
――確かに、とわたちのことをかわいいと言っていますよね。
集貝:第5話冒頭で森太郎、とわちゃん、のえるの関係をノートにまとめたときに、二人のことを「超~かわいい」と書いているんです。自分しか見られないノートなのに、そこでも「かわいい」と書ける子なんですよ。自分に自信はないけれど、相手の素敵なところはちゃんと認められる子なので、あのシーンはますますつむぎのことが好きになりました。
――図書室での一コマや子どもに傘を差し出すシーンなど、お姉さんっぽさが感じられるところもありました。
集貝:つむぎは弟がいるのでお姉ちゃん気質なところがあるんです。庇護欲をかき立てられやすいのかもしれません。
――眠そうな森太郎を見ているときの「かわゆ」もかわいかったです。
集貝:ありがとうございます。あの「かわゆ」は、持っていったものがそのまま採用されました。『天使つき。』はツッコミにしてもアドリブにしても、「ここまでやっても大丈夫かな?」というテスト(リハーサル)での振り切ったお芝居を生かしてくださることが多かったので、とても挑戦しがいのある現場でした。
――最後は、相合い傘をして一緒にドーナツ店へと行き、少しだけポジティブになれたのかなと。
集貝:子どもに傘を差し出すところは、好きな人といるから子どもに傘を差し出したのではなく、一人でいても傘をあげていたと思うんです。その自然体の優しさがあったことで、結果的に森太郎との距離が縮まったというのが素敵でした。ただ、そのあとBパートでのえるがかわいらしい姿を見せてくれて……。
――チューブアイスを分け合って、そのキャップを大事に取っておくという。
集貝:あそこまでつむぎとの関係性がクローズアップされて、普通でもいいのかもと少し前向きになった矢先に、森太郎とのえるがより親密になるんですよね(笑)。これもまたつむぎらしいなって。そこも含めてつむぎがますます愛おしくなりましたし、のえるもかわいかったので、第5話は本当に大好きなエピソードでした。ただ、つむぎとしてはのえるにはこのままでいてほしいな、と。友情とは違う感情を自覚されると大きなライバルになってしまうので(笑)。
――先ほどもちらっと伺いましたが、森太郎という男子についてはどのようにご覧になっていますか?
集貝:つむぎはグイグイいけるタイプではないんですが、それでも頑張ってアプローチはしているんです。だから、つむぎを演じながら恋バナの相談に乗っている気分になることもあって、そうなると「森太郎! こんなに頑張ってるかわいい子を前にして、なんで平常心でいられるんだ!」って、ツッコミを入れたくなります(笑)。
――(笑)。
集貝:ちゃんと頑張ってるんだから、気づいてあげなよって。一回、森太郎と話し合いをさせてほしいです、集貝として。
――完全にお姉ちゃんですね。
集貝:ただ、どのヒロインともフラットに接することができるのは素晴らしいと思います。天使だからとか、雪女だからとかではなく、一人の人として受け入れて、やりとりができる。つむぎもそういうところが好きなんだろうなと思いますし、私も器が広いなと感じています。
――とわとのえるについてはいかがでしょうか?
集貝:とわちゃんは一生懸命、この世界のことを勉強しているところが偉いですし、だからこそつむぎも面倒を見たくなるんでしょうね。ファミレスで目を離した途端、急に接客を始めてしまうくらい世間に疎いという部分も含めて、つむぎの長女気質を刺激するというか。きっと相性がいいんだろうなと感じました。
のえるは、そのギャップが好きです。氷の女王と呼ばれるツンとした美人さんかと思いきや、ただ友達づくりが苦手な女の子だったという。しかも、その友達観も極端で、小学校のときに夢見たものへの憧れが今も続いているんです。友達観が小学校で止まっているというのはちょっと切ないものがあるんですが、逆に友達ができて突っ走ってしまうところは本当にかわいくて。彼女もまた見守りたくなる女の子ですね。
――では、恒例の「最近見た天使な人」を教えていただけますか?
集貝:この取材の前に電車で見た赤ちゃんですね。私の隣に座っていたお母さんが赤ちゃんを抱っこしていて、その子が私にグミをくれようとしたんです。お母さんが「やめなさい」と言って制止したので、受け取ることはできなかったんですが、ニコニコしながら差し出してくれるのがかわいくて。さすがに「グミ、ください!」と言うわけにはいかなかったものの、天使な子の天使な行動が見られて幸せいっぱいでした。
――ありがとうございます。では最後に、第7話以降で期待してほしいポイントを教えていただけますか。
集貝:これからリリーシュカやひすいといった新しいヒロインが登場します。森太郎とヒロインたちの関係性も楽しみにしていただきたいのですが、それと同じくらいヒロインたちの関係性にも注目していただけたら嬉しいです。少しずつ変化して、素敵な関係性を築いていくので、楽しみにしていてください。
TVアニメ『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』作品情報
放送・配情報
<放送>
4月6日(土)より放送開始!
TOKYO MX:4月6日より 毎週土曜日22:00~
関西テレビ放送:4月7日より 毎週日曜日26:29~
テレビ愛知:4月9日より 毎週火曜日25:30~
BS日テレ:4月6日より 毎週土曜日22:30~
AT-X:4月7日より 毎週日曜日21:30~
※【リピート放送】毎週水曜日29:00~/毎週日曜日6:30~
北海道テレビ:4月10日より 毎週水曜日25:55~
新潟テレビ21:4月15日より 毎週月曜日25:15~
秋田朝日放送:4月15日より 毎週月曜日25:20~
テレビ愛媛:4月15日より 毎週月曜日25:30~ ※初回のみ25:45〜の放送となります。
長崎文化放送:4月24日より 毎週水曜日25:18~
YTS山形テレビ:4月25日より 毎週木曜日25:40~
北陸朝日放送:5月11日より 毎週土曜日26:30~
東日本放送:5月17日より 毎週金曜日26:25〜
<配信>
■ABEMAにて3月30日(土)より毎週土曜日22:30~
地上波1週間先行・単独最速配信!
■dアニメストア:4月6日(土)22:00~配信開始
■4月8日(月)22:00~順次配信開始
【見放題サイト】
マンガUP!/Prime Video/ニコニコチャンネル/ニコニコ生放送/バンダイチャンネル/Hulu/FOD/DMM TV/J:COM STREAM/auスマートパスプレミアム/milplus/TELASA/U-NEXT/アニメ放題/Lemino/ひかりTV/SPOOX/TVer
【都度課金サイト】
Google TV/YouTube/クランクイン!ビデオ/Happy!動画
※放送・配信日時は変更になる場合があります。
イントロダクション
高校1年生になり、一人暮らしを始めた徳光森太郎。
ある日、ベランダを覗くと清楚で可憐な女の子「とわ」が眠っていた。
どこか天然だけど、間違いなくいい子な彼女。
その正体は――「天使」だった。
行くあてもないとわと始める、
とっても甘くて、とってもピュアなワンルーム生活。
森太郎は、無垢な天使と少しずつ心を通わせていくけれど……。
さらなるワケあり少女が次々と現れて!?
天使と高1男子が織りなす癒やされ同居ラブコメ、開幕!
スタッフ
原作:matoba(掲載 月刊「少年ガンガン」スクウェア・エニックス刊)
監督:大西健太(オクルトノボル)
シリーズ構成・脚本:ヤスカワショウゴ
キャラクターデザイン:上武優也
色彩設計:吉田隼人
美術設定:海津利子(スタジオちゅーりっぷ)
美術監督:根岸大輔(スタジオちゅーりっぷ)
撮影監督:青木睦希(旭プロダクション)
編集:本田優規(旭プロダクション)
3Dディレクター:中島 豊(旭プロダクション)
音楽:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
音楽制作:日本コロムビア
音響監督:中谷希美
音響制作:ブシロードムーブ
アニメーション制作:オクルトノボル
オープニングテーマ「君色のキセキ」/小倉 唯
エンディングテーマ「Sunny Canvas」/サンドリオン
キャスト
徳光森太郎:梅田修一朗
とわ:遠野ひかる
堤 つむぎ:集貝はな
和泉のえる:大西沙織
リリーシュカ:小倉 唯
蔓深ひすい:高尾奏音
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原作情報
原作コミックス「ワンルーム、日当たり普通、天使つき。」
著:matoba
(ガンガンコミックス/スクウェア・エニックス刊)
1~6巻 好評発売中!
最新7巻は4月12日(金)発売!