アニメーションになることで、こんなにも色鮮やかに息吹く世界は珍しいーーTVアニメ『アオのハコ』猪股大喜役・千葉翔也さん×笠原匡役・小林千晃さんインタビュー|男子コンビが、理想の青春シチュエーションを語る!
やはり大喜は、匡の中で特別なんだと思います
――先ほど小林さんより、「匡は大喜の真っ直ぐさを好意的に見ている」というお話をいただきました。千葉さんから見て、大喜は匡をどのように見ていると考えていますか?
千葉:大喜にとっての匡は、全く気を遣わないで接することのできる珍しい存在なんだと思います。大喜って、千夏先輩や雛、クラスメイトの子たちに対して、真っ直ぐだけど気は遣っている一面が目立つのですが、匡に対しては完成しきっていない自分の考えをぶつけることができるのかなと。
自分自身が大喜の立場にいると仮定した時、インターハイに進む上で匡もライバルの一人であると考えてしまうと思います。でも大喜はその関係値に嫌味がなくて、匡も「自分が上手くなること」と「大喜が上手くなること」を別々に考えることができているのかなと思いました。
僕は運動部ではなかったので想像でしかないのですが、高校1年生でその境地にたどり着けているのは素敵だと思います。
――確かに、匡だけでなく大喜も、どこか達観しているような印象を受ける時があります。そしてやはり、この二人に関しては部活が欠かせない要素のひとつですよね。
小林:部活に関して言うと、中学生の時点からフィジカルやバドミントンに対する熱量については大喜の方が卓越していると、彼の中で答えが出ていると思うんです。ただ、ちばしょー(千葉さん)が言っていたように、別ものとして考えている気がします。
――なるほど。
小林:大喜はインターハイ出場に向けてベストを尽くしていて、匡の中でもその目標と同じくらい頑張りたいものがある。でも現実が見えているからこそ、別の目標に向かって走っているのではないかなと思っています。
匡にとっての大喜って、恐らく「自分が想定しているベストよりも高い目標を持っている」っていうだけだと思うんです。事実としてその概念があるだけで、そこに対して嫉妬をする感情が湧かないのではないかと思っています。大喜自身が嫉妬するタイプではないし、大喜の頑張りを匡はすぐ近くで見ているから、ネガティブな感情にはならないのではないかなと。やはり大喜は、匡の中で特別なんだと思います。
千葉:確かに。わかるなぁ。
――そんな二人を演じられている際の収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
小林:この作品においては特に、ちばしょーと芝居の温度感が近いなと思うことが多いです。会話をしていて腑に落ちるというか、キャラクターが持っている関係値も相まって、ふたりでかけ合うシーンはすごく楽しいし、キャッチボール感が面白いなと思います。そういう意味では、他のキャストとのかけ合いでは見られない魅力かもしれません。
千葉:確かに。大喜と匡がかけ合っているシーンに関しては、違う筆で絵を描いているけど情報量が近い感覚があります。アフレコ中も、行き着く先を決めずに話し始めている雰囲気があるんです。結果的にオチが付いたら嬉しいと思うし、付かなくても会話としては成立しているから引っかかりなく次に進めるというか。こういう雰囲気になるのはきっと、年齢感が近いだけじゃなくて……普段日常で見ている世界観の広さが似ているって言えば良いのかな。
小林:きっと、目線や尺度が同じだったり、近いんですよね。あとは現実でもそうですが、女子と対話をする時と男子と対話する時では、若干の温度差があると思うんです。こういうことも関係しているのではないかと。
――確かに、同性間における適当な距離感ってありますよね。
小林:そうですね。あとは、気を遣わずにストレートに物を言ってくれる大喜のおかげでもあると思います。お互い芯の部分を出せるから。
千葉:少し話が逸れてしまいますが、別の作品では千晃が主人公をしていて、その時も僕が隣にいたりすることがあって。千晃が主人公のポジションにいる時の様子も知っているし、逆も然りなので、匡のことを主人公ではないキャラクターだと思っていないんです。
――お二人の中では、今までの共演歴も含めてお芝居が進んでいるのですね……!
小林:そうですね(笑)。やりやすいと思っています。
――また、今後のお話の中で、部活におけるさらなるライバルキャラクターたちも登場します。
千葉:本当の意味でのインターハイとはこういうものだ、という現実を突きつけられるというか……。このような展開は自分に置き換えてもあって、「初めての共演だけど、こんなに上手な演技をする人がいるんだ」「後輩なのにこんなに上手にできちゃうんだ……」と、口には出さないようにしているけどゾッとすることがあるので、そういう意味でも、存在してくれて嬉しいキャラクターたちですね。
小林:すごく刺激になるよね。
千葉:そうなんだよね。
小林:大喜から見ても、ライバルキャラクターたちがいなければ成長が止まっていたかもしれないよね。普段周囲にいる人とは、全く違う刺激を与えてくれるキャラクターたちだなと思います。