『刀剣乱舞 廻 -々伝 近し侍らうものら-』へし切長谷部役・新垣樽助さんインタビュー｜前作アニメ「虚伝」を振り返り、今作でへし切長谷部が抱える想いと山姥切国広に対する気持ち

「備中高松城の戦い」出陣メンバーのチームワーク

――アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか？

新垣：少人数制で、部屋を分けて、たしか3人と4人に分かれて同時収録という形だったと思います。その場に居る人数は少ないですが、収録シーンの登場人物の役者は全員居ました。生の掛け合いは結構できたので、お互いに引き出しあってお芝居ができたかなと思います。

――今回、へし切長谷部が近侍としてみんなを率いる役に回りましたが、作中で出陣する第一部隊の6振り（へし切長谷部・山姥切国広・鶴丸国永・燭台切光忠・同田貫正国・大倶利伽羅）のチーム感はどのように感じられましたか？

新垣：上手くバランスが取れているなと思います。山姥切に関しては、長谷部が我儘を言って連れていくことになりますが、それを含めても好戦的だったり俯瞰的な刀剣男士、そばにいて発破をかけるのではなく、心を軽くしてくれる刀剣男士と、上手くバランスを取ってくれているので、それぞれが異なる役割を担ってここに居るなと感じました。

――今作における「山姥切国広」の印象や前野さんのお芝居についてはどのように感じられましたか？

新垣：山姥切は自分を見せないというか、見せたがらないという印象が常にあって。ただ長谷部が胸ぐらを掴んで感情をむき出しに話した時に、彼も感情的に返してくるんですよね。そこがすごく演じていて気持ちよくて、このシーンは掛け合いじゃないとできないなと思います。

山姥切としても思うことがあって近侍を降りた状態なのに、それをいつまで腑抜けているつもりだ、と非難されたら、それは彼もカチンとくると思います。前野くんとは違う現場でもご一緒することがありますが、彼のことはとても信頼していますね。やっぱり、「ああ、こういう感じか」と。

――「こういう感じ」と言いますと……？

新垣：フフ、なんて言えばいいんだろうな（笑）。思い切り芝居をさせてくれるというか、こちらの感情を受け止めてくれるんです。例えて言えば、先ほどお話しした長谷部と山姥切のシーンでも、僕がどんなに感情的に演じたとしても、それを受け止めずに彼が自分を守った山姥切のお芝居をしていたら、その後の僕のお芝居はまた変わってきていたと思います。あの時、そこだけ感情をグッと前野くんが返してくれたことで僕としては気持ちよかった、良い掛け合いができたなと感じていて。

もちろん人間同士なので、解釈がずれていてお芝居が噛み合わない場合もあったりします。ですが、一度テストでやってみて、演出家さんの方向付けでそのずれていた部分がきっちり整って、お互いの会話がカチッと噛み合うのは、誰とでもできることではないなと思うので。そこはもう彼に絶大な信頼を持って思い切りぶつからせていただきました。

――聴きどころといいますか、見どころの一つでもあるんですね。

新垣：ええ、そうですね。山姥切と長谷部がここまで絡むこと自体、新鮮さがあるようにも感じています。

――山姥切国広以外で印象に残っている刀剣男士はいますか？

新垣：「鶴丸国永」と「燭台切光忠」も印象的でしたね。長谷部が煮詰まる直前のちょうどいいタイミングで心を軽くしてくれるんです。気分転換させてくれたり、少しおどけた言葉を掛けてくれたり。そういう部分でちょっと長谷部の視点を変えて、我に返らせてくれて。器が大きく大人だなと思いました。