ウルヴァリン再登場は寝耳に水!? 正反対で似た者同士な2大ヒーローが“ズッ友”になるまで――『デッドプール&ウルヴァリン』日本版声優 デッドプール役・加瀬康之さん×ウルヴァリン役・山路和弘さんインタビュー
2024年7月24日(水)より世界最速公開となるマーベル・スタジオ劇場公開最新作『デッドプール&ウルヴァリン』。
今作では、遂に破天荒なクソ無責任ヒーロー・デッドプール(ウェイド・ウィルソン)とキレるとヤバい最恐アウトロー・ウルヴァリン(ローガン)が邂逅! 世界の命運を掛けた壮大なミッションに挑む、2大ヒーローの化学反応に大きな注目が集まっています。
そして、そんな記念すべき一作に日本版声優陣もカムバック! アニメイトタイムズでは、デッドプール役・加瀬康之さん、ウルヴァリン役・山路和弘さんに今作の見どころやそれぞれのキャラクターに対する思い入れについて、お話を伺いました。
“第四の壁”を破るデッドプールは〇〇のよう
ーー『デッドプール』としては6年ぶりの新作、ウルヴァリンの本格登場は『LOGAN/ローガン』以来になります。
デッドプール役・加瀬康之さん(以下、加瀬):「今回もやれるだろうな」とは思っていましたけど、昨今はハイセキュリティの時代なので、色々とシビアなんです。迂闊なことはできないので、SNSで今作の広告が上がってきても、発表前はリポストできなくて。「リポストしているから、今回もやるんだな」とか、色々と勘ぐられてしまうじゃないですか。山路さんは、その辺りどうしてます?
ウルヴァリン役・山路和弘さん(以下、山路):それで言うと俺は長くやってるから、リポストしちゃうかも。
加瀬:マジですか!?
山路:初めてウルヴァリンを演じた作品から大分経ちますし、今更変えたらどうかと思いますよ(笑)。これで別の人がやることになったら、「もっとリポストしちゃうぞ!」と。
一同:(笑)
山路:デッドプールとウルヴァリンは問題ないですけど、初めて演じる役は大変かもしれませんね。それくらいセキュリティが厳しいので、難しいところです。
ーー長く演じている分、それぞれの声のイメージが固まっている方も多いと思います。改めてそれぞれのキャラクターを演じるうえで大切にしていることをお聞かせください。
加瀬:実写映画のデッドプールは、全てライアン・レイノルズさんが演じているので、彼の芝居を忠実に守るという意識は常に持っています。逆に「今回はこうしよう」といったことは、あまり考えていなくて。楽しんで演じるという気持ちが一番大きいかもしれないです。
ーーデッドプールはマスクをしている場面も多く、感情が読みづらいキャラクターでもあるなと。
加瀬:そこは想像で補うしかないですね。というより、デッドプールの場合はマスクを脱いだところであの顔なので……。
山路:そもそも表情を動かせないのか。
加瀬:そうなんですよ。基本的に顔からは読み取れないので、英語のノリやトーン、喜怒哀楽も含めて……ただ、この人は変なことしか言わないから(笑)。
山路:(笑)。改めて独特なキャラだよね。最初は「何てフザケた奴だ……」と思いましたよ。
加瀬:今回のウルヴァリンも同じようなことを言ってましたね(笑)。そういう意味では、当たり前に変なことを言うようにはしています。あれが彼にとっての日常なので、「面白いことを言ってますよ!」という風には見せたくないんです。
ーー“第四の壁”を超えて観客に話しかけるのもデッドプールの十八番ですが、どのような意識で演じられているのでしょうか?
加瀬:お芝居としては、語りかけるような感じというか。ワァーっと掛け合いで喋った後、ふとカメラの方を向いて「これが見たかったんだろ?」みたいな。一瞬空気が変わるんですよ。その後でまたワァーっと喋り始めるわけです。
山路:ドリフターズの荒井注だよね。ひとしきり喋った後で、「なんだバカヤロー」って(笑)。
加瀬:なるほど(笑)。そういう意味では古典的ですね。今回も“第四の壁”のシーンでは、結構なことを言ってるんですよ。
山路:今回はディズニー配給だけど、大丈夫なのかな?
加瀬:R指定の作品は、所謂MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)としては初なので、相当冒険していると思います。少なくとも日本語吹替版は手加減なしですし、だからこそ面白いんだろうなと。
山路:子どもが観れないからね。
加瀬:それを良いことにやりたい放題です(笑)。ライアンさんも相当頑張ったんじゃないですか。
山路:確かに。「ここまで言わないとデッドプールじゃない!」とか、話し合いがあったのかも。
ーーウルヴァリンについては、いかがでしょうか?
山路:彼の物語は、『LOGAN/ローガン』で一度終わっているじゃないですか。だから、個人的にこの作品は寝耳に水でした。「『デッドプール』にウルヴァリンが出てくるの!?」って。最初はびっくりしたんですけど、その後で「いつの状態のウルヴァリンをやれば良いんだろう?」と。
加瀬:今回はTVA(時間変異取締局)も絡んでいますからね。
山路:様々な時代が関係してくるので、最終的にどこで落ち着けば良いのか、最初は分からなくて。衣装も黄色いですし(笑)。
ーーウルヴァリンの黄色いスーツは、ファンにとっても気になるポイントだと思います。
加瀬:つまりは、「黄色いスーツを着ている時間軸のウルヴァリン」を連れてきたということですよね。
山路:“じゃない方”のローガンをずっと演じてきたので、最初はそこが分からなかったんですよ。一方で、ヒュー・ジャックマンはヒュー・ジャックマンですから。特に今作は、これまでよりも等身大の自分で演じている気がします。
加瀬:僕も同じことを思いました。
山路:恐らく等身大のふたりでやらないと、この作品は成立しなかったんじゃないかなと。
加瀬:そうですね。過去のウルヴァリンを踏襲しつつも、今までのウルヴァリンじゃないというか。そういう意味では、一番演じやすい形なのかもしれません。ヒュー・ジャックマンにしかできないウルヴァリンをやっているという印象でした。観ていただければ、すぐに分かると思います。
山路:そうかもしれないですね。最終的には「あまり深く考えてもしょうがないな」と(笑)。
ーー(笑)。デッドプールとどのような関係性を築いていくのかも注目ですね。
加瀬:序盤のふたりは“水と油”です。それが段々上手くいくというか……(ポスターを指差して)最終的にはこれ(ズッ友)ですよ。
山路:正反対のようで、似た者同士なんだと思います。死なないふたりが「一緒にやらない?」と言いながら、殺し合いばかりしているわけです。
加瀬:お互い全力でやり合うから、収録は大変でしたよね。
山路:追いつくのに必死でした。「あれ、今加瀬(デッドプール)喋ったよね!?」みたいな(笑)。間違いなく本人たちも楽しんでいるはずです。あと、身体作りも相当大変だったんじゃないでしょうか。
加瀬:スーツを着るから、ボディラインは大切らしいですね。ライアンさんも大変だと言っていました。CGでも若干は補えますが、素の身体作りはふたりともしっかりされていると思います。
山路:仕上がりすぎていて、ふたりが並んで出てくる度に笑いそうになりました(笑)。
ーー演じる中で、おふたりもデッドプールとウルヴァリンの化学反応を楽しまれたんですね。
山路:素直に面白かったよね。
加瀬:そうですね。「おじさんって良いな」と思いました。
山路:ウルヴァリンがデッドプールのおフザケを真面目に受けるので、見ていて不思議な感覚になるんです。一方で、シリアスなシーンになるとふたりとも深い芝居をしていて、「参ったなぁ。この人たち本当に上手いなぁ」って。
加瀬:今回は「ヒーローとは?」というテーマにも踏み込んでいるので、映画としてもかなり深いと思います。加えて、日本版では、若い子も分かる面白いネタが散りばめられていて、かなり見応えがあるはずです。ふたりの掛け合いや深い話、友情など、色々な要素が詰まっているので、ぜひ楽しんでください。