キヅナツキ先生が描くロックバンドのメンバーたちを中心とする青春群像劇『ギヴン』。新書館『シェリプラス』にて2013年~2023年5月号まで連載、現在は高校時代から10年後を描いたストーリー『ギヴン 10th mix』が連載中です。
『ギヴン』は、至高のBL作品としてファンも多く、2024年は本編最後のストーリーが2部作で映画公開となり、話題の尽きない年になっています。最終章『映画 ギヴン 海へ』の公開を記念して、主要な登場人物のプロフィールや性格、注目シーンなどをまとめてご紹介します。
※本稿にはネタバレが含まれます。
目次
基本プロフィール
鹿島柊(かしまひいらぎ)
バンド「syh(シー)」のベース&ボーカル
(プレシジョンベース)
誕生日:5月8日(17歳・高2)
星座:牡牛座
血液型:A型
身長:175cm
性格と、仲の良い友だち
真冬、玄純、由紀と幼なじみ。真冬のことは弟分みたいに思っていて、柊は構いたがるも真冬には邪険に扱われケンカばかり。けれど柊にとっても真冬にとっても一番対等に接することができる存在だったように思います。
ある夏の日、柊は玄純と、真冬は立夏と祭りに行く約束をし、柊と真冬は浴衣を着ていきます。真冬の浴衣も着つけた柊。なんでもそつなくこなします。
コミュニケーション能力が高く、バンドを見に来てくれるファンとも気さくに話す柊は、光る方向に躊躇なく前進できる、いわゆる光属性。けれど、感情の起伏が激しくジェットコースター並みにアップダウンすることがあり、突然泣き出すこともしばしば。
真冬の彼氏として紹介された立夏を、のちにギターのサポートに勧誘。事あるごとに言い合いになる柊と立夏ですが、音が合うときは合うようで、同族嫌悪ながらもデビュー後もサポートを依頼します。
柊と音楽
高校に入り、由紀と玄純の3人でバンドを組みます。由紀がギターを選んだのもありますが、大きくてかわいいからという理由でベースを選んだ柊。由紀がいなくなったあと柊がベース&ボーカルになり、玄純と2人でバンド「syh」を結成。
syhの持ち曲はすべて柊が作詞・作曲したもの。柊は多作派で、真冬にどうやって歌詞を考えているのか聞かれると「ぶっちゃけ響き」と答える天才肌。あの立夏に「マジでイイ」と思わせてしまうほど柊には華があります。
柊の恋
玄純に抱く想い
子どもの頃からずっと、玄純は自分に興味ないような顔をしながらも、いつも一緒にいてくれるし、欲しい言葉をくれるし、最後はついてきてくれる存在でした。
玄純への気持ちを自覚し、人の気持ちに聡い真冬に「早くくっつきなよ」と言われさらに意識し始めます。柊が音楽を続けている理由のひとつは、バンドをやっていれば玄純のことを自分の人生に縛っておけると思ったから。
それなのに、「お前も由紀のことが好きだっただろう?」と言われ、柊は勢いで玄純に告白。ピュアな気持ちで玄純のことを好きと言う柊に対して、玄純の好きは色欲を持ったもの。その温度差を目の当たりにし、自分の気持ちはただ由紀を失った淋しさを埋めるものだったのかと疑い始めます。
由紀という特別な存在
柊にとって由紀はあこがれで、聖域で、由紀が真冬に向けるまなざしは“特別”だと思っていました。由紀と真冬2人の世界を近くで見てきた柊には、由紀とどうこうなりたいという感情はなく、ただ眺めているだけでよかった。それを傍から見ていた玄純には、柊が由紀のことを好きなように見えてしまっていたのです。
由紀は魅力的な男。由紀と比べると自分の音楽はジャンクフードだと言い、実際に由紀が途中まで作ったデモを聴いた立夏も衝撃を受けるほどでした。
注目シーン
真冬に許されたかった柊
由紀がいなくなってから音信普通になっていた真冬と偶然再会。真冬が由紀のギターで音楽を始めたことを知り、ゆっくり話がしたいと真冬を呼び出します。
由紀と真冬が付き合いだしたことも知っていたし、真冬だけ違う高校に通い3人で音楽を始めてから、由紀と真冬の世界に小さな歪みができたことも気付いていた柊。2人がケンカしたときもその場にいたのに何もせず……。
由紀に心酔していた柊は、由紀に特別な存在として扱われる真冬を羨ましく思い、真冬が本当は音楽が好きなのに気付かないふりをして、自分が由紀とバンドを組んでいることに優越感を感じていたのかもしれません。淋しいと思っていたであろう真冬の気持ちに寄り添えなかったことをずっと後悔していました。
由紀がいなくなったのは誰のせいでもない。もちろん柊のせいでも。それでも何か自分にできることがあったのではと悔やんでいたのだと思います。お前は悪くない、お前を許すと誰かに言ってほしかった柊。そして誰よりもその言葉を真冬に言ってほしかったのです。
由紀の音楽で玄純が“特別”な存在だと気付く
メジャーデビューが決まって今までのギターがバンドを抜けることになり、立夏をサポートに誘った柊は「お前とやってみたいことがある」と伝えます。それは真冬の元恋人・由紀が作った曲をやること。歌詞も曲も途中のままの歌を立夏に完成させてほしいと頼みます。
ちゃんと“由紀の音楽”として曲を完成させた立夏。そのデモを聴いた柊の中に、由紀の気持ちが流れ込んできます。由紀と真冬は普通に恋をしていただけ。そしてそれは自分が玄純に対して抱いている気持ちと同じもの。人を好きになれば、その相手が“特別”になるということに気付くのです。
気持ちがはっきりした柊は、玄純のものになりたいと“自分を欲しがられ”に行き――。2人の想いがひとつになる夜を過ごします。
真冬に聴かせたい曲「海へ」
由紀が遺した曲を完成させる――それは柊が乗り越えたかったことで、そのためには立夏が必要だった柊。真冬にライブのチケットを渡しに行き、「俺に上ノ山を貸してくれてありがとう」と伝えます。そして真冬に聴いてほしいと。
それは自分のわがままだと言う柊でしたが、聴けば真冬の心も救われると思っていたのだと思います。
真冬に向けた由紀の気持ち、由紀の気持ちを真冬に届けたいという立夏の想い、2人の想いを声にして伝える柊。「海へ」と題された贈り物は、しっかりと真冬の胸に届きます。
声優は今井文也さん
柊を演じるのは声優の今井文也(いまいふみや)さん。1997年10月5日生まれ、青森県出身。出演作品には、『神クズ☆アイドル』の仁淀ユウヤ役や『プロジェクトセカイ カラフルステージ!』の東雲彰人役などがあります。
終わりに
明るくて自由奔放、“お姫様気質”な柊ですが、ひねくれた発言の裏には優しい感情を持ち合わせていて、実はとってもピュア。
由紀を失ったことは、真冬はもちろん柊にとっても人生を左右するほどの出来事。淋しさ、悔しさ、やるせなさ……。いろんな感情を乗り越え、そして由紀の分まで音楽を続けていこうと決めたのだと思います。立夏が「デビューすることに葛藤はなかったのか」と柊に聞いていましたが、柊が葛藤したのは「由紀がいなくなっても音楽を続けるかどうか」だったのでしょう。
自分も真冬も前に進むため、今このタイミングで由紀の歌を完成させようと思った柊。それを全うした立夏。みんな最高に格好いい! 本音で言い合える柊と真冬の関係も良いですよね。
syhとギヴン、ふたつの音楽が一世を風靡する、そんな現実を見てみたいなと思いました。
アニメイトタイムズのお仕事のほか、旅行、グルメ、ウェディング、テーマパーク系のライターをしています。 旅行に行けなくなって、漫画やアニメにハマリ、今はもっといろんなジャンルを知るべく武者修行中! スポコンアニメを見て、一緒に泣いたり熱くなったりするのが最近のストレス発散方法。 ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆
この記事をかいた人
- 万木サエ
- 旅行、グルメ、テーマパーク系のライターを経て、アニメのジャンルへ出向。ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆