『ちびゴジラの逆襲』ちびゴジラ役・福山潤さんインタビュー|恐怖の存在×みんなのアイドル=シュールなコメディ!? ひとつひとつのセリフに込められたエネルギーは“放射熱線”クラス
2024年4月より、テレビ東京系列「おはスタ」内にて『ちびゴジラの逆襲』が放送中!
シーズン2からの新キャラクター・ちびミニラ(CV:内田真礼)、ちびガバラ(CV:木村良平)、ちびチタノ(CV:木村 昴)に加え、10月からはちびガイガン(CV:宮野真守)も登場し、ますます盛り上がりを見せています。
本稿では、ちびゴジラを演じる福山潤さんへインタビュー! 作品の魅力や見どころ、オススメのエピソードなどを語っていただきました。
ゴジラは色々な表現を許容できる、懐の深いキャラクター
ーーまずは『ゴジラ』シリーズに対する印象を伺えますか。
ちびゴジラ役・福山潤さん(以下、福山):子供の頃から『ゴジラ』シリーズには、慣れ親しんでいました。初めて映画館で観たのは、『ゴジラVSビオランテ』(1989年公開)。あとは、それ以前のいくつかの作品をTVで観たり、マンガや雑誌でアンソロジー系のモノを読んだりしていました。ミニラたちが登場する『怪獣総進撃』(1968年公開)などの昔の作品は知ってはいたものの、網羅はできていなくて。ただ、キングコングと戦ったこともある(『キングコング対ゴジラ』)というのは知っていました。
初期のゴジラはある種の天災として描かれて、後年の作品では人間の味方になったり、人類の敵になったり、ハリウッドに渡ったり……。色々な形で表現されることが許容されているキャラクターという印象があります。
ーーそれだけ描きがいのある題材ということですよね。
福山:アニメや特撮を観ていると、様々な作品で『ゴジラ』のオマージュが見られます。しばらくして、「あっ、これは芹沢(大助)博士のネタだったのか!?」と気付くとか。ハリウッド版でも「オキシジェンデストロイヤー」をオマージュしていましたが、本場の英語で聴くと胡散臭さがあって面白いんですよね(笑)。
ーーそういった流れを踏まえると、『ちびゴジラの逆襲』もゴジラを新たな切り口で描いた作品のひとつと言えるのではないでしょうか。
福山:ちびゴジラのキャラクター展開については、自分が関わる数年前から知っていました。デザインが可愛らしいので、ゆるキャラ的な描かれ方になると予想していましたが、台本を読んでみると「なるほど。シュールな方向に寄せたんだな」と。“恐怖の存在”と“みんなのアイドル”の中間をとった結果、シュールになるのは腑に落ちました。ただ、全年齢対象なので、シュールなコメディが果たして受け入れられるのかどうかは、「大本の『ゴジラ』を知っているか」がキーになっていて、もし『ゴジラ』を知らない人が本作を観たら「何なんだろう?」という疑問を抱くはずです。お子さんがお父さんやお兄ちゃんから教えてもらうある種の教養になっている、そんな『ゴジラ』の強みがないとできない切り口だと思います。
ーーちびゴジラと各キャラクターの掛け合いはテンポが良いですし、笑える要素が詰まっていて、毎回クスっとしてしまいます。
福山:仮に30分アニメだとすると、みんなの声が大きすぎるんですよね(笑)。朝の番組なので「そんなに大きな声を出すな」と言われそうですが、3分弱のアニメだからこそ、あまり気にならないんじゃないでしょうか。ひとつひとつのセリフにエネルギーが込められているので、コントやコメディに近い空気感になっている気がします。
子供の頃に観ていた番組を大人になってから観返した時、「こんな感じだったっけ?」と不思議に思うことがあるじゃないですか。子供の頃は何も考えずに観ますし、知らず知らずのうちに頭の中で補完しているので、“音”から入ってくるものは印象に強く残りやすいんです。
自分が劇場アニメの声を担当した時に劇場で見るときは、お子さんがどこで反応しながら観るのかを確かめるようにしています。やっぱり大人と反応するところが違うんですよ。大人が言葉の内容やキャラクターの性格なども含めて受け取る一方、お子さんは音から感情の強さを読み取る訳です。本作に関しては、お子さんの情感に訴えた方が良いかなと思ったので、基本的にはフルスロットルでやろうと考えています。
ーー実際にアニメの放送が始まってからは、どのような反響がありましたか?
福山:仕事現場にはお子さんがいらっしゃる方も多いので、「ちびゴジラみたいな役の声は初めて聴きました」と言われたり、YouTubeのコメントを読んだりしています。ただ困った点もあって、「ちびゴジラの声やって!」と頼まれてもすぐにはできないんですよね。あのハイテンションと声量ですから、その時のコンディションに左右されやすいので(笑)。
あと、グッズまで購入される方はあくまでキャラクターとして観ていると思うので、可能な限りどう見られているのかはチェックしています。「今のちびゴジラで間違っていないんだ」と確かめるだけでやりやすくなるし、更に踏み込めたら良いなと思いますから。
ーー『ちびゴジラの逆襲』は様々なコラボやグッズも発売されていますが、他にも色々な展開ができそうですよね。
福山:紙芝居や着ぐるみ、人形を使ったコントもできると思います。ただ、遊園地やデパートの屋上でやるとしたら、テレビアニメのフォーマットだとお子さんに分かってもらえないかも(笑)。