星子のまなざしに感じたモモへの深い愛情。荒っぽい言葉遣いの裏側にある、保護者としての“想い”を表現したい――『ダンダダン』星子役・水樹奈々さんインタビュー
熱量の高いお芝居にアフレコ現場の気温も上昇!?
ーー凄まじいテンポの掛け合いも印象的でしたが、収録はみなさんと一緒にできたのでしょうか?
水樹:できました。みなさんの呼吸を感じながらのアフレコだったので、とてもスムーズに進んだ気がします。
ーーかなり熱量の高い現場だったと伺っています。
水樹:スタジオの温度が2~3度高くなっていたと思います(笑)。モモとオカルンが常にトップスピードでくるので、星子さんもあのテンションの高さとは違う熱量で迎え撃つ必要がありました。若さのエネルギーで突っ込んでくるモモとオカルンに対して、懐深く受け止めながら「よしよし」と導いてあげるイメージです。冷静でいながらも、ものすごくエネルギーが必要でした。
ーー収録後の消耗度も高そうですね。
水樹:毎回お腹ペコペコになります(笑)いつも先生がお菓子の差し入れをしてくださって、とても嬉しかったです。(若山)詩音ちゃんはテストから全力で叫び続けていたので、お節介ながらいつも心配していました(笑)
ーーその他に収録で印象的だった出来事はありますか?
水樹:分散収録中だったこともあり、収録が終わったら早く空気を入れ替えて、次のチームに交代しなければいけなかったんです。みなさんとゆっくりお話しすることはできなかったのですが、ターボババアを追いかけ回すシーンでのアドリブ後真弓さんに「水樹さん、お口が悪いわよ」と言われて、「星子さんですから! 私じゃありません」と返したり(笑)。みんなが緊張しないよう、場を和ませてくださっていたのが印象的でした。
ーーモモとオカルンの印象についてもお聞かせください。
水樹:モモは真っすぐで、とても良い子だと思います。口の悪さは星子さんゆずりですね(笑)。ギャルだけど正義感が強くて、困っている人を放っておけなくて、とても大好きなキャラクターです。そんな彼女だから、超能力を使えたんだろうなと。
オカルンもとても純粋で友達になりたいと思うような人です。魂がピュアなこのふたりが惹かれ合うのは必然だなと思います。私自身もオカルトには興味があるので、ぜひ仲良くなりたいです(笑)。オカルンが早口でまくしたてるシーンを花江くんが見事に演じていて、「よくあれだけのセリフ量をハイテンションで噛まずに言えるな」と感動でした。
詩音ちゃんも飾らないモモを自然に表現していて本当にピッタリ!そんなモモとオカルンの掛け合いはとてもエネルギッシュで、朝から収録していたので、「ふたりは大変だろうな」と思いながら見ていました(笑)。この作品はキャスティングの妙を感じます。マイク前に立つふたりは、モモとオカルンにしか見えなくて。それくらい息の合った掛け合いだったので、一緒に収録していても気持ち良かったです。
ーーアニメの映像をご覧になった感想をお聞かせください。
水樹:最高にカッコよかったです! 戦闘シーンも迫力がありますし、日常シーンではモモがとても可愛く、オカルンにトキメいてしまうシーンも丁寧に描写されていて。どのシーンも見逃せないと改めて感じました。また原作に登場する妖怪や宇宙人もより立体的に描かれていますし、楽しめる要素が詰まっています。
制作チームの情熱をビシビシ感じる仕上がりに、この作品に携われて本当に幸せだなと改めて感じました。ぜひともたくさんの方に観ていただきたいです!
ーーモモ、オカルン、星子のそれぞれの見どころを挙げるなら、どんなところでしょうか?
水樹:モモはやはり超能力が覚醒する場面です。鬼気迫る状況ではありながら、カッコよく美しく描かれていて、映像ならではの見せ方になっています。あとカニを貪るように食べるシーンとか(笑)。普段との落差が魅力的なので、そういう部分にも注目していただけたら、モモをより愛おしく感じられるんじゃないかなと。
オカルンも、ターボババアの能力を身に付けた時とそうでない時の落差が激しくて。ひ弱で及び腰な印象が一変して、男前でカッコいいアクションを見せてくれるので、そのギャップを楽しんでいただけたらと思います。そして、マシンガン・オカルトトークも堪能してください!(笑)
星子さんは、前半に見どころが沢山あります。特にターボババアとの戦いには、注目していただきたいです。「モモに近づくクソ男はすべてぶっ倒す」という言葉通りに、モモに危害を加えるものには本当に容赦がなく、めちゃくちゃカッコイイです。
それから、モモとの日常会話のシーンも好きです!オカルンを気にかけているのも、モモにとって大切な人だから。オカルンに対しての言葉遣いがストレートで荒っぽいので、「この人はちょっとおかしいんじゃないか?」と言われてしまいますけど(笑)。そんなオカルンとの温度差も、楽しんでいただけると思います。
ーー個人的には、星子とターボババアのやり取りも好きでした。
水樹:そうですね。特にターボババアが招き猫になってからのやり取りはすごく好きです。色々なものを超越したふたりがけん制し合いつつ。相手の出方を楽しんでいるところに、大人の余裕を感じて。テストの段階から、真弓さんがアドリブをガンガン入れてくださるので、私もそれに乗っていきました。
ーー田中さんがターボババアのようなキャラクターを演じるのも珍しい気がします。
水樹:そうですね。だからこそ新鮮でした。最初はものすごく怖いターボババアですが、招き猫になってから可愛くて小憎たらしい感じが堪らないです。思わず「よしよし」して、連れて帰りたくなるというか(笑)。一方で、どこかスリリングで狂気的なところも感じられるので、そのバランスが素晴らしいなと。一緒に収録できて嬉しかったです。
ーーOP、ED主題歌もそれぞれカッコいい楽曲ですよね。
水樹:OP曲とED曲、どちらもすごく作品とマッチしていて、カッコ良かったです。キャッチーで印象的な楽曲になっていて、「流石だ……!」と思いました。
日常にちょっとした刺激を与えてくれる作品
ーー以前からオカルトに興味があったとお話されていましたが、その辺りのお話も少し伺えますか。
水樹:私が最初にオカルトに触れたのは、「ノストラダムスの大予言」です。TVや雑誌でもかなり取り上げられていたので、「本当に世界は終わってしまうのだろうか……」とすごく気になっていました。あと、身の回りにある都市伝説的なオカルトとして、「こっくりさん」が流行っていて。オカルトが好きな人も周りにいましたし、大人になってからもTVで都市伝説の特集が放送されているとつい観てしまいます(笑)。
それから今年ツアーで和歌山県に行った時、私の身体のメンテナンスをしてくださっている整体の先生が、「奈々さんの歌声に惹かれて、UFOが来たんですよ」と、緑色に光っている写真を見せてくれたんです。和歌山はUFOのメッカらしく、山に行くとたまに見えるとか。夢があって良いなと思いました。
ーー最後に、本作をご覧になっている方へのメッセージをお願いします。
水樹:心拍数が上がる要素がギュッと詰まった作品なので、「ちょっと刺激がほしい」という方には日常を彩るスパイスとして、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。オカルトや心霊に興味がない方でも、ラブコメ要素が主軸だったりするので、すっと入っていただける作品になっています。「あの妖怪がこんな風に動くんだ!?」という驚きがあるので、原作ファンの方にもぜひ観ていただきたいです。あらゆるジャンルが融合した作品なので、まずは触れてみてください!
[取材・文/永井和幸 撮影/藤本厚]
『ダンダダン』作品情報
あらすじ
モモがクラスのいじめっ子からオカルンを助けたことをきっかけに話すようになった2人だったが、「幽霊は信じているが宇宙人否定派」のモモと、「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルンで口論に。
互いに否定する宇宙人と幽霊を信じさせるため、モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ。
そこで2人は、理解を超越した圧倒的怪奇に出会う。
窮地の中で秘めた力を覚醒させるモモと、呪いの力を手にしたオカルンが、迫りくる怪奇に挑む!運命の恋も始まる!?
オカルティックバトル&青春物語、開幕!
キャスト
(C)龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会