夏アニメ「先輩はおとこのこ」連載：梅田修一朗さん（花岡まこと役）インタビュー｜まことは女の子になりたいのではなく、自分の“かわいい”を貫きたいだけ

周りとズレていても、自分の考えや価値観を捨てなくていい気がします

――まことは、他の人とは違う、普通じゃないかもしれない自分の感覚に悩む少年です。梅田さんは“普通”とはどういうことを指すと思いますか？

梅田：難しいですよね。一般的には多くの人が共通して思い浮かべる価値観とか、比較的すり合わせられる考えを指すのかな？　ただ、本作を通じて、普通というのは自分のなかにあって、それぞれ違うのかもしれないなとも思いました。自分のなかにある当たり前の価値観と言うか。

――方言なんかはまさにそうかもしれないですね。私は関西出身なのですが、自分のなかでは生まれた地域の言葉やイントネーションが普通だと思っていたけど、実は違うということが大きくなるにつれて分かっていきました。生まれた場所によっても、普通というのは変わるものかもしれないです。

梅田：確かに、標準語と言われているものもありますが、生まれた場所によってはそっちの方が普通じゃないと思う方もいらっしゃるかもしれないですよね。やっぱり難しい概念です。

――梅田さんは周りとはちょっと違う感覚かも、と思った経験はありますか？

梅田：よくあります（笑)。自分が面白いと思ったことを「これ、いいよね」と友人に伝えると「何が？」って言われることがちょくちょくあるんですよ。

――例えば、どのような経験がありますか？

梅田：パッと思い出したエピソードは、居酒屋の黒糖そら豆。友達と一緒に行ったとき注文した黒糖そら豆が、スリッパみたいな形だったんですよ。それで、「見て見て。これ、スリッパみたいだよ。履けそうじゃん」って目を輝かせて感動を伝えたら、「な、何言っているの？」という反応をされました（笑）。僕は真面目に言っていたけど変な空気になったんですよね。とはいえ、疎外感があるわけでもなく。周りの方々のおかげで、感覚が多少ズレていても問題なく過ごせていますね（笑）。

――周りと多少考えがズレていたとしても、自分も絶対に合わせないといけないということはない気がします。

梅田：度合いにもよると思いますが、自分の考え方や価値観を捨てなくてもいい気がします。捨てるのではなく、その考えを言うか・言わないかを選択することが大切なのかもしれません。

――あえて言わなくていいときには言わなくてもいいし、まことたちがまさにそうだと思うのですが、言えるコミュニティを作るのが大事なのかもしれません。

梅田：そうですね。場所やタイミングによっては秘めることも必要かもしれませんが、自分のことを伝えたいのに伝えられないのは、やっぱり辛いと思うので、コミュニティは大切な気がします。

――自分らしさもテーマのひとつと感じる本作。梅田さんは自分らしさを貫けるタイプですか？

梅田：うーん、貫けるというよりかは、自分の考えを捨てないでずっと持っておいて、タイミングを見て出すタイプかな。「目の前に壁があったらどうする？」という例え話をされたら、よじ登って超えたり、壊したりするではなく、遠回りをしてでも抜け道を探すタイプと答えると思います。

それは、自分のやりたいことを貫きたいと思っていても、力ずくで通す力を持っていないと思っているから。心に自分がやりたいことを秘めながら、協力してくれる人を探したり、タイミングを見計らって行動したりするタイプです。

――時間がかかっても諦めない。それだけ意志が強いんだと思います。

梅田：根底は頑固なんだと思います（笑）。

――最後に、梅田さんが思う本作の推しポイントを語っていただければと思います！

梅田：ぽむ先生が描くきれいで透き通るようなタッチ・物語が『先輩はおとこのこ』の魅力です。アニメではそこに音楽や僕たちの声が付き、映像になることで、漫画とはまた違った感じ方をしてもらえるんじゃないかな。原作ファンの方が喜んでくれて、アニメで初めて本作に触れる方にも「素敵だな」と思ってもらえる作品に仕上がっていると思います。ぜひまことたちの一瞬、一瞬を見届けてください。

　
［文＆写真・M.TOKU］
　