『ビバハピ』『Booo!』『きゅうくらりん』に見る、アイドルの真髄――みのり・遥・愛莉・雫が織りなすカバー楽曲の原曲を、あなたは何曲知っている?『プロセカ』から知るVOCALOID楽曲〜ボカロ玄人への道〜【第2回「MORE MORE JUMP!」編】
『ミルククラウン・オン・ソーネチカ』
作詞:ユジー
作曲:ユジー
軽やかで、重くて、端から見たら壮大で、それでもちっちゃな戴冠式を描いた『ミルククラウン・オン・ソーネチカ』。ユジー氏4作目の楽曲であり、2014年6月に「殿堂入り」(※ニコニコ動画において10万回再生に達した楽曲に付けられるタグ)を達成しました。
難解なメロディと詰め込まれた歌詞を軽やかに歌うのは、花里みのりと日野森雫、そして「MORE MORE JUMP!のセカイ」のミク。綺麗で、透明で、儚い歌声に引き込まれます。
カバー版の魅力のひとつは、キャラクターと歌詞との親和性。簡単ではない過去を持つ雫が放つ〈膝を折って耐えていたって助けてもくれなかった!〉に、思わず涙が……。
原曲ではVOCALOIDならではの完璧な音程、完璧なリズムにメロディ、歌詞が載っており、深堀って考えたくなる魅力が滲んでいます。
ミルククラウン・オン・ソーネチカ / MORE MORE JUMP! × 初音ミク
【MV】ミルククラウン・オン・ソーネチカ/初音ミク
『少女レイ』
作詞:みきとP
作曲:みきとP
コンピレーション・アルバム『EXIT TUNES PRESENTS Vocaloseasons feat. 初音ミク~Summer~』収録楽曲『少女レイ』。みきとP氏により生み出された本楽曲は、2020年12月にニコニコ動画にてミリオン再生を達成しました。
みきとP氏は『いーあるふぁんくらぶ』『サリシノハラ』『ロキ』『39みゅーじっく!』などでも知られる、大人気ボカロPです。
スティールパンによって夏を感じさせる、爽やかな印象の『少女レイ』。しかし一転して歌詞は不穏です。みきとP氏はこの曲のモデルとして、野島伸司氏が脚本を務めた『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』を挙げています。
カバー版を担当するのは桐谷遥・日野森雫・そしてミクの3人。「透明」としか形容できない彼女たちの声から覗く寂しさ、哀しさ、後悔、畏怖……様々な気持ちを感じることができます。
初音ミクが歌唱を担当する原曲では、MVが展開されています。中央に描かれている二人の少女。左側の少女にはあって、右側の少女にはないものとは……。
少女レイ / MORE MORE JUMP! × 初音ミク
みきとP 『 少女レイ 』 MV
『きゅうくらりん』
作詞・作曲:いよわ
人工歌唱ソフトウェア・可不と、いよわ氏が手を組んだ楽曲『きゅうくらりん』。2022年2月にはニコニコ動画にてミリオン再生に達し、同年6月にはYouTubeにて1000万回再生を記録した特大ヒット楽曲です。
「胃が弱いからいよわです」と自身の名前を解説するいよわ氏は、数多くのボカロ曲を手掛けているほか、しぐれういさんの『勝手に生きましょ』の作詞・作曲を担当しています。
メロディ、裏の伴奏に加えて、様々な音が効果音として組み込まれている『きゅうくらりん』。そのおかげで、視聴中には夢の中にいるような浮遊感を感じます。
「きゅうくらりん」「ぎゅうぐらりん」「ちゅうぶらりん」と変化していくサビのシメと、時折不安定さを生む変拍子、テクニカルな音運びはダークな雰囲気を持っているものの、歌声はカバー版・原曲ともに可愛らしい一曲。
カバー版と原曲をあわせて、ふわふわした「いよわ」の世界に浸ってみることをオススメします。