映画
『映画 ギヴン 海へ』矢野奨吾×センチミリメンタル・温詞が語る「海へ」の楽曲制作の裏側

物語の結末は『ギヴン』という作品らしい――『映画 ギヴン 海へ』佐藤真冬役・矢野奨吾さん×センチミリメンタル(温詞)さんインタビュー|syhが歌う「海へ」の楽曲制作の裏側、「海へ」を聴いた真冬を演じるにあたっての想い

 

物語の結末は『ギヴン』という作品らしい

――お二人は2024年1月にアニメイト池袋本店にて開催の「ギヴン展 -given exhibition-」を一緒に内覧されていました。改めて「ギヴン展」はいかがでしたでしょうか?

矢野:まず、約11年というこれだけ長く続いている作品ということを改めて実感しましたね。最初に年表が展示されていたり。役者としては立夏と出会った階段のシーンから始まり、今に至るまでの軌跡を追って行くなかで、最初のあの時の気持ちはこうだったなって、好きだったシーンへの思い入れだったりがぶわーって蘇ってきて、改めて真冬を演じた時の気持ちや役者として最初に向き合った時の気持ちを思い出させていただきながら「ギヴン展」を楽しませていただきました。

特にTVアニメ第9話「冬のはなし」の再現スタジオが本当にすごくて。

温詞:本当にすごかったです。リアルで「こういう感じだったんだ」って。一緒にあのスタジオを見ることができたのは、未だに実感が湧かないもんね?

矢野:超良いスピーカーで楽曲が流れてスクリーンで真冬が歌うシーンが流れているという。演じていたのに自分がひとりのお客さんとして、「ギヴン」を観に行っているという感覚になりました。作中でも真冬が歌うのを見ていたお客さんの気持ちがすごく理解できましたし、めちゃくちゃ良いシーンだなと改めて思いました。

 

 
温詞:照明とかも歌とリンクしていて、すごく没入感があって素晴らしい展示だなと思いました。色々なものを振り返ることができた時間でしたね。

――話題は物語についてになりますが、『映画 ギヴン 海へ』の物語の結末について、お二人のご感想をお聞かせください。

矢野:どうでした?

温詞:どうでした?

一同:(笑)

温詞:まず原作の最終話を読んだ時に、衝撃でした。もう完璧じゃないか!と思いました。

未来へ向かう希望だったり、これまで歩んできた自分たちの人生や過去も全部、抱きしめた上で希望溢れる終わり方だったので、僕はそこで新しい感動を覚えたというか。もっと悲観的にも、もっと前向きにも作れるし、もっとあざとく物語を作り上げることもできると思いますが、『ギヴン』の結末はすごく人間らしくて、人生だなという感じがしました。

僕はすごくそれに救われたし、本当にもう拍手喝采という言葉がぴったりで『ギヴン』という作品の100点満点の結末なんじゃないかなと思いました。

矢野:すごい全部、言語化してくださってます! その通りですよね。

 

 
先ほど、前向きに作ることもできるってお話しされていましたが、僕は最初、終盤の真冬の心境を前向きに捉えてお芝居をしていたんですけど、音響監督の菊田さんとお話ししていく中で「真冬はそうじゃないんだよ」ということを教えていただきました。

この今の幸せな一瞬というものは失われていって、過去になっていき記憶からも無くなっていく、真冬はそのことをよく分かっているから前向きというよりも、過去になっていくものだとして一生懸命、その幸せな一瞬を切り取って、記憶に残そうとしている。そういう話を聞いた時に、その通りだなと。少し情けない部分でもありますが、真冬という人物を演じるにあたって僕の要素も結構混じりあって強く出過ぎてしまっていたなと思いました。

綺麗事ばかりじゃなくて、全部受け止めて包み込んでくれるような終わり方で、本当に『ギヴン』という作品らしいなと思いました。だから僕も、あの終わり方がすごくすごく好きです。真冬らしくノスタルジックに終わるというか。

温詞:うんうん。

 

 

――本作は真冬の成長物語でもあります。インタビュー冒頭の方に、「真冬と一緒に成長して行った」とお話もされていましたが、2019年から2024年の間で成長して行く真冬を演じて行く中で意識したところや難しく感じたことなどはありますか?

矢野:難しさはどの作品でも常に感じますが、真冬に関してはTVアニメ第1話の第一声の時からお芝居のディレクションはあまりなかったんです。それは多分、真冬が軸にお話しが進んでいくので色々な可能性を探って行けるように僕のお芝居を尊重してくださったんじゃないかなと思います。その時の僕の気持ちとしては、たとえ視聴者の方々が下手だな思われたとしても、僕は真冬をこういうふうに表現していきたいんだと突き通そうと思っていました。それはすごく怖くて臆病になってしまうこともあるんですけどね。

もっと抑揚をつければ伝わりやすいのかもとは思いますが、「俺が感じた真冬はそうじゃない。自分はこういうふうに真冬を演じて行くんだ」という確固たるものがあって、そこを信じて進んできました。オンエアされた物語を後で俯瞰して見て、僕のお芝居が足りていないなと思ったことも正直あって、その反省点を次の収録に活かしていきました。なので、僕の成長と共に真冬も一緒に成長して行っているという感覚は常にありましたね。

改めて振り返ってみると、一歩を踏み出せないという状況から何か変えたくて、もがいてみたいな。すごく臆病な自分の殻を破りたい、もっともっとチャレンジしたいという若々しさやバイタリティが当時の僕にはあったので、そういうところでは彼らの持つ特有の、あの世界のエネルギーが音楽と出会うことで何倍にも増幅されていくという爆発力のような部分が、当時の僕の役者としてのスタンスだったり、思っていたこととすごくリンクしていたなと思います。

 

 

――たくさんお話しいただきありがとうございます。2024年11月に「ギヴン」(矢野奨吾さん)&「syh」(今井文也さん)&センチミリメンタルさんが出演される、『映画 ギヴン 海へ』公開記念ライブイベント「ギヴン-海へ-」が決定しましたが、そこに向けての意気込みを最後にお聞かせください。

温詞:そもそも『ギヴン』と最初にイベントを開催した時はコロナ禍でした。ライブでみんなと一緒にコール&レスポンスが出来るようにという願いを込めて書いた曲もありましたが、その時はコール&レスポンスという部分はできなかったんです。

そういう未練がすごくあったので、やっときちんとお客さんと交わって『ギヴン』にまつわる楽曲たちのフルパワーが出せる。世界観にどっぷりと全て浸かれるイベントになると思うので、僕個人としてもすごく楽しみにしています。本当に来てくださるみんなが『ギヴン』の世界に浸ってくださればいいなと思います。

矢野:「ギヴン-夜が明ける-」のライブの時は、お客さんみんなとコール&レスポンスはできなかったけれど、たくさんのお客さんが観に来てくださって、たくさんの方々が応援してくださって『ギヴン』のことを愛しているということを肌感覚でも感じました。今回は声出しOKということで、よりギヴン愛を共有できることが本当に楽しみで仕方ないです。

バンドのみなさんと演奏することの楽しさに気付けたのも「ギヴン-夜が明ける-」のライブでした。最後にバンドのみんなと目を合わせて一緒に終わりのコードを鳴らすのはすごく青春だったな。青春時代でも経験したことがない魂が震えるような感覚をもう一度、味わえることが本当に嬉しくて仕方がないですし、真冬が今後プロになって行き成長しているので、僕としても前回よりも成長した姿をみなさんにお見せしないとお客さんにも真冬にも申し訳ないなと思っています。今回のライブへの気合もかなり入っているので楽しみにしていただけますと幸いです。

 
[取材・文/笹本千尋]

 

ライブイベント「ギヴン-海へ-」

日程:2024年11月4日(月・祝)
会場:大阪・Zepp Osaka Bayside
開場:17:00 / 開演:18:00

日程:2024年11月6日(水)
会場:愛知・Zepp Nagoya
開場:18:00 / 開演:19:00

日程:2024年11月10日(日)
会場:神奈川・KT Zepp Yokohama 
開場:17:00 / 開演:18:00

【出演】
ギヴン(矢野奨吾) / syh(今井文也) / センチミリメンタル

【料金】
1階スタンディング : ¥7,500 (税込)
2階席:¥8,500(税込)
※ドリンク代別途
※未就学児入場不可

<オフィシャル2次先行(抽選)>
受付期間:9⽉14⽇(⼟)12:00〜9⽉29⽇(⽇)23:59
受付URL:https://l-tike.com/given/
※お一人様4枚まで

【お問い合わせ】
大阪公演:GREENS 
TEL:06-6882-1224(平日12:00〜18:00)

愛知公演:サンデーフォークプロモーション
TEL:052-320-9100 (全日 12:00~18:00)

神奈川公演:ソニー・ミュージックソリューションズ
https://sonymusic-lcg.com/contact/

 

作品概要

映画 ギヴン 海へ

あらすじ

佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶 秋彦のバンド「ギヴン」は、フェス出場をかけたコンテストに落ちるも、メジャーデビューへの誘いがかかる。各メンバーがデビューに前向きな姿勢を見せる中、真冬は答えを出せずにいた。

一方、メジャーデビューを決めた鹿島 柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」。

一時的なサポートギターとして加入していた立夏は、柊から託されたある曲を完成させようとしていた。

そんな中、立夏のもとに真冬から「あいたい」と連絡がくる。

ただならない雰囲気を感じた立夏は真冬のもとに駆けつけるが、真冬の音楽を拒むような態度に気づいてしまう。

立夏への想い、音楽への想い。

さまざまな気持ちの前で戸惑い、立ち止まってしまう真冬。

そんな彼に声をかけたのは、世界的に活躍するヴァイオリニスト・村田雨月だった。

キャスト

佐藤真冬:矢野奨吾
上ノ山立夏:内田雄馬
中山春樹:中澤まさとも
梶秋彦:江口拓也
鹿島柊:今井文也
八木玄純:坂泰斗
村田雨月:浅沼晋太郎

(C)︎キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

 

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