
感情とリンクする音楽、“好き”という尊い感情、キヅナツキ先生が紡ぐ言葉の力——『ギヴン』でしか得られない特別な体験を、あなたも。
関係性に惹かれるさまざまな“愛の形”
『ギヴン』ではさまざまな“愛の形”が描かれているのも人気の理由の1つ。関係性オタクは必ず沼にハマると言っても過言ではありません。「BL」というジャンルでは収まりきれないほど、人間愛に溢れている作品だと感じています。
初々しさと過去の陰りが残る立夏と真冬、距離感が心地よい大人な秋彦と春樹、限りなく無償で一途な玄純と柊など、それぞれにある愛や関係性を噛み締められる良さがあります。
どの関係性も捨てがたいのですが、個人的には、春樹・秋彦・雨月の三角関係が深く刺さりました。友達以上恋人未満という曖昧な関係を続けている秋彦と雨月。お互いの存在が音楽への自由を奪っていると感じていても離れたくない。
そばにいたい気持ちと苦しくて逃げ出したい気持ちで拮抗している2人の姿だけでなく、秋彦に想いを寄せている春樹の姿も見ていると、胸の内がかき乱されるような感覚に陥ります。
特に、春樹が秋彦のすべてを受け止めようとした瞬間、「お前に言ってもどうにもならない」と拒絶されるシーンはもう……。
私たちの心を容赦なく殴り倒してくることもあれば、思わず涙してしまうような明るい未来が見えてくることもある。だからこそ、そこに深い感動が生まれるのだと思います。その感動は『ギヴン』の世界でしか味わない特別なものです。
語りつくせないほど、『ギヴン』にはさまざまな愛の形が存在していますが、その愛は真冬や立夏の同級生、家族との関係性からでもうかがえます。
たとえば、立夏に想いを寄せていた同級生の笠井ちゃん。真冬とはお互いに敵視していたところがありましたが、いつの間にか仲良くなります。そんな笠井ちゃんの好きなセリフがこちらです。
「人って不思議 傷つけあったり ぶつかりあったり 背中を押したり 押されたりして ゆるやかにつながっている」
また、立夏の姉・弥生のセリフも印象的です。弟の恋愛対象が男性に向いていることを感じ取り、男同士は不毛だと傷つけるような言葉を放ってしまいます。その後に、他の人へこぼした本音がこちらのセリフです。
「傷つけるんじゃなくて、わかってあげたかった」
傷つけるつもりはなかったのに酷い言葉を言ってしまった、わかってあげたかっただけなのに相手を傷つけてしまった……同じような経験をしたことがある方は多いと思います。
ときには言葉が鋭い刃になることもあれば、相手を救う言葉にもなるということを改めて感じ、言葉を大切にしようと思えるのも『ギヴン』から得られる体験の1つです。
人間愛で溢れている『ギヴン』は、さまざまな感情と愛を通して私たちの人生を豊かにする力を持っています。さまざまな関係性から、それぞれの愛をぜひ感じ取ってみてください。