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『疑似ハーレム』岡本信彦×早見沙織×鳴海まいが語る一生見ていたくなるやり取りの裏側

2024-07-27 18:00

一生見ていたくなる二人のやり取り……の裏側――『疑似ハーレム』岡本信彦さん×早見沙織さん×鳴海まいさんインタビュー｜「新しいタイプのイチャイチャでしかない（笑）」

一生見ていたくなる二人のやり取り……の裏側

――特に凛についてなのですが、第1話では、どんな風にキャラクターを作っていったのですか？

早見：第1話が一番手探りでした。まずまっさらな状態で行って、それぞれのキャラクターをどのくらいの感じでやっていこうかなっていうのは考えましたし、それは第1話だけでなく、新しく演じるキャラが出るたびに思っていました。

ベースは凛ちゃんでやっていこうかなと思いつつ、物語の面白みのひとつが、色んなキャラをひとりの人がやっているところだと思ったので、絵の力もあるんですけど、「なんか違うキャラクターが出てきたな！　それがお手玉みたいにくるくる回っててかわいいな」って、ある程度わかりやすく見えたほうが、ワクワクするのかなっていう気持ちがありました。

ツンデレちゃんとかクールちゃんとか、ティピカルな名前が付いているので、その要素を連想するところに行けたらいいなと思っていました。

――なるほど。冷静に考えてみたら、早見さんがツンデレキャラやクールキャラをやっているわけではなく、凛がお芝居でやっているわけですからね。でもアニメ的にわかりやすく、と考えると難しいですね。

早見：凛の軸はあまりブラさないようにしつつ、彼女は演劇部で、髪型を変えたり、見た目や振る舞いでも変えようとしていたから、そこの塩梅も考えつつ演じていました。

岡本：だから僕は毎回収録現場で早見ちゃんの声を聞きながら、頭を下げていましたね。「ありがとうございます！」って。

早見：いやいやいや……。それこそ掛け合いの相手がいないと混乱の極みなんです。温度感がわけわからなくなってしまうので、岡本さんがいなければ成り立たないんです。どんなボールを投げたとしても、岡本さんが瑛二としてうまく流れを作ってくださっている感じがあったんです。

瑛二って自然体でカッコつけない、飾らない魅力があるんですけど、声もその感じで返してくださるので、本当に私こそ頭が下がる思いです。

鳴海：後ろからお二人のやり取りを見ていると、ポンポンポンポン掛け合いをされているんです。やっていることはとても難しいことかもしれないのですが、聞いているほうは、心地良すぎて、このやり取りを一生見ていたくなるんです。

　
岡本：最初に佐藤卓哉音響監督からは「ナチュラルな感じで」という話があったんです。そこからベースはナチュラルにしていたんですけど、早見ちゃんとも話しながら、ティピカルなところはデフォルメも入れなければ難しそうだよねってことにはなりましたね。だから空気感も含めて、キャストとスタッフみんなで作っていった感じがすごくする作品なんです。

――素の部分ではナチュラルがベースにあるけど、凛が演じ分けているキャラは多少デフォルメしてわかりやすく、というバランスでやっていたのですね。

鳴海：だから、ぎりぎりそこにいそうな感じがあるのもいいですよね！

早見：そうかも。その中で、ある意味非日常的なことが起こっている。いい温度とバランスなのかなって思います。

――非日常的な要素はありつつ、ラブコメでもありますよね。凛は最初から瑛二先輩のことが大好きそうですが、お互いの気持ちの変化に関してはいかがでしたか？

早見：凛ちゃんはブレずに行っていました。素直になれないからキャラになってその気持ちを代弁してもらうというところもあるので、それがいつの間にか役として言ったことと捉えられてしまって、自分の本心が上手く伝わっていないもどかしさがある……。

なので、どのくらい素の自分で想いを伝えられるのかとか、覚悟を決めてさらけ出せるのかみたいなところは、物語の中でちょっとずつ変化していったりするので、そこにキュンとしてもらえたらと思います。

　
岡本：瑛二ってナチュラルではあるんですけど、こんな男いるかなって状況なんですよ（笑）。意識したら好きになっちゃいそうなところを、ギリギリ行かなかったりするんです。めっちゃ好きじゃん！って思うようなシーンがあっても、そうではなく楽しんでいる感じがする。だから恋愛での好きな想いは凛のほうが強いんですよね。だから天然でピュアピュアで、こんな人いるんだなって感じでした。あと、ライバルがいないというのもすごく幸せな空間で。

鳴海：不思議ですよね！　こんな可愛くて、お芝居もできる女の子がいたら、周りがほっとかないですもんね。

岡本：本来なら瑛二がやきもちを妬いてもいいくらいなのに、逆なんだ？みたいな（笑）。それも含めて、なんて幸せな世界なんだろうって収録しながら思ってました。ずっと2人の世界のままなので。

鳴海：心揺れ動くけど最終的にほっこりするから、安心して見ていられるアニメだと思います。

岡本：新しいタイプのイチャイチャでしかない（笑）。

　
鳴海：高校生くらいで、凛ちゃんの真似しようって思ったりする子、いたりしないですかね？

岡本：それ、相当ハードルが高そうじゃない？

早見：でも学生時代って、別の何者かになりたい気持ちがあるから、いっぱいやるわけではないけど、ひとつだったら、なりきったりするかもしれない。

苦しんで絞り出した「からさわぎ」のタイトル

――このあとの話数になりますが、凛の妹である七倉綾香も、相当かわいいですね。

鳴海：私もかわいいな〜と思っていて。お二人のことをお兄ちゃんとお姉ちゃんって言うんですけど、言うだけでもかわいいって、どんな生き物なんだろうと思いました（笑）。凛お姉ちゃんは実際の姉ですけど、瑛二さんは凛お姉ちゃんの彼氏でもないのに、普通に最初から受け入れていて（笑）。

　
岡本：確かに、普通に会話してた。

鳴海：多分、私の想像なんですけど、お姉ちゃんが家でキュンキュンしたりしているのを見ていたんじゃないかなって思うんです。

早見：それはあるかも！

鳴海：そういう風に『疑似ハーレム』の世界を想像するのも楽しいなと思いながら収録していました。「お兄ちゃん、すき」って綾香ちゃんが言って、お姉ちゃんが嫉妬したりもするので（笑）。

岡本：それも不思議なんだけどね（笑）。

――では、序盤の見どころを聞いていきたいと思います。

岡本：早見ちゃんのボイスでハーレムというのが最大の見どころだと思うんですけど、やっぱり第1話の冒頭で『ロミオとジュリエット』の一文を読んでもらえるというのは、いいものを聞けた感じがしましたね。朗読劇ですら、なかなかやらないですから。

早見：確かに。新鮮ではありました。

鳴海：そのシーンは、音楽や演出含めて、いいなと感じました。気合い入ってるなぁって。

　
岡本：あとツンデレちゃんも、早見ちゃんファンの方はびっくりすると思うんですよ。こんな早見ちゃん見たことがないと。

早見：確かに、久しぶりにやった気がしますね……（笑）。

岡本：清楚とか強いとか、おしとやかな声は聞くことがあると思うんですけど、なかなか聞けない一面を聞けるという意味で、すごい作品だと思っていて、申し訳なさすらあったんです。僕がギャラを払いたい！という気分になりましたね。

――それはとてもわかります……。

岡本：ファンの方も、「お布施はどこにしたら！」となっていると思います。

早見：そう言っていただけると、私の苦悩が昇華されます（笑）。

鳴海：放送のだいぶ前から公式Xのほうで、「原作セリフ紹介ボイス」をやっているんですけど、その収録に一緒にいたんです。長い時間をかけて録ってらっしゃったんですよ。

早見：ひとキャラに付き、セリフが20個以上あったかな？　それでまとめて収録したものを、かなり前から毎日投稿してくださってて。投稿するだけでも大変だと思うので、本当にありがたかったです。情報を毎日発信することで、この作品に気づいてくださる方が増えたと思うので嬉しかったですし、そこからアニメの映像で改めて見ていただく良さもあると思いました。

――鳴海さんと早見さんは、いかがですか？

鳴海：第1話の完成した映像を見たときに、劇伴も相まって、学校が夢のような場所に感じたんです。私は高校のときに勉強と部活しかやっていなかったので、こんなイチャイチャラブラブな青春を過ごしている人たちもいたのかな？って思いながら見ていました。だからキュンキュンするところは見どころでしたし、そういう作品に出会えたこと、そして関われたことも嬉しかったです。

早見：私は瑛二先輩が木になるところなんですけど、それは少し先の話になるので……。クスッと笑えるようなコメディ要素がこの作品の大事なところだと思うので、そういうところも見ていただけたらと思います。

――では最後に、今後の見どころを教えてください。

鳴海：綾香ちゃん含めて、キャラクターもこの先増えてくると思います。演劇部の後輩の白沢きりちゃん（CV.佐藤未奈子）が入ってからは、先輩としての凛ちゃんが見られたり、綾香のお姉ちゃんとしての凛ちゃんも見られるので、最高だと思います！

早見：最初から凛ちゃんって瑛二先輩のことをかなり想っているんですけど、その好きな想いも変化していくんです。好きな気持ちはあるけど、恥ずかしくなって言えなくなったり。好きな期間が長いからこそ、ぐるぐるしてカラ回る感じが話数を重ねるごとに見られると思うので、2人がどんな風に近づいていくのかを見てほしいです。

岡本：2人の関係性が変化するところもそうなんですけど、収録で大変だった思い出で「からさわぎ」っていうコーナーがあったんですよ。

早見：ED曲の後にある小っちゃいおまけシーンなんですけど……。

岡本：そこで2人がエチュードをやってる、みたいな感じなんですけど、それがすごく不思議で。

早見：劇中の中で、また別の小芝居をしているんです。

――セリフはあるんですよね？

岡本：セリフはありますね。ただ、アイキャッチで「からさわぎ」って言うんですけど、毎回アドリブで、「今日はこのパターンで」って言われるのが大変で！

早見：毎回、相談をしながらやっていましたよね。

岡本：何とか頑張ってひねり出したものがそこにあるので、最後まで見ていただけたらと思います。あれは、苦しんで出したものなんで（笑）。

　
［取材＆文＆写真・塚越淳一］

作品概要

あらすじ

ヒロインは１人！だけどハーレム？？？

漫画のようなハーレム状態に憧れる演劇部の先輩「北浜瑛二」と密かに想いを寄せる先輩の前だと、つい“キャラ”を演じてしまう「七倉凛」。

ツンデレちゃんに、小悪魔ちゃん、甘えんぼちゃん、クールちゃん、おしとやかちゃん。

演じるキャラが増えれば増えるほど、抑えきれなくなる先輩への想い。

ちょっとバカでかなり鈍感な瑛二に、七倉は、ありのままの自分で、想いを伝えられる日は来るのか…？