「みんな『BLEACH』が大好きなんです」20年という歳月が生んだ奇跡的な繋がり――『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』黒崎一護役・森田成一さん×石田雨竜役・杉山紀彰さんインタビュー
『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』が2024年10月5日(土)23:00よりテレ東系列ほかにて放送開始!
2022年10月からスタートしたアニメ『BLEACH 千年血戦篇』の第3クール目にあたる今作。滅却師(クインシー)の始祖・ユーハバッハ率いる《見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)》と護廷十三隊による死闘が各所で繰り広げられています。
アニメイトタイムズでは、そんな今作の放送開始とアニメ『BLEACH』20周年を記念して、黒崎一護役・森田成一さんと石田雨竜役・杉山紀彰さんによるロングインタビューをお届け! おふたりの『BLEACH』という作品に対する熱い想いや、益々激しさを増す物語の注目ポイントなどを語っていただきました。
久保先生監修のオリジナル要素が生み出す、物語の厚み
ーー第2クールまで放送された『千年血戦篇』の物語を振り返ってみての感想と印象深かったシーンを教えてください。
黒崎一護役・森田成一さん(以下、森田):『千年血戦篇』も折り返し地点に来ましたが、気持ち的にはまだ折り返した感覚はなくて。第1クールの前半で派手に戦っていた一護ですが、それ以降はあまり戦っていないんです。これまで演じてきた中でも、戦わない期間が相当長いなと。原作を読んでいるので知ってはいましたが、「ここまでとは」という感じで。
ただ、他のキャラクターたちの魅力的なシーンが沢山あって、久保先生監修のもと、原作を補完するようなシーンが増えていて、より一層『千年血戦篇』に厚みが生まれていると思います。原作だけでは分からない部分もしっかり理解できたことで、より肉厚な物語になったと納得できました。
第2クールまでを振り返ると、序盤の異常に強くなった一護が活躍するシーンは、非常に気合が入りましたし、興奮しながら演じたことを覚えています。その後の修業シーンもそうですが、実は原作で描かれていないところばかり演じているんです。原作というガイドブックがなくなって、1話1話演じる中で、正解がわからないまま手探りで演じられたことは面白い冒険だったなと。
その時に久保先生とも色々お話して、「これで良いんでしょうか?」と尋ねたら、先生は「森田さんがやっているのが正解です」と(笑)。信頼を得ながらもそれに甘えることなく、今後もやっていきたいです。また、映像にも実験的な手法が取り入れられていて、『千年血戦篇』はアニメ業界全体で見ても凄まじいクオリティだと思います。そんな挑戦的なやり方に乗って、僕自身も挑戦させていただきました。
石田雨竜役・杉山紀彰さん(以下、杉山):僕も森田さんと一緒です。アニメでは、本筋から離れすぎると読者が理解しづらくなるため、原作の中で意図的に省かれていたところを久保先生の監修のもと、新しいシーンとして落とし込んでいます。
各キャラクターの心情・行動が丁寧に描かれているので、一護や雨竜がガッツリ喋っているシーンは意外と少なくて。折り返しと言えるほど、沢山のシーンを演じたわけでもないんです。長く続いてきた『BLEACH』という作品だからこそ、沢山のキャラクターたちが、物語の終結に向けて掘り下げられているのは印象的でした。
『訣別譚(第2クール)』でご覧になっていただいた通り、アニメの初〜中期にしか登場していないキャラクターたちが騒動の中で、何をしていたのかも描かれています。僕自身、「そうそう! このキャラクターもいたよね」と懐かしくなりました。ファンのみなさんもきっと嬉しかったと思いますし、素敵なポイントだったと思います。
ーー雨竜は一護たちを裏切って敵として行動していますが、杉山さんはどういう思いで演じられているのでしょうか?
杉山:本来なら何かに悩んでいたり、葛藤したりというニュアンスを入れていたのですが、テストの時に僕なりのプランで演じた後、「なぜ?と視聴者が疑問に思うくらいのニュアンスで演じてほしい」というリテイクがあったんです。もちろん前後の関係性や想いもわかった上で演じていますが、戦闘シーンはそっち寄りになっているので、原作を読んでいる方は「雨竜がちょっと冷たくない?」と思われるかもしれないですね。
ただ、初めて『BLEACH』に触れた方は、原作漫画を初めて読んだ時の気持ちをアニメで味わっていただけるのかなと。アニメはそういう演出意図で作られていると思います。
森田:今までは雨竜と同じチームで戦ってきましたが、今回のシリーズでは絡んでいる場面がほとんどないので、収録でもほぼ会わなかったです。会ったのは2回くらいだったよね?
杉山:そうですね。まだ分散収録の時期で、僕はユーハバッハ様(菅生隆之さん)とハッシュヴァルト(梅原裕一郎さん)の3人で録ることが多かったです。森田さんは一護と掛け合いの多いキャラクターたちとの収録だったと思うので、直接スタジオでご一緒した回数は少ないと思います。
森田:あとは収録の入れ違いで挨拶したくらいです。ただ、2回会ったうちの1回は、一緒にご飯を食べに行きました。前シリーズの収録は朝10時から始まって、午後1時くらいに終わるので、よくみんなで食事に行っていたんです。久しぶりに僕らと(井上織姫役の松岡)由貴ちゃんの3人で食事に行けて、すごく懐かしい気持ちになりました。
あと、うちのチームは僕と織姫と夜一さん(ゆきのさつきさん)、茶渡(安元洋貴さん)と岩鷲(高木 渉さん)というメンバーでしたが、ゆきのさつきさんと由貴ちゃんがずっと僕にちょっかいを出してくるんです。
特にゆきのさつきさんのいたずらがヒドくて(笑)。僕がお手洗いに行っている隙に、台本にいたずら書きをするんです。気づかず本番に臨んだら、一護がカッコよくキメるシーンのセリフの下にハートマークがあって。ページをめくった瞬間にニュアンスが変わりそうになりましたけど、何とか堪えることができました。こんなたわいもないことに懐かしさを感じたというか。彼女は昔からそういうことをしてくるんです。
ーーもしや杉山さんもゆきのさんのいたずら被害に遭われたことが……?
杉山:いや、僕はないです。
森田:僕はいじめられっ子なんです!(笑)
杉山:違いますよ! 恐らく関係性的に森田さんがリアクションしてくれるのが楽しかったんじゃないでしょうか(笑)。
森田:そういう空気感も含めて『BLEACH』らしいなと。ずっと朝っぱらからワイワイやっている現場だったので、今も変わらずできていることが嬉しいです。
それぞれのキャラクターを演じているのはすごい方ばかりで、その人たちがチームを組んだ時の相乗効果も生まれるし、現場の温かい雰囲気作りもトップクラス。ただ、新たに参加してくる若い方たちは『BLEACH』を観て育ってきたからか、スタジオに入ってくるととても緊張していて。
杉山:そうですね。
森田:僕たちのやり取りを見ているうちに緊張がほぐれて、「こういう現場だったんですね。楽しかったです」と感想を言って帰っていきます。今までの『BLEACH』の現場ではなかったことなので、それが座長としては非常に嬉しかったです。