音楽
スフィア 15周年記念シングル制作秘話|声優4人の個性が光る軌跡と挑戦の裏側

ファンと共に歩んだ15年、スフィアが繋いだ「Shining days, shining stars!」の物語|15周年記念シングル インタビュー

スフィアの15周年記念シングル「Shining days, shining stars!」が11月27日にリリースされる。スフィアサウンドを築き上げてきたクリエイター陣が集結。安心感もありつつ、スフィアらしい、楽しいことをやろうぜ!という想いや挑戦も感じられる渾身のシングル。そんな久しぶりのシングルについて、寿美菜子さん、高垣彩陽さん、戸松遥さん、豊崎愛生さんの4人にたっぷり語ってもらった。

 

 

〈変わらない為に変わる〉過去、今、未来を感じる1曲

──まず、15周年と聞いて、どんなことを思いましたか?

戸松 遥さん(以下、戸松):10周年の時に色々やらせていただいたのがつい最近の事に感じていたのですが、もう15年か、と感じるくらい時間が過ぎるのが早くて、20周年もすぐに来るんじゃないかなと思っています(笑)。ありがたいことに、スフィアでのお仕事も増えたんですが、現場で声優さんとすれ違うときに、「スフィアだー!」って言っていただけると嬉しくなりますね。

寿美菜子さん(以下、寿):確かに10周年から15周年はすごく早かった気がします。充電期間もありましたけど、10周年で、スフィアってどんな音楽を作りたいんだろうというところとちゃんと向き合えて、そこから私はイギリスへ行ったり、母になるメンバーがいたり、みんなのフェーズが変わっての15周年だから、4人の人生の彩りがまた大きく変化したなという感じが強かったです。きっとファンの方も、同じように大きく動いた5年だったと思うんです。

でも、トータルで考えたら15年って長いですよね。私は人生の半分くらいがスフィアなので、人生としてスフィアは常に一緒に歩いているんですよね。そのくらい長い期間、みんなと過ごせていることが、とにかくありがたいです。

高垣彩陽さん(以下、高垣):2025年の2月にライブをするんですけど、スフィアでワンマンライブをするのは、全曲ライブ(『LAWSON presents Sphere 10th anniversary Live 2020 “スフィアだよ!全曲集合!!”』)ぶりなんです。それが、2020年の2月開催で、ついこのあいだのことだと思っていたら5年経っていたという驚きがありました(笑)。

でもこの5年が早く感じたのは、コロナ禍があって、エンターテイメントの在り方が問われたり、変わらざるを得ないこともあったからなんですよね。みんなが必死に模索してきた中で、スフィアとしてもYouTubeチャンネルを開設したり、美菜子がイギリスでレコーディングをして、4人の声を合わせた「スクランブルデイズ」をリリースしたり、5年の中でも、4人で何ができるのかを考えて、形にしてきたものがあったので、それを考える時間でもあったのかなと思っています。この5年間で、4人でファンの皆さんに会えることの喜びは増していると感じました。

 

 
豊崎愛生さん(以下、豊崎):15周年という数字を見ると歴史を感じるし、長くやってきたと思うんですけど、個人的な実感としては、あっという間の感覚のほうが強いです。私、毎週ラジオをやらせてもらっているんですけど、リスナーの子から、最初に行ったライブがスフィアで、そのとき中学生だったけど今年で30歳になりました、というメールをもらうことがあって、お客さんも一緒に時間を過ごしているというのをそういう時に実感します。4人でいると、出会った頃と本当にテンションが変わらなくて、ずっと仲良しだし、きゃっきゃしてて話が止まらないから、錯覚するんですよね(笑)。

──配信番組を観たとき、4人の雰囲気があまりに変わっていなくて、衝撃だったんです(笑)。

豊崎:変わらないところでいうと、「楽しい」がまず最初にくるのがスフィアの良いところなんですよ(笑)。本人たちが楽しんでいるというのをずっとやれているのは、お客さんが見守ってくれているからに尽きるんです。だから本当に15周年に感謝! 一緒に時間を重ねてくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。

──変わらないから、長く一緒にやれているのですか?

寿:rinoさんが書いてくださった歌詞に、〈変わらない為に変わる〉(3rdアルバム「Third Planet」収録曲「Planet Freedom」)というのがあって、それが4人の中でもキーワードになっていて、自然とモットーになっているんです。新たなこともしたいから変わる部分もあるし、大事にしたい部分は変わらないなっていうのはあると思います。

 

 
豊崎:変わらないなと思われるために、変えていかなきゃいけないところを、4人でいつも精査するんですよ。今の気分で新しいことに挑戦したいとかもあって、今回だったらビジュアルワークが、今までやったことがない4人の横顔ジャケットで、尖っているとか(笑)。そういう挑戦が散りばめられているけど、お客さんが安心して帰ってこられる場所という、ぶっ飛びすぎないバランスというのは、この15年間、みんなで話し続けていることです。

──そう考えると、〈変わらない為に変わる〉は名言過ぎますね。

豊崎:私の大好きなパティシエのおじさんたちもみんな言ってます(笑)。変わらないと思ってもらえるために、改良を続けなきゃいけないんだって。

戸松:創業何十年の町中華の大将が、「実はちょっとずつ変えてるんだよね。お客さんは変わらないねって言うんだけど」と番組の中で言ってるのを見た事があって、それにも似てるのかな?(笑)。

──スフィアは町中華だったんだ(笑)。

豊崎:でもやっぱり、お客さんも変わっていくから、そこにスフィアがどうストライクゾーンに広くハマっていけるかは、すごく考えるんです。そのために努力とか工夫は、自然と繰り返してきたかなぁ。

寿:現状維持に意外と満足しないスフィアは、欲張りなところがあるんです。ジャケットでは新しいことをしたいけど、楽曲は、1stアルバム『A.T.M.O.S.P.H.E.R.E』やデビュー5周年アニバーサリーシングルの『Eternal Tours』を彷彿とする感じで作っていきたいという話を打ち合わせで話していたりするので、そっちも取りたいしっていう。

──その、15周年記念シングルとなる「Shining days, shining stars!」の制作は、どのようにスタートしたのですか? 

高垣:まず、記念シングルをリリースさせてもらいたいですという話を自分たちからお願いして、バンダイナムコミュージックライブさんも動いてくださったんです。畑亜貴さんと黒須克彦さんに作詞と作編曲をお願いしたのはバンダイナムコミュージックライブさんからの提案で、これまでも大事な曲を2人のタッグで作っていただいていたので、私たちとしても15周年曲をお二人にお願いできてよかったです。

その後、お二人とスフィアも含めた打ち合わせがあって、そこで15年に対する思いは話させていただいたので、スフィアはまだまだ動き続けているんだな、新しいことにチャレンジしたいんだなっていうことを畑さんも受け取って、この歌詞を書いてくださったのだと思います。

寿:「スクランブルデイズ」ぶりの新曲で、久しぶりということもあるので、打ち合わせで一緒に話し合えた時間から幸せでした! これまで周年曲を作ってきて、15周年ではどういう方向で作っていくのかを話し合いました。

それこそ過去を振り返って、こういう時間もあったねという曲にするのか、未来を見ていくのか、今歌いたい曲を歌うのか。可能性がいっぱいあった分、みんなで悩み話し合いました。私自身は、スフィアは惑星のイメージだから、スフィアの輪が広がり、ファンのみんなとの輪も繋がっていく。そういうスフィアの天体感は、久しぶりに言葉としても入れられたら嬉しいです、という話をしたのを覚えています。

高垣:まさに先程の〈変わらない為に変わる〉という話もさせていただきました。そういうことにも4人は前向きであることを話していき、畑さんもそれを汲んで歌詞を書いてくださったので、歌詞が届いたとき、我々が言っていたことを、〈夢の仕様変更 まかせなさい〉とか〈進化〉という歌詞に込めてくれたのかなと思います。だから、15周年から先の決意表明の曲になったと思いました。でも堅い曲ではなく、楽しいというのが前提にあるんです。

──15年経って、〈もっと爆発したい!〉というのも、なかなかないですよね(笑)。

(一同笑)

高垣:そこは結構衝撃的で、私たちも驚きました。

豊崎:「GO AHEAD!!」の〈やる気爆発〉以来の爆発?(笑)。

 

 

──戸松さんと豊崎さんは、打ち合わせはどうでしたか?

戸松:歌詞の方向性を話し合う場ではあったんですけど、お堅く、「歌詞、どうしますか?」って感じではなく、雑談も交えつつ、「我々、今こんな感じですよー!」みたいな感じだったんです。なんならスフィアでシングル曲を出すときに、こんなに打ち合わせをしたことはなくて、それこそ畑さんとも、1曲についてあんなに濃密な話をしたのは初めてでした。今、個々で思っていることや、これからどうなっていきたいのか、そういうことを明るい雰囲気の空間で話せたのは良かったです。私たちが自由に話す姿を、なるほどと相槌を打ちながら真剣に聞いてくださる畑さんがどう考えてらっしゃるのか気になりましたし、本当に感謝しています。。

──その答えが、歌詞なんですね。

戸松:上がってきた歌詞を見たときは、これが今のスフィアか!と思えて嬉しかったです。〈爆発〉みたいな力強い言葉もあるし、でも幼すぎない、デビューしたてのスフィアとも違う、今のスフィアが詰まっていて、これが15周年のスフィアなんだなと感じました。

豊崎:本当にとっても楽しい時間でしたし、畑さんと黒須さんとゆっくりお会いできたのは、私も嬉しかったです。それも含めて15周年の曲ってご褒美なんですよね。4人でまた新しいものが作れる、みんなと一緒にいろんなことができるご褒美タイムのような気がしていました。

個人的には、大人になればなるほど楽しいんですよっていう話をしていて。15周年という数字が我々に味方してくれて、長く今までやってきているからこそ、今まで言えなかったわがままを言ってみたり、自分たちはこういう経験値があるから、次はこういうことをやってみたいと言えるようになってきたんですよね。

で、4人それぞれが点でそういう話をしていたのを、畑さんが線にしてくれたんです。私たちの今のテンション感とか雰囲気を閉じ込めてくれた歌詞だったし、どこを取っても、個人らしさもあるし4人らしさがある。ちょっと無鉄砲でやんちゃなところもあるし、〈一緒に 冒険軌道飛んだ日々〉という歴史を感じる言葉があって、今までを知っている方からしたら、エモく響くようなところも入れてくれている。さすが畑さんだなぁと思いました。

高垣:全員、歌詞が届いたときにドキッとしたのが〈挑戦跋扈ちょうせんばっこ〉だったよね。

寿:そこは私たちもどう捉えていいのかがわからず、畑さんに確認をしたんです。

高垣:跋扈って、悪人が暴れまわるとか、わがままに振る舞うとか、そういう言葉として使われる単語なんです。

寿:どちらかというとネガティブな使われ方をする言葉ではあるんですけど、「それをスフィアが歌うことでポジティブな意味に変えられる。つまり私たちスフィアのパワーなら何でも楽しくなれる! 前向きな意味に変えられる!という表明として、使えると思いました」と畑さんがお返事をくださったんです。スフィアって、畑さんからはそう見えているんだなと思いました。

豊崎:まぁ。悪ガキなのかもしれないね(笑)。

寿:それはそれで嬉しかったよね(笑)。

高垣:跋扈という文字を歌詞に使うのは、畑さんとしても、スフィアの歌詞では挑戦だと言ってくださっていたんです。だからさっき愛生が言ってくれたように、15周年だからっていうのを振りかざして、我々は言いたいことを言っていたんです(笑)。

豊崎:今は「アクスタを作りたい!」って言ってます。

戸松:事務所で唯一実写アクスタがない4人なんで(笑)。

高垣:15周年じゃなくても、それぞれでわがままは言ってきましたけど、跋扈という言葉をポジティブに使おうと言ってくださったとき、私たち結構暴れてきたな、みたいな自覚もあって(笑)。我々だからこその四字熟語を当てていただいたのは、嬉しかったです。畑さんから見た私たちと、私たちの気持ちがこの言葉に表れているんだなと感じました。

 

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