一生見ていたくなる二人のやり取り……の裏側――『疑似ハーレム』岡本信彦さん×早見沙織さん×鳴海まいさんインタビュー|「新しいタイプのイチャイチャでしかない(笑)」
2024年7月からスタートしているTVアニメ『疑似ハーレム』。漫画のようなハーレム状態に憧れる演劇部の北浜瑛二。彼に想いを寄せる七倉 凛は、そんな先輩の憧れを叶えるべく、ツンデレちゃん、小悪魔ちゃん、甘えんぼちゃん、クールちゃん……とキャラを演じ分けてひとりハーレムを作り出す。いつか先輩への想いは届くのか……。
アニメになって声と動きがつくことで、より凛の破壊力が増した『疑似ハーレム』について、岡本信彦さん(北浜瑛二役)、早見沙織さん(七倉 凛役)、鳴海まいさん(七倉綾香役)に、たっぷり語ってもらいました。
岡本さんが悩んだという、この作品一番の謎
――『疑似ハーレム』というタイトルを見て、まずどういうこと?と思ったのですが、原作や内容を知ったときはどう感じましたか?
早見沙織さん(以下、早見):以前、原作の告知関連の動画で声を担当させていただいたんです。そこで原作の中身を知ったときに、キラキラして眩しい作品だなと思いました。瑛二先輩と凛ちゃんのやり取りは日常ではあるけれど、どこか非日常も入っていて、引き込まれるんです。アニメ化に際して、原作をじっくり読ませていただいたんですけど、バランスが素敵な作品だと思いました。
――それは七倉 凛を演じることが決まってから、ですか?
早見:そうですね。凛ちゃんとして臨むにあたって読んだのですが、やはりプレッシャーはありましたね。
――凛は、瑛二先輩のために、色んなキャラを演じ分けて疑似的にハーレム状態を作ってあげているわけですが、実際、ひとり何役あるの?という感じになりますよね。
早見:それをどういう風に演じていくのが正解なのだろうって悩みながら読んでいました。それはアニメを作り始めてみないとわからないことでもあったので、収録は毎回すごくドキドキしていました。
アニメになると、当然ウェブ動画よりも尺が長くなりますし、物語がしっかりある中でするするすると変わっていかなければならないので、実際のアフレコでも、いろいろ試行錯誤することになりました。
――岡本さんはいかがでしたか?
岡本信彦さん(以下、岡本):僕も動画で最初に声を当てていたんですけど、そのときの北浜瑛二の印象としては、今ほど変な人ではなかったんです(笑)。どちらかというと、凛のほうがコミカルで面白みがありそうだよねっていうところで止まっていたんですね。
だから、アニメの第1話で、こんなに瑛二ってしゃべるんだ!と驚きました。僕、第1話の段階で原作はチェックしていなくて、だいたい第3話を演じたあとくらいに、この先どこまでやるんだろうという気持ちで原作を読んだんです。
ここでは、どうやらアニメはテンポが早いらしい……ということだけ言っておきますけど、作品自体のかわいらしさがすごくあるなと思いました。ただそのかわいらしさも、音声が入って動く凛を見ると、さらにかわいく見えたんです。で、もっと言っちゃうと、何で瑛二のことが好きなんだろ?とわからなくなってきて、そこに一番悩みましたね(笑)。
早見:ホントですか?(笑)
鳴海まいさん(以下、鳴海):確かに!
岡本:凛ちゃんはこんなにモテそうなのに、何で瑛二に?って。
早見:いやいや、器が大きいんですよ!
鳴海:何をしても笑ってくれるところが良いですよね。
早見:そうそう。安心感があるんじゃないかなって思います。
岡本:へ〜。でもこっちとしては、嫉妬してくれるのも、何で嫉妬してくれるんだろう?って感覚で。
鳴海:でも、そういうところがいいのかもしれないですね。
早見:自覚もなく優しいし、かわいいところもあるし。
鳴海:母性本能をくすぐられる気がします。
岡本:なるほどねぇ。でも、少し変わっているし、普通に考えたら引くようなエチュードの返し方をするんですよ。そこはさっき早見ちゃんが言ったように、非日常な感じもするので、2人の世界に入って他の人が入れないような感じになる。その空気も含めて、アフレコでどう演じればいいんだろうと悩みまくりました。
――凛が瑛二先輩のことを好きじゃなかったら成り立たない関係性ですからね(笑)。
岡本:そうなんですよ!
早見:でも、いい関係性なんです(笑)。
――鳴海さんは、作品にはどんな印象を持ちましたか?
鳴海:私がオーディションを受けたときは、お二人が演じることは決まっている状態で、それこそ作品のPVで声も聞いていたんです。原作がSNSから始まっていたのは何となく知っていたので、あの作品がついにアニメ化するのか!という感動もありました。
凛の妹である七倉綾香を受けるんだなということを考えて色々と見ていたのですが、PVの凛お姉ちゃんが明るくて、色んな表情を見せてくれる感じだったので、妹もそうなのかな?と思っていたんです。
でも、原作を読んでみると、そういうわけでもないかもしれない…と思えてきて。作品全体を通して考えると、ちょくちょく表れる凛お姉ちゃんの素の部分を引き出す役だと思ったので、お姉ちゃんの素を出させることができるキャラクターにしたいと思いながらオーディションを受けました。
――受かったときはどうでしたか?
鳴海:やったーー!!!ですよね(笑)。ただのかわいい女の子ではなく、ちょっと世間を斜めから見ているような子で演じたいと思っていたので、その解釈、アプローチは間違えていなかったのかなって思いました。もちろんかわいさは残しつつではあるんですけど。
――岡本信彦さんと早見沙織さんと一緒にアフレコができることも嬉しいですよね?
鳴海:嬉しかったです。収録前にいろいろ話していたんですけど、それこそ、お二人が出てらっしゃったイベントに普通に見に行っていたりする側だったので(笑)。あとは、ただただお二人の掛け合いを後ろから見ているのが幸せで……。
――できることならもっと絡みたい、みたいなところもあったかもしれないですね。
鳴海:そうですね! お二人と綾香ちゃんの掛け合い自体が数話しかなかったので、もっといっぱい関われたらいいのになぁって思っていました。
――ここまで見ても、ほとんど瑛二と凛の掛け合いですからね。
岡本:ホントにめっちゃしゃべるんですよ! 分散収録の時期だったんですけど、3〜4人でも、それが本線収録みたいになっていたので。
鳴海:私は、演劇部の脚本担当の岩田嗣人(つーちゃん)役の遊佐浩二さんにはお会いできていなくて、声は完成したアニメで知る感じになるんです。
早見:岩田さんもキャラが濃いんですよ! さすがの感じでした。
岡本:演劇部の中山元邦部長役が諏訪部順一さんなんですけど、「この役なんだ!」って本人がびっくりされていましたからね(笑)。
早見:部長みたいな役はあまり見たことがないかもしれないですね。遊佐さんもいつものキャラクターのイメージと違いましたし。
岡本:おもしろ賑やかし系だったからね。