「自分の演じるキャラをおもしろく見せよう」という熱意を全員から感じた――『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』川井モナ役・芹澤優さんインタビュー|皆さんは「心頭滅却」することなく、モナのかわいさに遠慮なくオチてほしい
モナは「かわいい一本ではない」キャラクター。関西弁の細かなニュアンスにもこだわって収録
──演じるモナの印象と、ご自身と似ている点、魅力を感じる点などをお聞かせください。
芹澤:まずキャストが発表されたときに「モナちゃんと(私が)似ている」という声をたくさんいただきました。モナちゃんが自分大好きなように、私も「Seriko is No.1」「あいらぶゆーちゃん」とかよく言っているし、これまでも心の底からそう思って活動してきたので。原作を読んだときも「この子、私と似ている!」と思ったし、演じていても共感できるポイントが多かったです。
──モナにちょっとあざとさを感じませんか?
芹澤:計算高いという意味では「あざとい」ですね。歩いているときにすれ違う人たちがみんな振り返るんですけど、彼女はその視線を自覚していて。地面にできた水たまりをよけるときもぴょんと跳ねて、「なびいている私の髪、かわいい!」と思っている人なので。
私は「あざとい」という言葉が好きなんです。(あざとい人は)自分のかわいさを理解して、それを最大限に表現してくれるので、見ている側からすれば「ありがとう!」という感じで。周りの人に幸せと明るい気持ちを与えてくれるので、「あざとさは世界を救う」と思っています。
──芹澤さんもあざといんですか?
芹澤:どうなんでしょうか? ソロやi☆Risのメンバーでアイドルとして活動しているときは「あざとスタイル」でやらせてもらっています(笑)。
でも日常生活の中では「あざとさ」を出してもファンが増えるわけでもないので……というのは冗談ですが(笑)。四六時中、無敵にあざといわけではありません。
──演じるときに意識された点と、ディレクションで印象的だったものがあれば教えてください。
芹澤:「かわいい一本ではない」ということを意識していました。アニメを見る前に原作を読めばわかっていただけますが、第1話だけとか、断片的にしか見ていない人に「ナルシストだ」と思われて、マイナスなイメージになってしまうのはもったいないなと。
実は見た目のかわいさ以上に、内面が魅力的な子なので、そこを大切に演じていきたくて。最初に「関西弁を荒っぽく、キツめにしたらおもしろく感じてもらえるかも」と思ってやってみたら、「関西弁をいかつくしすぎないで」と言われました。外側からどう見えるのかは演じる側からはわからないし、「アホ~!」とかのセリフもあったので、そこは(奥村よしあき)監督や(小沼則義)音響監督などが上手にバランスをとってくれることで、ちょうどいい部分に収まるんじゃないかなと思いました。
──先ほどもお話にありましたが、モノローグが多いので、収録は大変だったのでは?
芹澤:大変でした(笑)。第1話の前半は特にモナちゃんがいっぱいしゃべっていたので、台本のチェックもひと苦労で。収録の1週間前に台本をもらって、じっくりと毎日確認しましたし、どの作品よりもチェックや練習をしたと思います。
──大変そうにしている芹澤さんを他のキャストさんは温かく見守る感じで?
芹澤:皆さん、めちゃめちゃ温かかったです。メダカ役の岩崎(諒太)さんが大阪出身ということで、関西弁の細かい部分のディレクションをしてくれました。ニュアンスが違うようでなかなかOKが出なくて、私が皆さんをお待たせして申し訳ない気持ちになっていたときも、周りの皆さんは(OKが出ることを)祈ってくださって。3~4回目でOKが出たときは「よっしゃー!」と全員で喜んでくれて。特に東京出身の方は「今のよくわかったね。すごいね」とほめてくださって。小早川翔役の山下(大輝)さんは「台本見せてよ。どうしたらこんなにできるの?」と、私が焦らないでできるように、私の関西弁を応援してくれたので、ずっといい雰囲気でやれました。
──メダカの印象と、演じる岩崎さんのお芝居の感想をお聞かせください。
芹澤:メダカの印象は、原作を読んでいたときはそんなに好きなタイプではなく、普通でした(笑)。しかめっ面も多いし、「こんなにアプローチをしても気付かないなんてあるの!?」と思っていました。
でもアニメになり、岩崎さんの声とお芝居が入ったら大好きになりました。まだ大人ではないけど、子供でもない、思春期の男の子っぽさに、岩崎さんの重低音の声が絶妙に合っているし、そして素敵に表現されていて。
特に好きだなと思ったのが、第1話で保健室のベッドでメダカに迫っていたモナがベッドから落ちそうになったときに受け止めてくれて、そのあと保健室を出るときに「そういうのは好きな男だけに見せるもんだよ」というシーンです。そのセリフが素敵すぎて、テストで初めて聴いたときも「めっちゃいいやん!」と思ったほど最高でしたし、モナがメダカを好きになったことにも納得できました。