『ウルトラマン80』矢的猛役・長谷川初範さん×城野エミ役・石田えりさん×星涼子役・萩原佐代子さんインタビュー｜ウルトラマンシリーズは“普遍的な日本人の物語”。世代を超えて受け継がれていく、作品に込められた願いと美意識

満田かずほさんから受け継がれる、ウルトラマンへの愛

ーー最近のウルトラマンシリーズをご覧になることはありますか？

萩原：あります！　実は『ウルトラマン80』が大好きで、「ずっとウルトラマンの監督になりたい！」と言っていた人がいて。その人が私が復帰した時に、京都で撮影する映画に呼んでくれて、そこから仲良くなったんです。その人が何と『ウルトラマンアーク』の監督に抜擢されました。秋武裕介という人です。

石田：本気だったんだね！

長谷川：思いを通すって素敵だね。『ウルトラマンメビウス』の時もウルトラマン好きなスタッフが集まっていたことを思い出しました。みんな、愛情深いんだよね。そうやって代々受け継がれて、また素敵な作品が生まれるんだと思います。

ーー近年のウルトラマンシリーズは、世界中で展開されるコンテンツとなっています。『ウルトラマン80』放送当時とは作品を取り巻く環境も違いますが、みなさんはどのように感じていますか？

長谷川：つい先日、舞台を一緒にやっていた片岡仁左衛門さんのお孫さんの片岡千之助さんが「僕、『80』大好きなんです！」と言われて。千之助さんはまだ20代で、世代じゃないのに、観てくれていて、父親の片岡孝太郎さんと、親子で『ウルトラ
マン80』の話で盛り上がったらしくて。「まさか歌舞伎の世界に！」と思ってビックリしました。色々なところに熱いファンがいるんだなぁって本当に嬉しかった。

ウルトラマン自体が日本のヒーローとして、日本人のあるべき姿や象徴な気がします。明るく前向きで、「正々堂々と生きてほしい」という願いや美意識があるんでしょうね。普遍的な日本人の物語ってあるんだなと。自分でもやっておいて良かったなと思います。

石田：『ウルトラマン80』でプロデューサーを担当された満田かずほ（※1）さんも、ウルトラマン大好きな方で、その想いが伝わってくるんです。一番強い想いの人が、その作品の魂になるじゃないですか。

当時の私たちには分からなかったけど、その想いが詰まっているから、古くならないんじゃないでしょうか。「仕事だから」ってことじゃなくて、想いに取り組んでいると感じます。

※1：かずほ：正しくはのぎへんに斉

長谷川：確か、各話のサブタイトルも満田さんが付けていたよね。オリジナリティのある不思議なタイトルでさ。本当に情熱的な人だと思います。

石田：そういう想いって、自然と周りにも伝わっていく気がします。

萩原：あと一つ、元格闘家の大山峻護さんが「『ウルトラマン80』があったから、真っ当に生きてこられた」と仰っていて。本当に辛い子供時代があって、長谷川さんがいたから今の自分があるとおっしゃっていました。

長谷川：大山さんとは2年間、舞台でご一緒して、確かにおっしゃっていました。みんなでつくった『ウルトラマン80』ってすごいね。

石田：その間は、絶対幸せでしたよね（笑）。

ーー最後に『ウルトラマン80』ファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

萩原：『ウルトラマン80』でユリアン（星涼子）にしていただいたことは、私の人生の宝物なので、これからも一緒にウルトラマンを長く愛してください。よろしくお願いします。

石田：当時は、45年後も愛していただける作品になるとは思わなかったです。こうなったら世界中の人々に愛されるようなウルトラマンになれるように、みんなで応援してあげたいなと思います。

長谷川：『ウルトラマン80』ファンのみなさま、長い間ありがとうございます。そして新しいファンのみなさん、これは歴代のウルトラマンからして、ちょっと雰囲気が変わっているし、僕ら以降の作品と比べてみても、また少し違っていると思います。それはそれとして、時代の変わり目に作られたドラマの面白さを観ていただけたらなと。子供さんにも観せられる。大人が観ても楽しい。おじいちゃん、おばあちゃんも懐かしい。そんな『ウルトラマン80』のご愛顧をよろしくお願いします。

[インタビュー／田畑勇樹　撮影・編集／小川いなり]