通常版と何が違う？真生版ではこんな演出が加わった！映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』レビュー｜鮮明になる色、真生版でより深まるゲ謎の世界【※ネタバレあり】

第47回日本アカデミー賞・優秀アニメーション作品賞を受賞した映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』が2024年10月4日（金）に全国の劇場にて再上映されています。（配給：東映／R15+）

真生版では327カットのリテイクとそれに合わせた音の再ダビングがされており、これまでの『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』とはまた違った見方で作品を楽しむことができます。

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』では何が違うのか？

そう思っている方も多いでしょう。

そこで本稿では映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』レビューをお届け。主に映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』との違いを比較しながら今作での感想を綴っていきます。

※本稿には映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』のネタバレが含まれております。完全初見で楽しみたい方は本作をご覧になったあとに本記事をご覧ください。

※本稿は個人の見解が含まれております。

“血”の描写がより過激になった

まずはじめに、真生版では恐怖演出のリテイクと作画のブラッシュアップのリテイクがされたことが明らかとなりました。そして、ご覧になった方の多くが「これがPG12とR15の境か！」と感じられた描写として「流血」が挙げられます。

一番分かりやすいなと筆者が感じたのは龍賀沙代が長田庚子を殺めたシーンです。通常版（以下、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を通常版と記述します）でも、燭台に切断された庚子の首が刺ささっているというショッキングな描写がされていましたが、真生版では切断された胴体から血飛沫が勢いよく吹き出すという演出が加わっていました。ほか、沙代が使役する狂骨に襲われている長田幻治が「奥様！　乙米様！」と叫ぶシーンでも長田から流れる血の量が増していました。

これはストーリー全体に言えることなのですが、特に終盤の鬼太郎の父＆水木が龍賀時貞（見た目は長田時弥）と窖（あなぐら）で対立するシーンでは“血の赤”がより鮮明になった印象を受けます。

ほかにも作画のブラッシュアップのリテイクがされたことによって鬼太郎の父＆水木をはじめとするキャラクターたちの顔が良くなっていることにお気づきの方も多いことでしょう。ふとした時のキャラクターの顔の良さ（というか目の揺れ動きなどの表情の良さ）に心掴まれました。

再ダビングされたサウンドに注目！

音に関しては、別媒体のインタビューにて古賀豪監督が音響はタイミングなどを微調整したとお話しされていたことを踏まえて劇場へ足を運んでみました。個人的には、通常版と比べると画と音がよりフィットしたことによって音がより良く聴こえてきたような気がしました。

鑑賞後は「なんか音響がすごかった！」という感想を抱きました。単純な感想ですが、映画を見た直後に音の感想が出るくらいにはパワーアップしているように感じます。絵のパワーに負けないくらい音もしっかりと主張している、と言えるでしょう。

やはり劇場で見るしかない……！

また、話が少しそれてしまうのですが、筆者は本作を劇場にて数回鑑賞後、真生版を観る前に配信サイトにて数回本作を鑑賞しているのですが、「やっぱり劇場で観るに限る！」とつくづく思わされました。

例えば、今回、（真生版で）線画がより足されたという鬼太郎の父と長田のアクションシーンに入る前には、長田の声が後方から聴こえてきます。座席の後ろから前（上映画面）にいる水木たちに長田が話しかけているようで、会話を両者の間で眺めているようなあの感覚は家では味わえないし、劇場ならではの演出だと思います。

真生版ではサウンドの再ダビングのほか赤が鮮明になり大量出血の描写が足され、『ゲ謎』の世界がよりリアルに感じられました。キャラクターの表情の動きがなめらかになったようにも感じたことで、作品がより研ぎ澄まされているような……。キャストの方による音声の再録はないのに、「あれ？このシーン変わった？」と感じるぐらい受ける印象にも変化があり、また新たな『ゲ謎』を知ることができます。

まだご覧になられていない方も、一度ご覧になったことがある方も、何度観ても楽しめる作品だと感じております。真生版をぜひ、ご覧ください！

［文／笹本千尋］

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映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』作品情報

あらすじ

廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。

目玉おやじは、70 年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について…

昭和31年―日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。

龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。

それは恐ろしい怪奇の連鎖の本当の始まりだった。鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものはー

キャスト

鬼太郎の父（かつての目玉おやじ）：関俊彦
水木：木内秀信
龍賀沙代：種﨑敦美
長田時弥：小林由美子
龍賀時貞：白鳥哲
龍賀時磨：飛田展男
龍賀孝三：中井和哉
龍賀乙米：沢海陽子
龍賀克典：山路和弘
龍賀丙江：皆口裕子
長田（龍賀）庚子：釘宮理恵
長田幻治：石田彰
ある謎の少年：古川登志夫
鬼太郎：沢城みゆき
ねこ娘：庄司宇芽香
山田：松風雅也
目玉おやじ：野沢雅子

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

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