冬アニメ『マジック・メイカー』潘めぐみさん(シオン役)×古賀一臣さん(監督)インタビュー|魔法はこの作品のもうひとりの主人公!
収録現場には“青い服”で臨むドレスコードが存在!?
──収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
潘:出演声優陣に“青”を司る方がふたりいるのですが、その内のひとりである雨宮天ちゃんがツアーライブのグッズで上下セットアップの青いジャージを作っていたんです。背中に“青”と書いてあって、お尻には“い”と書いてある、ふたつあわせると“青い”になるちょっと小ネタの効いたアイテムだったのですが、それを監督が現場に着てこられたんです。
それで良いグッズだねと話していたら、天ちゃんが「本人が着ないのはあれなのでは?」と思ったのか次の週からそのジャージで収録に参加するようになりまして。そこから青い服を着るのがアニメ『マジック・メイカー』の現場のテーマみたいになっていき、その翌週からなぜかみんな青い服を着て収録に来るようになりました。
監督のおかげで生まれたドレスコードでしたが、初夏に青い服で収録に臨むちょっと涼やかな感じでしたね。ゲストとして来られた方が、「何でみんな青いんだろう?」「仕事の連絡に青い服で来るようにって書いてほしい」と、戸惑うこともあったみたいです(笑)。
一同:(笑)。
潘:豊口めぐみさんや宮本充さんまで青い服で来てくれたので、「先輩方がやってくれるなら私たちもやるしかない!」って喜んで着ていました。そうしたら私たちだけでなく音響監督の髙桑一さんまで青い服で来てくださって、3話目にして集合写真を撮りました。昔、ハロウィンに仮装でアフレコしたみたいな伝説を聞いたことはあるのですが、そんな現場は中々ないんです。めちゃくちゃアットホームな座組でした。
この作品は朝の現場だったのですが、なぜかその日の仕事が終わってまた夜に集まって飲み会をするみたいなこともありました。新型コロナを経たご時世だとこういった風習はなくなりつつあって寂しいなと思っていたのですが、またやれて嬉しかったです。
古賀:和気藹々としてましたよね。収録もみなさん息があっていたのでサクサク進みましたし、問題もまったくなかったので良かったなと。
潘:ゲストとして来てくださった方だけでなく、この後ラスボスとして控えている先輩も楽しんで帰ってくださったのは嬉しかったですね。ゲストとして来てくださる方が楽しんで帰ってくれる現場は作りたくても作れるものではないから、やっぱり座組の空気感が良かったんだろうなと。みなさん思いやり深い素敵な方たちばかりでした。
古賀:中でも潘さんが中心になって支えてくれているなって思っていましたよ。
潘:それはまわりのみんなが絆されてくれたからなんです。シオンには人たらしな一面があって、公式のキャラクター紹介には「引っ込み思案」と書いてあったりもするのですが、マリーという天真爛漫な存在が側にいるからか、自分からコミュニケーションを取っていくようになります。私自身もコミュニケーションを取るようにする人間なのですが、そんなシオンのような役回りを自分でもやれたらなと感じる部分もあったので、それも含めてご縁だなと思っています。
──ここから先の物語ではさらに色々な登場人物が増えていくかと思います。おふたりが気に入っているキャラクターもお教えください。
潘:この作品はキャラクターと演じるキャストさんとにシンパシーを感じるので、キャスティングの妙を感じていました。悪党らしい悪党もいることはいるのですが、基本はみんな良い人なんです。だからあえてひとりを選ぶのは難しいのですが、今ふと浮かんだのはシオンのお父さんのガウェインですね。
今後シオンはガウェインとぶつかる瞬間があるのですが、その理由は家族のため。だからこそ、その時の掛け合った景色が印象に残りました。とはいえ、もし明日同じ質問をされたらマリーやエマも挙がるような気がしています。
古賀:僕はシオンですね。やっぱり彼を中心に物語が動きますし、前世があることを忘れさせるんですよね。ともすれば利発な子供で、一生懸命に頑張っているなっていう印象を抱かせるくらい前向きじゃないですか。そういうところが応援したいなって思わせてくれるし、出番がみんなそれぞれ分かれるところで彼だけは最初から最後まで登場します。そういう意味でもこの作品はシオンの物語だなって思います。なぜか子の成長を見守る親のような視点になってしまいましたが……(笑)。
──これからシオンはどんな魔法を作っていくのかワクワクしますし、応援したくなるんですよね。
潘:この物語がどこまでいくのか楽しみになりますよね。
古賀:本当に続いて欲しいと思います。それこそ子供向けみたいに1年やってほしい。
潘:同い年くらいの子がちょっと憧れてとか、シオンの背中を見て・・・じゃないですけど、何か家族を大事にするきっかけになったりとか、そういう希望になれたら凄く嬉しいです。
古賀:子供が今小学4年生なのですが見せたいなと思ったくらいです。普段はまだ早いなっていうタイトルが多いんですが、この作品は子供に見せたいと思ったし、お前もシオンみたいに頑張れと言いたくなる。ぜひ一緒に見ようかなと思っています。
──今のお話を伺ってガウェインとシオンとの関係を少し思い出しました。
潘:いいお父さんですから……。
古賀:ガウェインはグラストとの関係もまたいいんですよ。
潘:いい兄貴分ですよね。演じられている赤坂柾之さんも誰一人置いていかない感じで兄貴分な感じがありますし、やっぱりこの作品はキャスト陣の良いところがそのまま役に乗っかっている感じがします。とても良いキャスティングだったし、そのおかげで本当に良い作品になったと思っています。
──そんな良い座組が揃うなんて狙ってできることではないですよね。
古賀:本当に奇跡です。そういう意味でもとても良い作品になったので、ぜひご覧になっていただければと!
潘:『マジック・メイカー』で連絡を取り合うグループLINEがあるのですが、先輩方も参加してくれて一緒に「良い現場だったね」「ありがとう」と伝え合っていました。公式のコメントで宮本さんが「大好きな作品です」と語ってくださったのも本当に嬉しくて、先輩方にそう言っていただける現場って貴重だなと思っています。
古賀:キャスト陣の年齢層に幅がありますし、一緒に掛け合いを録れたのは貴重でした。若い子は勉強になったと思うし、先輩たちも刺激を受けていたんじゃないかと。本当に良い現場でした。
──ありがとうございます。最後に放送を楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。
潘:私自身もあるのですが、もし生まれ変われたら、もし魔法が使えたらと想像したことがみなさんもあると思います。この作品でシオンが作りだし生み出していくものは、舞台が異世界であっても私たちの世界とも通ずる大切なものなんです。もちろん彼が作りだす魔法も凄く夢があってカッコいいから子供たちも憧れてくれたりするのかなと思いますが、その大切なものこそが最大の魔法なんじゃないかって思います。
自分のやったことを信じたり想いを貫いていくなんてきっと簡単なことじゃないけれど、それでもこの世界で魔法が成り立っていくのは、信じる心をもったシオンが真っ直ぐに突き進んでいるから。
みなさんも色々な夢や目標を抱えていると思います。この作品の魔法でその手助けになる、何かちょっとでも火を灯すようなことができたらと思っています。引き続き来年からスタートするアニメを原作もあわせて楽しんでいただければ嬉しいです。小さなお友達から大きなお友達まで、よろしくお願いします!
古賀:ひたむきな努力や愛情を与えること、与えられることの素晴らしさが伝わってくる作品になったと自信を持っています。これからシオンは転機が訪れたり、現実とのギャップにぶつかっていくのですが、それでも諦めずに頑張っていく姿から元気をもらってくれたら嬉しいです。ぜひ1月からのオンエアで同じように感じていただければ幸いです。
[文・胃の上心臓]
作品概要
あらすじ
姉のマリーは、父から剣術の稽古を受けるのが大好きな活発な女の子。
弟のシオンは、部屋に籠もって本を読むのが大好きな内気な男の子。
性格は正反対の二人だが、優しい両親に見守られながら、仲睦まじく暮らしていた。
そんなある日、シオンは『まほう』というものがこの世界に存在するか、父に尋ねる。
しかし、貴族としてそれなりの教養がある父でも、『まほう』という言葉自体を知らなかった。
ましてや、シオンが言う「火とか水とか風とか光とか、何もないところからいろんなものを出したりする」現象など、この世には存在するはずもなく……。
その日から、シオンは目に見えて落ち込んでしまう。
シオンを励ましたいと、幼馴染みで農家の娘のローズに話すマリー。
すると、湖で不思議な現象を目の当たりにして――
キャスト
(C)鏑木カヅキ/MFブックス/マジック・メイカー製作委員会