主人公・晴明が「制服フェチ」になった理由とは……？　秋アニメ『妖怪学校の先生はじめました！』作者・田中まい先生インタビュー｜アニメ化で最初に出した要望は「晴明の“キモさ”をなくさないように」!?

ビビリで泣き虫な新米教師・安倍晴明（あべはるあき）の赴任先は、妖怪たちの妖怪たちによる妖怪たちだけの学校「百鬼学園」!?

クセ強人間教師・晴明と、個性が大渋滞の妖怪生徒たちによる学園コメディ作品『妖怪学校の先生はじめました！』（月刊「Gファンタジー」連載中）。

本作のTVアニメが2024年10月よりスタートしたことを記念し、作者の田中まい先生にインタビューを実施！

「妖怪学校」という舞台設定や、主人公・晴明が「制服フェチ」になった理由など、作品の誕生秘話を語ってもらったほか、アニメ化にあたり大切にした点、映像を見た感想なども伺いました。

『妖はじ』は自身初のコメディ作品。晴明が「制服フェチ」になった理由とは……？

――『妖怪学校の先生はじめました！』はどのように着想されたのでしょうか？

田中まい先生（以下、田中）：「妖怪もの」でコメディを描くことになったのは、連載が始まる前の（当時の）担当編集さんからの提案でした。それまでコメディ作品を描いていたわけではないんですが、過去に描いていたような会話劇は、コメディテイストだとハマるかもしれないと。また、「わかりやすい題材にしたほうがおもしろくできるのではないか」ということで、妖怪ものはどうかという提案をいただきました。そこから妖怪ものといえば日本の歴史……古事記や日本書紀などを参考にしてストーリーを構成していきました。

――元々、妖怪に詳しかったり、お好きだったんですか？

田中：当時は妖怪に関する知識はまったくなくて、晴明と同様に、まずは妖怪辞典を手にして調べるところからのスタートでした。

――妖怪の姿の発想はどこから生まれたのでしょうか？

田中：妖怪の姿は、既存の妖怪のイメージにとらわれないほうがいいのかなと思って、名前だけ見て、「どんなキャラになるかな」とイメージを描きました。そこから人間の姿を描きましたが、女性向け作品ということもあって、男の子はカッコよく、女の子は読者さんが好きになるようなキャラを意識して描くようにしました。

――あとやはり気になったのは、晴明の「制服フェチ」という設定ですが……

田中：（笑）。当時の私はド新人で、ネームバリューがまったくなかった状態からの連載スタートでしたし、掲載される月刊「Gファンタジー」は女性向けの美麗で素敵な連載作品が多いので、その中で普通の主人公にしてしまうと埋もれてしまうのではないかという危機感がありました。

そこでGファンタジーで許される、ギリギリのラインの性癖を主人公に取り入れようと。ブルマやスク水だとやりすぎな気がするし、かといってロリータだとちょっとアクが足りないかなと考えた末、落ち着いたのがセーラー服でした。

――晴明役の逢坂良太さんは「晴明は、自分が着るわけでもなく、JKに興味があるわけでもなく、あくまでもセーラー服が好きなだけ」とおっしゃっていました。

田中：でもヘンタイには違いないというか、大いにヘンタイですよね（笑）。セーラー服のためなら何でもしてしまうヤバい人なので。

――良い見方をすれば、「ひとつのことを真剣に追究している人」とも言えますよね。

田中：そう言われればそうなのかなと思います（笑）。ただ好きなことに夢中になっているだけで、決して犯罪はおかしていませんから（笑）。

――また、逢坂さんがコメディ的なノリや絵柄を含めて、懐かしさがある作品とおっしゃっていましたがそのあたりは意識されましたか？

田中：そこはあまり意識していなくて、完全に自分のノリで描いています（笑）。このワーギャーいうテンションの高さが少し懐かしいノリなのかもしれませんね。私が90年代アニメに影響を受けていたのも大きいのかなと思います。

――私は、昔の少年誌の王道なコメディ作品を見ている感覚になりました。

田中：『妖はじ』を描くまでは、まじめな少年マンガばかり描いていたので、その頃の少年マンガっぽさがありつつ、そこにギャグを足したことで、少年マンガのコメディっぽい作品になったのかなと思います。

アニメ化で先生が最初に出した要望は「晴明の“キモさ”をなくさないように」!?

――2014年12月から連載がスタートしましたが、アニメ化のお話は、いつ頃来たのですか？

田中：2年前の6月くらいでした。もちろんアニメ化には憧れがあって、「アニメ化が決まりました！」「やった～！」と思ったら夢だった、ということが過去に何度もありました（笑）。

なので、実際にアニメ化のお話をいただいたときも「また夢か」と思ったら、なかなか夢から覚めず。「これが現実だ」ということに気付くまでちょっと時間がかかりました（笑）。

――アニメの制作サイドと打ち合わせをしたときは実感も湧いたのでは？

田中：スクエニ（Gファンタジーの版元のスクウェア・エニックス）で打ち合わせがあったときに、「本当にアニメになるんだ！」と実感して、汗が止まらなかったです。

――制作サイドにオーダーされたことはありますか？

田中：まず晴明の性癖が、セーラー服好きから制服好きに変わることは最初の時点で聞かされていました。それによって晴明のヘンタイ要素が薄まってしまうと、「ただのヘタレないい人になってしまうのでは？」という懸念があったので、「晴明のキモさやキショさはなくさないようにしてください」という要望を一番最初に出しました。プロデューサーの方も「そこが彼の魅力ですから」とすぐに理解してくださったので、安心してお任せできました。

――だからアニメで見ているほうが引くほど晴明の制服フェチ全開だったんですね。

田中：（いい意味で）ひどかったですね（笑）。そこは最初の顔合わせで決まりました。

あと原作の1話が短い分、アニメの2話、3話とつなげることになるので、オリジナルの部分も必要になるわけです。そこでキャラの解釈違いを起こさないように注視しました。

――アニメの制作が始まると、チェックのためにキャラの設定や脚本などが届いたと思いますが、ご覧になった感想はいかがでしたか？

田中：さすがプロだなと思いました。特にシナリオ部分では、脚本とシリーズ構成を担当される赤尾（でこ）さんが持参された原作コミックにびっしり付せんが貼られていて、「ココとココをつなげるには、ココから持ってくるんだ」みたいな。とても驚きました。