マンガ・ラノベ
【祝9周年】心に刻まれる“美しい『魔道祖師』の世界”を辿る

【今日で9周年!】魏無羨と藍忘機の運命的な出会いと再会、交差していく想い──心に刻まれる “美しい『魔道祖師』の世界” を辿る

圧巻の映像美で『魔道祖師』の世界観を繊細に描く

 

妖艶な夷陵老祖と麗しい含光君の初登場シーンが圧巻で、映像美に加えて古典楽器を用いた音楽も秀麗。こんなに凄いアニメがあったんだと『魔道祖師』の世界観に魅了されていきました。アニメでは魏無羨を木村良平さん(中国語版は阿傑さん)、藍忘機を立花慎之介さん(中国語版は辺江さん)が演じています。

魏無羨と藍忘機の深い絆が描かれており、ひとときも離れがたいかのように現世では藍忘機が魏無羨のそばにいることが多いのもアニメの特徴のひとつ。関係性の変化が明瞭で、魏無羨を愛おしそうに見つめる藍忘機のその眼差し、二人の距離感の近さも印象的です。

藍忘機が魏無羨の前で跪いて思いを伝える場面や、乱葬崗で決死の覚悟を決めた二人の衣が血の色で染まりゆく演出もお見事。一連の事件の解決後に、魏無羨は13年前にやり残したことの決着を藍忘機と二人でつけており、尽くしてくれていた藍忘機の想いにも向き合っています。

 

 

『完結編』は原作を読み終えた後に視聴したので、最終話ラストシーンの小川のほとりに建つ家にどこか既視感がありました。

“うちに帰ろう”と言う藍忘機。

“うち”とは雲深不知処なのか、隠居生活を送るための二人の家なのか。個人的にはいずれ半隠居のような形で共に生きていくのかななんて思い描いています。

思えば、皆それぞれ帰るべき場所へ帰っていった最終話でもありました。最終話は中国語版のタイトルが「帰隠」ですが、日本語版タイトルの「忘羨」も良いですね。

原作の魏無羨と藍忘機の関係性がアニメにも受け継がれていて、大胆な演出もあれば繊細な比喩表現もあり。あらゆる手法で『魔道祖師』の世界観を魅せてくれる、渾身の作品であると感じます。最後に素敵な言葉を残してくれました。

“一曲天地遠 山水總相逢”

(天地に曲響けば いつか山水は出会う)

最終話のエンディングは笛と琴の合奏「忘羨」。モノクロから色づいていく、彼らが積み重ねた時間と軌跡に涙が止まりません。

 

 

名曲と併せて心に刻まれる『陳情令』の美しいシーン

 

目を奪われる魏無羨と藍忘機の圧倒的な“美”、視線や表情で語る秘めた“想い”。ブロマンス作品ですが愛は確かに存在し、魏無羨と藍忘機の絆の強さ、慎ましい関係に惹き込まれました。

魏無羨を肖戦(シャオ・ジャン)さん、藍忘機を王一博(ワン・イーボー)さんが演じ、魏無羨の声は木村良平さん(中国語版は路知行さん)、藍忘機は立花慎之介さん(中国語版は辺江さん)が演じています。

全編を通して音楽も素晴らしく「无羁/忘羨」「酔夢」「人生若只如初見」「夜奔」など名曲揃い。美しい音楽も心に響く、数々の名シーンが生み出されました。

雲深不知処の座学で天灯を掲げるのは『陳情令』ならではの名シーン。“一生 心に恥じることなく正義を貫けるように”と共に託した願いは、魏無羨と藍忘機の心にずっとあり続けています。

雨の窮奇道では、虐げられていた温氏の生き残りを引き連れ逃げることを決断した魏無羨は、道をふさぐ藍忘機に“あの時の誓いを忘れたのか?”と涙ながらに訴えていました。

誰が正義で誰が邪道か、何が正しくて何が過ちなのか。この時の藍忘機は答えを出せず魏無羨を止めることも共に行くこともできなくて、二人は別々の道へと進むことに。

 

 

そして時を経て現世。あの時共に誓った通り、魏無羨の前には己の信念を貫く藍忘機の姿がありました。

“険しく暗い道を進むのも悪くはない”

アニメでもそうですが、直接的な言葉ではなくとも、藍忘機の短い言葉の中には魏無羨への揺るぎない想いが詰まっています。

それは道を外したとみなされると、かつて窮奇道で藍忘機がした忠告を魏無羨が同じように返しますが、過去を悔やんできた藍忘機に一筋の迷いもありません。誰を敵にまわしても魏無羨と共に戦う道を選んでいます。

天灯に託した誓いは雪見酒のシーンやラストシーンにまで繋がっていて、『陳情令』は特に、共に正義を貫く信念に重きを置いていると感じます。

“誰に誹謗されようとも 心に恥じなければいい”という魏無羨。たった一人でも信じてそばに居てくれる人がいるのもまた救い。雪見酒のシーンはもう何度観たか分かりませんが、言葉ひとつひとつに心が震えます。

“藍湛 お前に捧げる”

“人生で1人の知己を得れば満足だ”

二人の曲でもある「无羁/忘羨」が流れて意味を持たせるのも至高の演出。曲と併せて大切なシーンが記憶に刻まれていくのもまた至福です。

“天涯 共に奏でる二人の琴笛”

 

『魔道祖師』日本語版ラジオドラマ第三期後編の配信がスタート

『魔道祖師』に魅了された私は、墨香先生の小説『天官賜福』と『人渣反派自救系統』の繁体字版書籍も購入しました。中華BLの沼に入った多くの方が体験していることだと思いますが、読みたい思いが抑えきれず、読めない中国語を翻訳するように。

自分の中にここまでの情熱があったのかと思い知らされましたが、墨香先生の作品には人の心を突き動かす力があるのです。魏無羨や藍忘機の生き様は勇気を与えてくれて、落ち込んだときの救いにもなっています。

そして、ついに日本語版ラジオドラマの第三期後編の配信が2024年10月31日より始まります! 魏無羨役は鈴木達央さん、藍忘機役は日野 聡さん。

第三期後編のボリュームたっぷりの予告はもう聴かれましたか? 物語はいよいよ終盤へ。ラジオドラマは原作にかなり忠実なので楽しみでなりません。終わりが近づく寂しさもありますが、思う存分『魔道祖師』の美しい世界に浸りましょう。

MiMi | 墨香銅臭原作| 大河幻想ラジオドラマ「魔道祖師」第三期(下) 予告

 

 

数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスを愛し、大好きな作品はたくさんありますが『チェリまほ』が心のよりどころです。そして『魔道祖師』をはじめ中華BLの沼へ。趣味は国内外のBL漫画や小説を読むこと&ドラマ観賞で、これまでに執筆した記事は『チェリまほ』『美しい彼』『魔道祖師』『陳情令』『ENNEAD』など。

この記事をかいた人

藤崎萌恵
数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスが癒し。主な記事は『チェリまほ』『陳情令』等。

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