音楽
シド マオとゆうやにとっての『黒執事』の世界/インタビュー

シド(マオ/ゆうや)インタビュー|アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』のエンディングを彩る「贖罪」を手掛けるにあたっての想い 「P4たちの気持ち、P4を見ていて僕が思ったことを歌詞にしました」

 

歌詞で表現したのは『黒執事』ならではの深いテーマ

――マオさんは「寄宿学校編」だからこそストーリーやキャラクターを意識したところというのも課題ではあるのでしょうか?

マオ:そうですね。普段はセバスチャンやシエルの気持ちや、自分が想った『黒執事』というのをテーマに歌詞を書いてきたのですが、今回核となる「P4(ピーフォー/プリーフェクト・フォー)」というキャラクターたちの気持ち、P4を見ていて僕が想ったことを書きました。

――進んでいくごとに、この歌詞が深まっていくという感覚があるんですけれども。そのあたりは当たり前のように意識されていたところがありましたか?

マオ:そうですね。人はそれぞれ大事なものを守りたいという気持ちがあって、ただ……その守りたいという気持ちは一歩間違えると大事な物を壊してしまうことにもつながっていく。それって、誰しもの人生のテーマでもあるように思います。

そして、愛が強すぎたゆえに「守りたい」と思ったことによって、順調だった人生が壊れていく。でもそれは誰しもあり得ること。そういうゾクッとする部分がこの原作を読んだときにあったんですよね。その『黒執事』ならではの深いテーマをしっかりと「贖罪」という曲にも乗せて歌いたいなと思って、本当に深いテーマを目指して書きましたね。

 

 

――そういった二律背反的な部分は日常的にも潜んでいることですものね。

マオ:周りが見えなくなることって、最近のSNSの時代だと特に問題視されていると思うんですよね。そういったところにも切り込んでいけるような歌詞にしたいと思って書きました。

――マオさん自身もそういうことってあるんですか?

マオ:う〜ん。あまり、ないかもしれないですね(笑)。俺は性格がポジティブな方なので、愛情の深さみたいなものも深過ぎて戻ってこれないようなところにいくというよりは大きな愛で包み込みたいなというタイプではあるので。

――たしかに大きな愛のような印象があります。

マオ:こういう仕事をしていて、たくさんのファンのみなさんに応援してもらっていて、という仕事がすごく向いていると自負してますね。

――マオさんの場合、自分には持っていない感覚みたいなところというのは、今回の『黒執事』の原作をはじめとした物語・作品や、いろいろな人の話から得ていくのでしょうか?

マオ:そうですね。自分が共感ばかりできる作品を好んで見なくて。自分が体験できない、したことがないことって、作品から一番受け取れる要素だと思うんですよね。それは『黒執事』もそうですし、本でも映画でもなんでも。

「自分には(その感覚は)ちょっと分からないけど、ずっと見ていたら分かるようになるのかな」「俺は違うけどこういう人はきっといるんだろうな」とか。そういう受け止め方をしていくほうが、深い考えを持てる人間になっていけるような気がするので、普段はよく考えていますね。

 

 

――マオさんは新しいことにどんどんチャレンジされることもすごく好きな印象があるんですけど、それってそういう考え方からきているのでしょうか?

マオ:そうなんですよね。ちょっと……ぬるま湯っぽくなってくるとそのお湯から出ちゃうみたいな感じがあるんで(笑)。そこは昔からそうかもしれないですね。

――ゆうやさんも同じようなお考えなのでしょうか?

ゆうや:え~?! 俺は闇が深いですよ。

──(笑)。

ゆうや:いや、嘘です(笑)。基本、楽天家なんですよね。

――マオさんも先ほどポジティブという言葉がありましたけど、通じる部分はあるんですか?

ゆうや:あるかもしれないですね。だいたい、寝て起きたら忘れている感じだから。楽しきゃいい(笑)。シンプルなんすよ。

――曲に関してはものすごく繊細に編まれていくじゃないですか。特に「贖罪」はものすごく丁寧に。

ゆうや:あ、そこは実は繊細というより……なんていうんだろう。ちょっと話が飛んでしまいますけど、昔からずっとカラオケがすごい好きなんすよ。で、自分のカラオケのレパートリーを振り返ると、バラードが好きなんですよね。メロディが染みる曲が好き。

カラオケボックスに行ったら(自身は)盛り上げそうな風貌じゃないですか。盛り上げ役やらないんすよ、俺。ずっと自分が好きな曲だけ、ずっとしんみり歌うのが好き。そういうタイプなんすよね。実はむちゃくちゃナルシストと言いますか(笑)。カッコつけマンでもあるんです。それを音楽で表現できるからいいなと思っているんですよね。

――そういう意味では「贖罪」の制作は楽しかったんじゃないでしょうか?

ゆうや:好きなタイプですよ! 全く気持ちが苦しくなくて、どっちかというと(曲に)浸れちゃうタイプですね。「めっちゃいい~!」と。

それこそ、うちのメンバーは全員そうなんですけど、曲の制作で曲を(メンバーに)提出するとなった時に、自分でメロディを歌ってだいたい提出しているんです。「ラララ~♪」とか、歌詞がない状態で自宅で録るんですけども、それが気持ち良ければ気持ちいいほど、良い曲なんだろうなと思ってますね。

 

 

――作っている自分がグッとこなければというのもありますものね。そしてグッとくる、気持ちが良い=良い曲と言いますか。

ゆうや:自分で言うのもですが、そうなんですよね(笑)。俯瞰で見るためにも、作っている最中に自分が歌った曲を何回も聴いて、自分ではなくて、人が歌っているように聴くこともあって。「ここ、もう半音上がったほうがいいじゃん」って思ったら、どんどん訂正をしていくっていう。

――「贖罪」に関しても、そういう作業があったりしたんですか?

ゆうや:はい。どの曲でもだいたいそうやって作っていくんですけども、特にバラード系というかミドル系のテンポは好きな分、こだわりが強いかもしれないですね。勢いだけでばーっといけるような速いテンポの曲よりはそっちの方が僕は好きだったりします。

――それはドラムのプレイに関しても?

ゆうや:ああ、それはそうだと思います。僕ね、間が好きなんです。全部埋まっているよりは、間をどう埋めるか、とか間を楽しむのが好きなんですよ。こんなにおしゃべりなのに(笑)。お笑いを観ている時も間が好きなんです。僕は人間的にはそれができないタイプなので、音楽でそういうのを表現しているんです。恥ずかしがり屋なので、間が地獄なんです。それが嫌だから、カラオケでずーっとひとりで歌ってるんですよね。シーンとしているところに居られないんですよね。

――ある意味、今活動されているオンラインサロンにも向いているっていうことですものね。

ゆうや:そうですよ。むちゃくちゃずっとしゃべってますから。相手にしゃべる隙を与えませんからね(笑)。自分を俯瞰で見てかっこよくないなと思うんで、音楽では間をしっかり意識してやってます。俯瞰な目も持っていると思うので、大丈夫かなと。

――レコーディングではShinjiさん(Gt.)や明希さん(B.)とは、ゆうやさんも含めて曲に関してのやりとりがあったのでしょうか? それとも自然とばっちり合うような感じでしたか?

マオ:レコーディング自体が結構前なんです。だから覚えていることは少ないのですが、「贖罪」のギターソロに関しては、僕からShinjiに事前に注文しましたね。「『黒執事』の世界観に寄せてくれ」と。

ゆうや:たしかに、マオくん言ってた。

マオ:ギターソロは元気な雰囲気になりそうだなと思って。そうではなく、シリアスで……「謎」みたいなものをテーマにしたかったので、ただミステリアスなギターソロというよりかは、フレーズだけではなく、音色からしっかり作ってほしいというのはお願いしました。

 

 

――その過程があって、出来上がった音を聴いた時、マオさん、ゆうやさんとしてはどのような手応えを感じられましたか?

マオ:ああ、いいな〜と思いましたよ。

ゆうや:全体的にめちゃめちゃいいなって思いました。それこそ、元々ピアノのテイストは入れていたんですけど、伴奏で入っているピアノのメロディをプロのピアニストに弾いてもらって。やっぱり味があって全然違うなというところと、すごく美しさが増していいと思いました。

――ピアノが入っているのと入っていないのとで全く印象が違う気がします。

ゆうや:全く違いますね。ピアノがないとあの水っぽい感じがなくなると思います。

――ところで「贖罪」のMVの撮影中にドラムのスティックが折れたという話をSNSで拝見したのですが……。

ゆうや:折れましたね。スパッといきましたね。個人で撮っている時の出来事だったんで「良かった〜」って思いましたよね。みんなで撮っている時だったら迷惑をかけてしまうので。しかもその折れたスティックをプレゼントにして(笑)。ここまでくると、心に残るエピソードがあまりなくなってきてしまうんです。だから、お土産ができて良かったと思いました。

――折れるほど、力が入っていたということなんですかね?

ゆうや:たしかに気合いが入っちゃいましたね。あんなにミュートしている状態で、バコンバコン叩いてて。

 

シドのライブが目指すのは“一体感”

――マオさんはアルバム『habit』を引っ提げたソロツアー「MAO TOUR 2024 -habit-」も控えられています。

マオ:アルバムは何気に初のフルアルバムで、初のスタンディングのライブハウスツアー。普通のバンドマンがやってそうなことを全てやってこなかったので、ここにきて初めてバンドマンらしいスタイルでやれるのがすごく楽しみですね。

いろいろな地方をかなり細かく回るので、直接会えていなかったファンの子たちに会えるのが一番楽しみですね。僕らのファンの子って結構、いろいろな会場を回ってくれる熱心な子たちも多くて。その子たちが1本1本飽きないような、それぞれの良さが出るライブができたらいいかなと思っています。

――そこまで細かくライブハウスを回ってくれるというのはファンの方もうれしいですよね。

マオ:ずっと直接見れてなかったけど、このタイミングでライブに行きますという方も多いので、求められてはいたのかなとは思いますね。

――ゆうやさんもS.Yuyaとして、1stアルバム『travel』をリリースされます。

ゆうや:ずっと支度して置いておいた曲たちをアルバムにして10曲出します。全部、作詞・作曲して、終いには曲中のギターも全部自分で弾いて、ベースも打ち込み&手弾きも全部自分でやってと、全てセルフのアルバム。自由すぎる感じではありますけども、KUWATA BANDに追いつけるように頑張りたいと思います(笑)。

発売当日の6月2日にはライブがあって(「S.Yuya MUSIC BOX ~travel~」東京・目黒ライブステーション)。今めちゃくちゃ慌てて準備中です。明日からリハーサルなんですけど。自分がカッコつけられるためにも、いろいろと準備中なのですが、支度が追いついていなくてですね。本当に大変ですね……こういうのって(笑)。

 

 

――最後に、今後のシドのツアー「SID HALL TOUR 2024」についても意気込みを教えていただけたら。

マオ:ホールツアーは久しぶりなんですけど、ホールはシドにとってもやりやすいイメージがあって、ファンにとってもいい部分がたくさんあって。きっと素敵なツアーになると思いますね。

――やっぱりホールならではの良さみたいなものは、マオさんとしても感じられるんですか?

マオ:そうですね。ホールの場合は席が決まっているんで、しっかりメンバーのパフォーマンスが見れたり、音響がどこの席でもあまり極端に変わらないとか。それぞれが楽しみやすいスタイルで楽しめるところがホールのいいところだと思います。かつ、シドのライブは“一体感”を目指していくので、どんどんいいツアーになっていくんじゃないんですかね。

地元の久留米が入っているんですよね(11月3日久留米シティプラザ ザ・グランドホール)。今年はソロでも久留米に行くので(7月12日 久留米ウエポン))1年で2回も久留米でライブをやれるのが本当に幸せだなと感じています。

ゆうや:僕も久留米に行けるのが楽しみなんですよ。久しぶりのホールツアーなので、もちろん各所めっちゃ楽しみなのですが、僕の人生では久留米でのライブは……多分、4回目くらいなのかな? すごくいい街で好きなんです。景色もいいですし、ラーメンがめちゃ美味いんすよ!(全角スペース)ラーメンがダントツで美味い。まじで半端ないっすよ! 

――では久留米のライブに来た方には、ぜひラーメンも食べてもらいたいところですね(笑)。

ゆうや:絶対食べた方がいいっすね。前回に久留米に行った時に、2日間で6食、豚骨ラーメン食いました。もう昼飯食って、夜食って、飲み明けに締めで食ってを繰り返したら6食になってました。

――それはすごい。ゆうやさんもマオさんと一緒にくるめふるさと大使になれるんじゃないかなと……。

マオ:(笑)。

ゆうや:そうですね! ふるさと大使の仲間でやっていこうと思います(笑)。

 
[インタビュー・逆井マリ]

 

CD情報

 
【発売日】2024年5月29日
【価格】
期間生産限定盤:2,200円(税込)
初回生産限定盤:3,300円(税込)

アニメイト特典

■A4クリアファイル(『黒執事 -寄宿学校編-』アニメ絵柄)(連動購入)
※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
【対象商品】
【音楽】TV 黒執事 OP「狂信者のパレード」/音羽-otoha- 完全生産限定盤
【音楽】TV 黒執事 -寄宿学校編- ED「贖罪」/シド 期間生産限定盤
※上記2タイトルを連動購入いただいた方が対象となります。
※ED「贖罪」/シドは期間生産限定盤のみ対象となります。

■ミニフォト(アニメJK絵柄)
※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。

 

作品概要

黒執事 -寄宿学校編-

あらすじ

19世紀英国――
名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負っていた。

ある日、シエルの元に女王から、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通う親族・デリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届く。

かくしてセバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入する。事件の真相とは…?

キャスト

セバスチャン・ミカエリス:小野大輔
シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾
エドガー・レドモンド:渡部俊樹
ロレンス・ブルーアー:榎木淳弥
ハーマン・グリーンヒル:武内駿輔
グレゴリー・バイオレット:橘龍丸
モーリス・コール:堀江瞬
クレイトン:石毛翔弥
チェスロック:戸谷菊之介
ヨハン・アガレス:速水奨
マクミラン:白石晴香

(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Black Butler

 

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