『怪盗グルーのミニオン超変身』日本語吹替版 マキシム・ル・マル役・片岡愛之助さんインタビュー|アニメーションと歌舞伎に宿る「誇張」という共通点。人生経験と場数が導く、愛之助さん流の“超変身”とは?
2024年7月19日(金)より、7年ぶりとなる『怪盗グルー』シリーズ最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』が全国公開中です。
今作では、選ばれし5人のミニオンたちがメガミニオンへと“超変身”! 時を同じくして、新たな家族を迎えたグルー(声:笑福亭鶴瓶)たちの前に、高校時代の同級生であるマキシムが立ち塞がり……。
アニメイトタイムズでは、今作の公開を記念して、日本語吹替版でマキシムの声を担当する片岡愛之助さんにインタビュー!
作品の楽しみ方を独自の視点で語っていただいたほか、独特な魅力を放つマキシムの役作り、アニメーションと歌舞伎の意外な共通点など、多岐に渡るお話を伺いました。
ツッコミどころも可愛いメガミニオンたち
ーーまずは、本編をご覧になった感想をお聞かせください。
マキシム・ル・マル役・片岡愛之助さん(以下、愛之助):本当に面白くて、あっという間の90分でした。タイトルやエンドロールなど、ミニオンが色々なところに出てくるので、本当に最後の最後まで楽しめ、「よく出来てるな〜」と改めて感動しました。ストーリーがしっかりしていて、色々な形の人の想いが描かれているので、子どもからお年寄りまで楽しめる作品になっています。実は僕、4Dで映画を観るのが大好きなんですよ。先日の試写は4D上映ではなかったので、改めて観に行くつもりです。
ーー4D上映はアトラクション的な楽しさがありますよね。
愛之助:そうなんです! 最近は水も飛んできますし、匂いまでしますから。この作品も4D上映で観ていただいたら、更に楽しめるんじゃないかなと。
ーープライベートでも4Dで映画を観られるんですか?
愛之助:よく行きますよ。プライベートでは、必ず4D上映をやっている映画館から探し始めます。
ーーそれは相当好きですね。あと、今作で初登場するメガミニオンが能力を使いこなせず、意外と活躍しないのも面白かったです(笑)。
愛之助:(笑)。(見えないところでは)活躍しているかもしれませんが、肝心な場面でいないんですよね。でも、そういうツッコミどころも含めて可愛いと思います。
ーー愛之助さんの中で、特に気に入っているメガミニオンはいますか?
愛之助:色々なタイプがいますけど、個人的にはメガジェリーが好きですね。丸くて可愛らしいじゃないですか。爆弾も食べるし、壁も突き破っていくので、頼もしい感じがします。“超変身”というタイトルですし、みなさんの知っているミニオンが変身することで、どう変化するのかに注目していただきたいです。
憎みきれないグルーとマキシムの関係性
ーーそんな今作に愛之助さんは、マキシム・ル・マル役として出演されています。
愛之助:オファーが来た時は、「あのミニオンに自分が!?」と驚きましたが、率直に嬉しかったです。その後で「どのミニオンをやらせてもらえるんだろう?」と(笑)。
ーー(笑)。ミニオン役だと思われたんですね。
愛之助:実際は、鶴瓶さん(グルー)の同級生役で本当にびっくりしました。グルーは愛嬌のあるキャラクターですけど、そもそも“怪盗”じゃないですか。それ以上に悪い“宿敵”と考えると、絶対に面白い役だろうなと。
ーーグルーの同級生であり宿敵というのは、面白い設定だと思いました。
愛之助:甘酸っぱかったり、ほろ苦かったり……。学生時代の思い出って、色々あると思いますが、その中の他愛もないことをマキシムはずっと引きずっているんです。それが大変な事件に発展するというのが今回のストーリーなのかなと。割と特徴的な役をやることが多いので、「よし!今回も頑張ろう」と思いました。
ーー確かに、これ以上ないほど特徴的な出で立ちです。
愛之助:パーティーピープルみたいな(笑)。絶対にカロリーを使う役だと思っていましたが、その予想は見事に当たっていました。
ーーマキシムの人物像については、どのように感じられましたか?
愛之助:学生時代から「仕返ししてやる!」という気持ちを持ち続けているわけで、性格的にはネチネチしていると思います。僕には全くない部分なので、こんなに色々考えていたら疲れるだろうなと(笑)。ただ、演じるうえでは、逆にやりやすかったです。自分に近いとリアルに寄ってしまうので、デフォルメしやすかったというか。
ーーアニメーションとして演じるうえでは、デフォルメが必要だと。
愛之助:そうですね。「誇張されている」という意味では、歌舞伎にも近いと思っています。常日頃から取り組んでいる世界観と似たものがあったので、難なく入り込めました。
ーーかなり高めのトーンで演じられている印象でしたが、どのようにマキシムの声を作っていったのでしょうか?
愛之助:アフレコ前にどのテンションで演じるのか、お芝居の基準を相談させていただいたんです。色々なパターンを試して、最終的に「これでいきましょう!」となったのは一番大変なトーンで(笑)。基準をそこに置くと、ずっと大変じゃないですか。渋い雰囲気も良いかなと思ったのですが、お子さんも観る作品なので、最終的にはかなり陽気な方向性になりました。特に戦うシーンの掛け声やリアクションの部分は、かなりエネルギーを使いましたね。
ーーグルーと一緒に歌うシーンも素晴らしかったです。
愛之助:多くの人が口ずさめるような歌なんですけど、だからこそ「しっかりやらないと……!」と思って、ドキドキしていました。「一日喉を休めたほうが良い」と言われたので、歌だけは次の日に録ったんです。
ーーあのシーンを観て、「実はグルーとマキシムって仲が良いのでは?」と思いました。
愛之助:そういうところがふたりの憎めない部分ですよね。学生時代は友達だったわけで、本当に嫌い合っているわけじゃないと思うんですよ。仲が良いからこそのじゃれ合いというか。「これだけは絶対に許せない!」という部分があっても、確実に友情はある気がします。直前の会話も本気で怒っているのか、冗談なのか。その辺りにふたりの長年の付き合いが垣間見える面白いやり取りでした。
ーー子どもたちに大人気のシリーズですが、グルーとマキシムのくされ縁は、ある程度年齢を重ねてから初めて分かる気がします。
愛之助:確かに。子供の頃はミニオンが出てくるだけで嬉しいですけど、大人になると作品の見方は少し変わってくると思います。世代を問わず楽しめる理由は、そこにあるんじゃないでしょうか。観ていただく方には、登場人物それぞれの想いや心の動きを感じていただきたいですね。
ーー余談ですが、今日の衣装もマキシムらしい雰囲気で素敵ですね。
愛之助:ありがとうございます。実はこのサングラスは特注なんですよ。
ーーえっ!?
愛之助:今作でマキシムを演じるにあたって、知り合いのサングラス屋さんに作っていただいたんです。
ーーなるほど。かなり大きめなので、「どこに売っているんだろう?」と思っていたのですが……。
愛之助:マキシムの絵を持ち込んで、「これと同じものを作ってください!」とお願いしました。こんなに大きいサングラス、普通はないですよね。
ーー恐らく愛之助さんしか似合わないだろうなと。
愛之助:いや、そんなことないですよ(笑)。