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夏アニメ『エグミレガシー』江口拓也、神尾晋一郎、西山宏太朗が収録前に絶望したこととは/インタビュー

「みなさんの熱演が織りなす狂乱の宴」――『エグミレガシー』江口拓也さん、神尾晋一郎さん、西山宏太朗さんインタビュー|クセの強いキャラクターはもちろん、伏線が散りばめられたストーリーにも注目!

 

監督による仮音声を聞いて絶望!? クセの強い世界観を表現する上で意識したこと

――ほかにも収録現場でのエピソードがありましたらお聞かせください。

江口:モリ監督がアニメーションに仮の台詞を当ててくださっていたのですが、その時点で作品がすでに出来上がっているわけです。声優の我々がキャラに声を当てる意味みたいな、「これ以上作品を面白くすることができるのか?」と最初に絶望を味わされました。

ですがある意味、モリ監督の中で「作品をこういうふうに表現したい」という世界観の確固たるイメージがあるということなので、我々はそれに寄り添っていきました。

西山・神尾:(頷く)

江口:そんな中でも、神尾さんの役は「ずるいな」と思いましたね。

 

 
神尾:みなさんがお芝居の微調整をしていく中で、テストで出した演技で「あ、神尾さんはそのお芝居で大丈夫です!」と。僕も色々なパターンで役を考えていたので、「これでいいんですか!?」って思いました(笑)。

一同:(笑)

江口:神尾くんの存在感ってずるいなって思います。『エグミレガシー』の世界観にスッと溶け込んでいましたね。

西山:キャラクターに説得力がありますよね。

神尾:今、すごく良い言葉を言ってくださいましたが、その言葉の裏にあるのは(喋り方が)相当胡散臭かったということなんだろうな。そのままストレートな状態でOKをいただけたので(笑)。

江口:(軽く拍手しながら)フハハ(笑)。素晴らしかったですね。

西山:それで言うと、僕も一回テストで出した演技を採用していただいた形だったので、ホッとしたのと同時に「このお芝居で大丈夫だったんだな」って。「役を掴めていたのかな?」みたいなものを感じていましたね。

江口さんからは収録前に「気持ち悪く頼むね」って連絡をいただいていたんですよ。

江口:なんか、記憶にない(笑)。

一同:(笑)

 

 
神尾:僕の収録は江口さんとも一緒だったのですが、そこでは僕たちよりも前に収録していた方の声が入っている状態でした。

青山吉能さんと(呪いのギターケース役の)駒田 航さんの声が入っていたのですが、駒ちゃん(駒田さん)が台本に書いてあるよりも異常な速度で「ぺろぺろぺろ」という台詞をしゃべっていて、若干気持ち悪いなと思いました(笑)。

江口:駒ちゃん、ふざけていたよね(笑)。実はガヤの声もほぼ駒ちゃんが担当してくれていて、めちゃめちゃ英語が流暢なガヤがいらっしゃるんですよ。

神尾:そうですね。流暢な英語でアドリブを入れてくれているんです!

――最初に台本を読んだときに感じたことをお聞かせください。

西山:僕が演じる役は、途中から服を探して壊れてしまうというシーンがあるのですが、文字で見ると色々なやりようがあるなと。

収録日の関係でだいぶ前から台本をいただいていたので、真面目なお話をすると、「これどうしたらいいんだろう?」って、台本をいただいた日から毎日のように台本を開いていました。

キャストによってとても色が変わるキャラクターだなと感じて、ずっと悩ませていただきましたし、やり甲斐がありました。

神尾:初めて台本をいただいたときは1話から6話までで、後半がない状態だったんです。一通り読んで、そっと閉じて寝かせました(笑)。ちょっと待とうかなと。そして収録直前にちょっと読んで……うーん。閉じましたね(笑)。

一同:(笑)

神尾:「現場で生まれるものを大事にしよう」って。監督から音源が送られてくるまで、(西山さんと)同じように悩みましたが、監督が入れていた音を聞いて方向性が定まったので、そこからは読み込みが早かったです。

 

 

――みなさん悩まれたとのことですが、このことについて江口さんよりコメントをいただけますでしょうか?

江口:(静かに語るように)そうですねぇ。やっぱりみなさん声優として、それぞれのアプローチで挑んでいらっしゃるんだなと。

神尾:これ、江口さんがふざけているときの声のトーンですよ!

一同:(笑)

――それでは、江口さんとモリ・マサ監督のエピソードを教えてください。

江口:元々、監督とは知り合いで、同い年ということもあり、飲み友達でもあるんです。同い年で監督としても活躍されているすごい方ということで、高め合うではありませんが、刺激をもらっている存在でした。

そんなモリさんが「『エグミレガシー』をアニメ化したい」とすごい熱量で話してきたときは、とうとう壊れてしまったと思いましたね。

神尾:(そのときは)お酒は飲んでいたんですか?

江口:いいえ。シラフのときに。カードゲームをしたときに、ぶわーって世界が広がってしまったらしくて、これを映像化したいんだと。

アニメ化の話が動く前には、「江口くん的にはどうかな?」「逆に原作者として作品を触られたくないとかある?」って聞いてくださって。なので、「煮るなり焼くなり勝手にしてください!」って言いました(笑)。

その結果、アニメは「裏切りの連続」のようなストーリーに仕上がっていて、「(モリ監督の)頭の中はどうなってるのかな?」って思わされましたね。

西山:モリ監督は謙虚なお方なのですが、そんな佇まいでこの作風ってすごいですよね。人間って見た目じゃ分からないんだなって思いましたね。

江口:抱えているものがいっぱいあるんでしょうね(笑)。

 

 

――西山さんは芹澤さんとの収録現場で印象的だった出来事はありますか?

西山:あまり後輩から言われないんですが、今回は「(役が)気持ち悪いですね」ってはっきりと言われました(笑)。気持ち悪くなれば良いなと思いながら演じていたので、役者としてはとても嬉しかったです。

――神尾さんは羽多野さんとの収録はいかがでしたか?

神尾:羽多野さんが収録の前に体調を崩されていたそうで、体調が回復して、収録間近に初めて台本を開いてみたら「とんでもない作品だ! どうしよう、間に合うかな」っていうふうに思ったとおっしゃっていたことが印象的でしたね。

――収録前のお話になるのですが、元々どういったイメージでご自身が演じるキャラクターのお芝居を持って行かれたのでしょうか?

神尾:僕の場合は、監督の声のトーンがウィザードだけすごく一定で淡々と話されていたので、その「淡々」の中でも、音を高・中・低や、老けるか老けないかという程度をどこに置くか考えて芝居を持って行った結果、何も考えずにやったテストの芝居がそのまま通っちゃったので……演じやすいですけども。ありがとうございます、という感じでした。

西山・江口:(笑)

西山:僕もいろいろ考えていましたが、羽多野さんと壮馬のおふたりが収録した際に「招かれざる客が僕に見えてきた」とおっしゃっていたと伺ったので。

声色はあまり作らずにそのまま収録して、壊れてしまうシーンなどはお芝居に高低差をつけて遊べたら良いなぁと思っていました。

――具体的にはどういう感じで演じようと思われていましたか?

西山:そうですね……ずーっと鼻をすすっているとか。

一同:(笑)

西山:ずーっとお腹が痛そうな声をしていたり、病弱そうだったりと色々なパターンを考えていたのですが、最後はありのままに、最初に感じた通りで収録しようと思いましたね。

 

 

――江口さんはいかがでしょうか?

江口:(静かに語るように)そうですね……やはり声優生命をかけて……

神尾:気づかれましたか? 声のトーンでふざけていると。

西山:間だけ使ってあまりしゃべっていない(笑)。

一同:(笑)

江口:今までに築き上げてきた全てを「込める」。

西山:ボムのお芝居は結構スパっと決まったんですか?

江口:そうですね。ありのままというか、僕がどう演じるかではなくて、絵から音が出てくる。絵から言わされている。

西山:「こう話して」って?

江口:そうなんですよ。キャラクターたちから求める声が聞こえるので、その声に従ったまでです。

神尾:たしかに。声音を変えているというよりは、地声の方が多かったイメージはありますね。

 

 

『エグミレガシー』は「みなさんの熱演が織りなす狂乱の宴」

――本作のキャスティングは江口さんとマネージャーさんがされたと伺いました。キャストはほぼ81プロデュースの方々で、同じ事務所の方が多数ご出演されて揃うのも珍しいのかな?と思いましたが、こちらについては……?

神尾:巻き込まれた……?

西山:すべて江口さんのせい。あ、嬉々として!

神尾:江口さん自身に、「この方を『エグミレガシー』のキャストに入れて欲しい」という要望はあったんですか?

江口:「このあたりの声優は巻き込んでくれ」というのは言いましたね。神尾くんも宏太朗のことも指名させていただきました。

ただし、「どのキャラクターに誰を配置するか」というのは、うちのマネージャーが決めています。

神尾:ということは、マネージャーから……

西山:「招かれざる客だな」と思われていたんですね。

神尾:「気持ち悪い」と。

 

 
江口:でも蓋を開けてみたら、とても素晴らしいキャスティングでした。

西山:もしかしたら、全てのキャラを江口さんが演じるというパターンもありましたよね?

江口:そうですね。だけど、やっぱりそれぞれのキャラに違う声優さんを当てると、作品の世界は広がりますよね。みなさんの熱演が織りなす狂乱の宴。

神尾:言えば良いっていうもんじゃないですからね。

江口:フハハハ(笑)。

神尾:オファーしたけどスケジュール的に叶わなかった人とかいたんですか?

江口:どうなんですかね? 僕が「巻き込んで欲しい声優」に挙げさせていただいた方はみなさん入っていました。

神尾:もしかしたら、うちの事務所の大ベテランの方たちも出演することだってあり得たでしょうしね。

西山:そうですよね、ベテランの方はたくさんいらっしゃいますし。

江口:キャラクターの数もね……12話では収まり切らない数がいるので。

 

 
神尾:早くも二期に期待ですね。二期は江口さんのお友達の超有名声優たちが挙手してくださるかもしれない。

江口:いや。やっぱり、うちの事務所でカタをつけないと。

一同:(笑)

江口:自分のケツは自分で拭く。

神尾:原作者としての矜持なんですね。

江口:(みんなと)絆を感じたい。うちの事務所が大切にしている言葉ですが、越えていきたい……(笑)。

西山:「越えてゆけ」は社長の言葉です(笑)。

 

 

――作品全体を通してのアピールポイントを教えてください。

江口:伏線回収が多い作品なので、1話から12話まで見て、また1話を見直すと「このシーンは意外と(伏線として)攻めてたんだ」という発見があったりします。

なので、あの変な世界観で淡々と物語が進んでいくところで、見ようによっては印象が変わったりするスルメみたいな作品になるのではないかなと。そういう楽しみ方をしていただければいいんじゃないかなぁ。

西山:ポイントはいろいろあると思いますが、世界観が散らばっているように見えて、実は芯がすごく通っているシナリオなんです。江口さんがおっしゃっていた通り、全話通してもう一度見たり、何回も繰り返し見ているうちにどんどんのめり込んでいけるんじゃないかなと思います。

原作の「EGUMI LEGACY」にも色は付いていましたが、今回のアニメではすごくポップな仕様になっていて、色合い的に原宿のショップにありそうですよね。この可愛らしいポップな見た目やキャラクターの動き方にもぜひ注目して欲しいですね……。

神尾:(西山さんへ向けて)どうしました?

西山:(メインビジュアルのピンク色の物体を見ながら)これ、今までお花だと思っていたんですけど……。

神尾:それは舌です。

江口:怖いですよねぇ。よーく見たらダメです。

神尾:遠目で見るのがいいですよ。もう結構、シズル感が出ちゃっているので。

一同:(笑)

 

 
神尾:でも本当に、ぱっと見、江口さんのイラストという印象なのですが、だんだんとおふたりがおっしゃったミステリーやシナリオの部分に引き込まれていくという部分がポイントですし、最終的にキャラに対してめちゃめちゃ愛着が湧くと思います。

僕が勝手に言っていますけども、「あの斉藤壮馬が泣いた」というところで期待していただければなと。

西山:「全米が泣いた」じゃないんだ(笑)。

江口:フハハハ(笑)。全米に匹敵するのかな。

西山:匹敵しますねぇ。

――それでは最後に、一言ずつメッセージをお願いします。

西山:このインタビューで、散々好き勝手言ってきましたけれど、本当に監督のやりたいことや熱意が詰まった作品だなと思います。この物語を視聴者として自分自身もしっかり咀嚼したいなと思いますし、この作品に参加できたことが本当に光栄です。

やっぱりいろんなアプローチの仕方があるキャラクターで、それを任せていただいたのは嬉しい限りです。なので、たくさんの方に見ていただきたいなと思います。

ただ、「問題作」であるというのは変わらないので覚悟していただけたらと思います! ぜひ、たくさんの方に愛していただけると幸いでございます。よろしくお願いします!

神尾:「熱量」という部分だとめちゃめちゃすごい作品で、完成したものを見るのが楽しみというのは本当に思っていて。

言葉が正しいとは思えませんが、「麻薬」みたいなものなので。話が進んでいく上で、あるひとつのギミックが発動した瞬間、なんでも起こるし、なにも起こらないみたいな、そういう部分があるんです。見終わった後に、自分の目からおそらく涙が流れていることに驚くと思うので、楽しみにしていただければと思います。

 

 
江口:この作品はモリ監督が伝えたいことみたいなものが、僕のキャラクターを通して見え隠れする世界観なのですが、最終的には「視聴者に語りかけてくる作品」だと思うんですよね。

この世界の中で物語が進んでいくけれど、急に「あなた」に投げかけてくるのでビックリすると思います。そのときに、あなたは何を選択するのか。というのを僕は楽しみにしたいと思います。

西山:こわいよ(笑)。

江口:フハハハ(笑)。

神尾:そういう話?

江口:はい(笑)。“問いかけ系”アニメーションになっています。

 
[取材・文/笹本千尋]

 

作品概要

エグミレガシー

あらすじ

“エンドオブザワールド”は誰の手に……!?
とある海にぷっかりと浮かぶ『エグー島(とう)』。
この島の唯一の娯楽は歌姫“エンドオブザワールド”。
村人たちは日々、彼女の歌声に酔いしれていた。
しかし、そんなのどかな時間は一瞬で壊れる。

-歌姫の失踪-

この事件以来、島は『怒り』『疑心』『不安』で溢れてしまう。

そして、それぞれの思惑が動き始める……。

“エンドオブザワールド”を巡る、ペロペロ大戦争!
その運命を握るのは……、伝説の遺産『エグミレガシー

キャスト

レジェンダリー・ファイナル・クライマックス・ボム:江口拓也
エンドオブザワールド:青山吉能
うっかりハチベー:斉藤壮馬
ゴールデンレトリーバー:芹澤優
招かれざる客:西山宏太朗
ウィザード:神尾晋一郎
村人、呪いのギターケース:駒田航
ノグミ、ゴッドアイ:羽多野渉
インビジブルストーカー、パーマストライプ:小林大紀
モヒカン・ドット:中島ヨシキ
センター分け・チェック:大倉空人

(C)2024エグミレガシー/江口拓也

 

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