音楽
シド マオとゆうやにとっての『黒執事』の世界/インタビュー

シド(マオ/ゆうや)インタビュー|アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』のエンディングを彩る「贖罪」を手掛けるにあたっての想い 「P4たちの気持ち、P4を見ていて僕が思ったことを歌詞にしました」

 

シドと『黒執事』の歴史、そして「愛」

――『黒執事』との4度目のコラボレーションとなります。これまでのシドがリリースした『黒執事』の楽曲との違いをおふたりはどのように感じていますか?

マオ:4回目でありながら、4回とも楽曲の色がガラッと変わっているのが『黒執事』とのコラボの特徴だと思うんですけど、今回は、その中でも一番「切なさ」「儚さ」みたいなものを全面に押し出したミドルテンポの曲になったと思っています。またシドが得意としている内のひとつのジャンルを発表できたかなと。

――公式でのコメントで「シドらしさ」と「黒執事らしさ」というワードがありました。その2つを出したいというのは最初からビジョンとしてあったのでしょうか?

マオ:そこは意識しましたね。いつもそこが一番大事かなと思っていて。アニメにばかり寄るのではなく、「自分らがこうやりたいから今回はこうだ!」とばかりに寄るのでもなく、一番いい所を見つけて、その上でお互いに寄っているふうにも見える作品づくりになったんじゃないかなと思っています。

 

 

――「シドらしさ」といえばいろいろな魅力があると思いますが、「『黒執事』らしさ」という部分に関して、マオさんはどのように捉えられていますか?

マオ:自分がやっていることで言うと、作詞の部分なんですけども。歌詞の場合は曲と違って思っていることを伝えやすいんですよね。今回はより『黒執事』の世界に寄った方がいいのかな?と思って、歌詞の部分は『黒執事』の世界にかなり寄りましたね。それは今回に限らず、毎回のことで。原作を読ませていただいて感じたことだったり、主人公やいろいろなキャラクターが感じていることを自分なりに表現していくという歌詞が多いです。

――参加されているタイアップ作品にはそれぞれに特別な思いというものがあると思うのですが、それだけマオさんにとっても『黒執事』は特別な作品なのでしょうか?

マオ:そうですね。アニメだけでもたくさんの作品とコラボさせていただいていますし、それぞれに思い入れはあります。中でも『黒執事』は歴史もそうですし、回数もそうですし、ダントツ付き合いが長いし多いので。

年月と回数を重ねたことによってしか生まれない「愛」もあると思うんです。それがどんどんどんどん高まってます。

――きっとそれはリスナーの方も同じ想いのような気がします。

マオ:実際、そういう声もたくさん僕たちに届きます。「シドで良かった~!」と言ってくれるのもうれしいです。

前作から7年経って時代も変わっているので、シドを初めて聴くっていう方もいっぱいいると思うんです。そんな中でもあれだけ「シドで良かった」と言ってくれるのは本当にうれしいことです。まぁ、アニメが持つパワーが元々すごいので、そこは大きいとは思いつつも、一緒にやってきたものが認められているんだなと肌で感じますね。

――実際に『黒執事 -寄宿学校編-』でシドを知ったという方からの声も届いているんでしょうか。

マオ:いましたね。初めては『黒執事 -寄宿学校編-』で知って、そしてシドを好きになってくれて。「シドのライブも行きます!」という声もありますし、なんならシドのファンクラブや、ソロのファンクラブにも入ってくれた方も。

ゆうや:ふははは(笑)。ありがたいですよねえ。

マオ:その入口からここまで辿り着いたのか!っていう(笑)。ありがたいですよね。

――すごいですね。相当、沼というか奥地まで……。

マオ:そうそう。だから一直線だったんでしょうね。ハマりが良かったんだなと。

――それだけ『黒執事』とシドの相性が良い証拠のような気がします。

マオ:う~ん。ありがたいっすねぇ。

 

 

――ハマりが良かった、というお話がありました。その通りではあるんですが、なぜそこまでビチッと合うんでしょうかね? もちろん歩み寄っている部分もめちゃくちゃあると思うんですけど、本能的なところですごく重なり合っている気がしているんです。

マオ:元々の音楽のジャンルもあるかもしれません。例えばシドの写真1枚をとっても、世界観がそんなに遠くなかったというのもあったのかな?と思いますけど。僕らがまったく異なるジャンルであれば、全然また違う感じになるというか。僕らだけじゃなくて、「シド」を『黒執事』にハメてみようと思ってくれたレコード会社やアニメの制作会社の思ったことがハマったという部分もきっとありますよね。

――なんだか運命的な歯車みたいなものを感じますね。

マオ:そうですね。

――先ほどマオさんから歌詞の場合は曲と違って思っていることを伝えやすいといったお話がありました。ゆうやさんは「贖罪」を作曲するにあたってどのようなところからスタートしていったのでしょうか?

ゆうや:楽曲的には言葉での説明ができないからというのもあるんですけど。4回目のコラボという中で、『黒執事』をすごく意識しています。曲を作るにあたってはずっと作品とのマッチングはいいと思っているので、そこまでガチガチに今回の「寄宿学校編」を意識しまくったという感じでもないんですよね。

今のタイミングで出すシドのニューシングルであるということと、久しぶりのアニメ『黒執事』とのコラボの第4弾というところで、初見の方もいらっしゃいますし、ずっと継続して応援してくださっている方もいらっしゃいますしということで、「新曲枠」として意識しましたね。

――自然とシドらしさと『黒執事』らしさが融合できるというのは、それだけ馴染んでいる作品でもあるというか。

ゆうや:まぁ、基本的に多分、(タイアップを)2回やらせていただくことってないと思うんですよ。周りとか見てても、2回やらせてもらうことってなかなかないなぁ。3回になってくるともっとない。4回は多分、ないんじゃないかな?と思うんですよ、俺は。

(シドと『黒執事』に)お互いの歴史がすでにあって、いち『黒執事』愛読者として、ずっと積み重ねてきたりしていて。例えば、僕らバンドもそうですけども、21年続けていて、いい意味でいちいち聞かなくてもお互いを分かるんですよね。その感覚に近いかもしれないですね。
 

 

――いち読者という言葉もありましたが、ゆうやさんにとって今回の「寄宿学校編」の原作を読まれた際はどのようなご感想がありましたか?

ゆうや:いつも入口に『黒執事』らしさがあるなと思っているんです。前章までのストーリーを一旦置いておいて、入口で入りやすいようになっていて。

そして、どんどん悪魔感が出てくるような感じ。原作もアニメも「あ、また『黒執事』が始まったんだな」と思わされましたね。

――その流れは「贖罪」の曲の展開にも当てはまるような気もするのですが、どうでしょうか。

ゆうや:そうですね。「贖罪」に関しては「エンディング主題歌で」と言われた印象がすごく強くて。僕的にはエンディングって劇中からすーっとフェイドインしてくるような感覚なんですよね。

だから、最初からジャカジャカジャカジャカ鳴っても、そこはまだ劇中で、ジャカジャカが一旦収まって、Aメロに入った瞬間のヴォーカルが静かになっているところが、ちゃんとしたスタッフのクレジットが出てくるような部分に当たるんだろうなぁと。

そう思うと超切なくて、超物悲しい音数がひとつだけの……いわゆるゼロイントロと呼ばれるピアノイントロが欲しいなぁって思ったんですよね。絵が見えた感じでした。

――それもあって、あの旋律が。

ゆうや:そうですね。サビの最後におまけのメロディがついているんですけど、そこのメロディと同じピアノのメロディなんです。

大サビっぽいところを最初切なく聴かせて、一通り聴いた後の最後のメロディがマオくんのヴォーカルで言葉が乗った状態で戻ってくる感覚の構成がすごくいいな~!と思っていました。

 

 

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