誰かの感性を受け止め、守れるように――『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』悲鳴嶼行冥役・杉田智和さんインタビュー｜悲鳴嶼が“自然と”柱のまとめ役になっている理由とは？【連載第3回】

様々な展開の際にも、キャラクターがブレないことを強く意識

――作品の中で、柱の戦いぶりは強く印象に残るものだと思います。もっと活躍を見たいキャラクターを挙げるとするならば誰でしょうか？

杉田：もうすでにみんな何かしら活躍はしているので。そこを楽しみにしてもらえればと思います。

ちょっと別の話になりますが、今後もし悲鳴嶼さんの「DX日輪刀」を作る機会があったとしたらどうするんだろうなと思って。鬼という名の父親に投げつける可能性もあるかもしれない（笑）。

以前知り合いのお子さんが、ウルトラマンの剣で僕を殴ってきたことがありましたが、ウルトラマンとして「何が来ても大丈夫だ！　受け止める！」って思っても、実際はけっこう痛いんですよ。

一同：（笑）

　
杉田：（その子の）お父さんに「けっこう痛えだろ？」って言われました。「ああ、やっぱり父親ってすげえな。偉大だな」って思います。

もしそういう展開（悲鳴嶼さんの「DX日輪刀」等）があったときにも、キャラクターとしてブレずにいるためにどうするか、というのは考えています（笑）。

――「柱稽古編」以前で、好きなエピソードなどはありますか？

杉田：物語についてというより、現場の話になってしまうのですが、基本、役者の皆さんはどこか悪ノリにならないように、感情が悪い意味ではじけ飛ばないように抑えているなという印象がありますね。好き勝手動いているように見えるキャラほど、裏で繊細に演者が想っていたりするので。

――コミカルなシーンがあったとしても、作品の世界観は崩さないようにしていると。

杉田：「そう聞こえるにはどうしたらいいんだろう？」とちゃんと裏で考えて演じているからこそ、「ああ、だから（この役者さんは）このキャラに選ばれたんだな」と思います。

誰かの感性を受け止め、守り切れるように

――日本に限らず、世界中から支持されている作品ですが、それを感じた瞬間などはありますか？

杉田：反応自体は、海外・国内でほぼ変わらないのかなと思っています。今は海外・国内どちらもほぼ同じタイミングで配信される、同時期に楽しめる環境だと思うので。だからそれを特別気負うこともないです。むしろ各地の反応というのは自分のもとにも届くものなので。いつも励みになっています。

――海外での反響を見て、この作品には、国を問わず、響くものがあるんだなと感じました。杉田さんが思う悲鳴嶼の魅力を教えてください。

杉田：まず率先して自分がこういう立場でいる、こういう考え方であるというのを行動で、言動で示すところかな。隊士から悲鳴嶼さんが慕われている理由ってまさにそこかなと個人的には思います。単純な戦闘力だけじゃない。

――別のお話になりますが、不安を打ち消すためには反復練習に勝るものはないというお話がありました。それはリアルに反映されていることなのでしょうか？

杉田：ずっとそうです。言いづらい言葉があるなら繰り返し口を慣らすしかないなと思います。

――演技においても同じだと。

杉田：同じです。それ以外で言えるようになる方法って、自分では思いつかないので。反復練習しかないと思います。中には、最初からできちゃう人もいるかもしれませんが、そこを比較してもしょうがないので。不安だから・できないと思うから・、劣っていると思うからこそ努力する。という考え方ではあると思います。

――「柱稽古編」にちなみ、杉田さん自身が最近稽古していること、訓練していることはありますか？

杉田：生きている限り（稽古、訓練は）一生続くんじゃないかなと。ずっと勉強し続けて、修業し続けるんだろうなと。

「収録現場で学びました」という人も、「現場っていうのは結果を出すもの」といういう考え方もある。でも結果を出しながら学ぶ場でもあると思うんです。どこだろうとなにか身につくものは必ずあると思いますよ。

――最後に、『鬼滅の刃』のファンへ向けて、メッセージをお願いします。

杉田：皆さんが放送を見て感じ取ったもの、感性をしっかり守り切れるようにと思っています。これからも『鬼滅の刃』をよろしくお願いします。

作品概要

あらすじ

集英社ジャンプコミックス1巻～23巻で累計発行部数1億5000万部を突破した
吾峠呼世晴による漫画作品が原作。アニメーション制作はufotable。
家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため、
《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、
2019年4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎立志編』の放送を開始、
2020年10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開、
2021年から2022年にかけて、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』
『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』を放送・配信、
2023年2月より『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を公開、
4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』放送・配信した。
2024年2月からは前作を超える140以上の国と地域で
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』を公開、
そして、5月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』の放送が決定。

柱稽古へ――
鬼殺隊最強の剣士《柱》と鬼殺隊士たち。
来たる鬼舞辻無惨との決戦に向け、《柱稽古》開幕。

それぞれの想いを胸に、
炭治郎と柱たちの新たなる物語が幕を開ける。