SNSフォロワー90万人以上! 世界中から注目される新星イラストレーター・千種みのり先生の軌跡と挑戦が詰まった『千種みのりArtWorks 「じつは義妹でした。」』発売記念インタビュー
「可愛くしよう」という思いで描いています
――10月19日には、『千種みのりArtWorks 「じつは義妹でした。」』が発売されます。ライトノベル『じついも』のイラストを担当されることになった経緯をお聞かせください。
千種:こちらも、SNSに投稿していたイラストを見てくださった担当の方からお声をかけていただいたような経緯です。『じついも』はYouTube発のプロジェクトということで、それがすごく新鮮でしたね。
――イラストの方向性もすぐに決まったのでしょうか?
千種:どんなお話なのかはすぐに把握できたので、大体の方向性はつかみやすかったです。ただ、だいぶ案は出したような……。
KADOKAWA担当編集(以下、担当編集):そうですね、だいぶ出していただきました(笑)。
千種:確か、8パターンくらいありましたよね。
――そんなに!
担当編集:千種先生はいろいろなアイデアを出してくださるんです。どれも魅力的なので選ぶのに困るくらいでした(笑)。本当にありがたいお話です。
――『じついも』のイラストを描く際に大切にされていることはありますか?
千種:『じついも』のイラストに限らず、すべての作品を「可愛くしよう」という思いで描いています。仕草や表情が大切だと思っているんです。特に「目」を褒めていただくことが多いので、目にはかなり力を入れて描いています。
――あの目力に引き込まれていく感じがあります。
千種:ありがとうございます。
――例えば、1枚のイラストを仕上げるのにどれくらいの時間をかけることが多いんですか?
千種:モノにはよるのですが、カバーイラストだと……8時間くらいでしょうか。
――下絵も含めてのお時間ですか?
千種:そうです。
担当編集:私から補足させていただきますと、千種先生は速筆なんですよ。いつも本当に驚きます。今回の画集は144ページもあるんですけども、それは千種先生の筆の速さも関係しているんです。おかげで一冊にまとめることができました。
――SNSにもものすごい頻度でイラストをアップされていますよね。最近ですと、オリジナル作品『志乃と恋』のイラストを中心にアップされていますが、ルーティーンとなっているのでしょうか。
千種:1週間毎、同じ曜日にイラストを更新していくというのを他のイラストレーターさんがやっていて、それを真似し始めたのがきっかけでした。それが今も続いているような感じですね。SNSはすぐに反応をいただけるので、そうした反応がもらえるほど、また“描きたい力”が高まる気がします。
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――今までもらった言葉の中で、特に嬉しかった言葉や反応はありますか?
千種:そうですね、個人的にこだわった部分に気づいてもらえた時が一番嬉しいですね。例えば、先日アップした『志乃と恋』のイラストの中で、さりげなくキスマークを描いたんです。それに気づいて「もしかしてこれキスマークですか?」って反応をいただいた時は、本当に細かいところまで見てくださってるんだなと思って、すごく嬉しかったです。
――細部までこだわって描いた部分をちゃんと見てもらえるのは、作り手にとって最高の褒め言葉ですよね。
千種:そうですね、本当に感謝です。
――ファンの皆さんとSNSを通じてやり取りできるのは、描くモチベーションにもつながりますよね。ところで、これだけたくさんのイラストを描かれていて、プレッシャーを感じることはないんですか?
千種:今のところは大丈夫ですけど、やっぱり筆が乗らない時もありますね。というか基本的に「やる気な〜い」って言ってることが多いんです(笑)。結構切羽詰まってから描き始めるといいますか……。
――え、意外です!
担当編集:そうは言いつつも、千種先生は締め切りをバッチリ守っていただいているので、本当に助かっています。
――すごい……! むしろ速筆なだけに「それだけ描かれていて大丈夫ですか?」と声を掛けたくなってしまいますね。
担当編集:私も発注の際に「この量やスケジュールでお願いして大丈夫かな?」と念の為に確認するようにしていますが、千種先生はいつもそれにしっかり応えてくださるので、本当に安心しています。おかげで、この作品を編集者としてストレスなく進められるんですよ。
――クリエイターと編集者の連携があるからこそ、素敵な作品が生まれるんだろうなと改めて思いました。千種先生はそれだけ多忙ななかで、インプットはどうされているんですか?
千種:やる気が出ないと言っている時は、ゲームをやったり、アニメを見ていることが多いんですよ。何も考えずに娯楽として楽しんでいるんですが、多分無意識に「こういうの好きだな」って感覚が蓄積されていって、それがインプットにつながっているのかもしれません。
――ちなみに、ここ数年でハマっている作品はありますか?
千種:なんでも見る方なんですが、特に『ソードアート・オンライン』にはすごくハマりました。
――それこそ今回の画集には『じついも』と『ソードアート・オンライン』のコラボレーションイラストも収録されていました。
千種:すごく好きな作品なのでびっくりしました。
兄貴……いや、お兄ちゃん?
— 千種みのり🍎『志乃と恋』8/23発売 (@minori_chigusa) November 10, 2022
これで僕も飛べるかな?#じついも #ソードアート・オンライン pic.twitter.com/ji5IQxHjho
――やはり大好きな作品に関われるというのは特別ですよね。それにしても、やる気が出ないとおっしゃっているのに、締め切りはしっかり守られているのが本当にすごいなと。
千種:いやいや、そんなことないです(笑)。常に「やる気ない」って言ってるタイプなんですけど、締め切りがあることでモチベーションを保っているだけです。もしかしたら、締切がなかったら永遠に描けないかもしれない……(笑)。設定していただいたほうがやりやすいなと。
――完成したイラスト集のゲラを見たとき、どのような手応えを感じましたか?
千種:「いっぱい描いたな」と思いました。イラストを描いた時の出来事は結構覚えているんですよ。「こういうリクエストがあったな」「この部分は特にこだわったな」とか、いろいろと思い出しました。
担当編集:今回の画集をリリースするにあたり、それぞれのイラストに対するコメントも千種先生にいただきました。画集に掲載させていただくので、ぜひ楽しみにしていていただきたいです。
――ちなみに、特にお気に入りのイラストや「ぜひこれを見てほしい!」というものはありますか?
千種:まだ完成していないんですけど、キャラクターの集合イラストを頑張っているので、それをぜひ見てほしいですね。今はラフを描いているところです。
――楽しみにしています。ところで、千種先生はラフから完成まで、どのデバイスで描かれているんですか?
千種:すべてiPadで描いています。iPadにクリスタ(CLIP STUDIO PAINT)をダウンロードして使っています。
――へえ! 液タブ、板タブなどいろいろと選択肢があったとは思いますが、最初からiPadで描かれていたのでしょうか。
千種:最初はパソコンと板タブを使っていたんですけど、高校生の頃、周りがみんなiPadでお絵かきをしているのを見て、良いなって。それで私も欲しくなって誕生日に親にねだって買ってもらいました(笑)。それ以来、iPadで描いています。どちらも同じくらい描きやすいですね。
――とても参考になります。ちなみに、iPadは画面が大きいものを使っていますか?
千種:いえ、私は小さい方ですね。大きいと持ち運びが不便なので、11インチくらいのものです。基本的には家で描いているんですが、打ち合わせの時にiPadを持っていくことが多いので、小さいほうが便利かなと。