超セレブたちのドタバタコメディ! また読みたくなる名作漫画『有閑倶楽部』の3つの魅力を解説!
1981年に「りぼん」で連載が開始され、「マーガレット」「コーラス」などでも連載された漫画界の巨匠・一条ゆかり先生が描く超セレブ高校生の痛快学園アクションコメディー漫画『有閑倶楽部』。累計発行部数は2500万部を超え、1986年には講談社漫画賞少女部門を受賞、また実写ドラマ化などもされました。
またつい最近ではX(旧Twitter)でドレンド入りするなど今でも根強いファンが多い大人気作品です。
本稿では色褪せず今もなお絶大な人気を誇る『有閑倶楽部』の魅力を3つ解説していきます。
※本稿には『有閑倶楽部』のネタバレが含まれます。
有閑倶楽部とは?
名士名家の子女が通う幼小中高大一貫制の名門学校・聖プレジデント学園。この学園に通う超がつくほどのお金持ちの名物高校生6人が結成した「有閑倶楽部」。
社交倶楽部・囲碁倶楽部・ロック同好会を合わせて「有閑倶楽部」と呼んでおり、その名の通り暇人たちの集いとなっています。
そして暇つぶしのかたわらに生徒会の運営などもしています。
『有閑倶楽部』の魅力その1・キャラクターのバランスの良さ
暇人の集まりからなる「有閑倶楽部」は菊正宗清四郎・松竹梅魅録・美童グランマニエの男性3人と剣菱悠理・白鹿野梨子・黄桜可憐の女性3人で構成されています。そしてこの6人は見事にバラバラな家柄や性格、価値観でキャラ設定がかぶっていません。
そして6人の個性がとにかく強い。頭脳明晰な清四郎・野梨子、色仕掛けでターゲットを誘惑する可憐や美童、銃の腕前やメカに強い魅録、腕っぷしには自信アリの悠理と、三者三様な「有閑倶楽部」の面々が様々なトラブルや事件を解決してしまう姿には惚れ惚れしてしまいます。
エピソードによってキーパーソンが変わるのですが、どのキャラも主人公になれる個性を持っているので読んでいて全く飽きることがありません。
この絶妙なキャラバランスが、長く愛されている理由の1つだと思います。筆者は6人が織りなす空気感がたまらなく大好きです!
『有閑倶楽部』の魅力その2・非現実的なエピソードの数々
「有閑倶楽部」はただの学園ドタバタコメディではありません。名士名家の子女が通う名門学校・聖プレジデント学園に通う6人だからこそ引き起こされるエピソードの数々がとにかくすごいんです!
国内に留まらず、ひょんなことから手に入れた大金でラスベガスに行ってカジノをしたり、美童の生まれ故郷のスウェーデンに行ったり、修学旅行ではチャーター機でヨーロッパに行ったりと、とにかくスケールが大きい。
そしてやらかすことも派手なのが「有閑倶楽部」。一般庶民では考えられないようなセレブ行動や格闘や銃で大暴れしてトラブルを解決していく様は、読んでいてとてもスカッとします。
少女漫画らしからぬハードボイルドさも持ち合わせているこの作品は、男女問わず読める作品となっているのも魅力の1つだと言えるでしょう!
『有閑倶楽部』の魅力その3・定期的にやってくるホラー回
『有閑倶楽部』といえばホラー回! という方も多いのではないでしょうか。
一条ゆかり先生の画力の高さや繊細なタッチが更に怖さを引き立たせるホラー回は、ドキドキしながらもついつい続きが気になって読み進めてしまう魅力があります。
ホラー回といえば非常に強い霊感体質を持つ悠理の活躍回です! よく霊に取り憑かれて散々な目に合う悠理ですが、正義感が強いため殺された霊の恨みを晴らすため、犯人に食って掛かったこともありました。
筆者もホラー回が大好きなのですが、そんな筆者のおすすめホラー回は悠理ではなく可憐が活躍するコミックス11巻、文庫版7巻に収録されている「丑三つ時の女」です。
スキー場で仏像を燃やしてしまったことから、怨みで鬼になった女性に取り憑かれる可憐の物語なのですが、可憐が徐々に鬼になっていく描写がとにかく怖い!
髪が抜けて出来た10円ハゲ、切っても切っても伸びてくる爪、そして何故か汚れている足。だんだんヒステリックになる可憐は変な夢を見るようになりノイローゼ気味になってしまいます。
そしてついに鬼に変貌してしまう可憐。怨みを晴らすために可憐に取り憑いた女性の最後はとても悲しく儚いものでした。
どんどん精神的に追い込まれていく可憐の姿が妙にリアルで恐怖心を煽るこのエピソードは、怖さだけではないなんとも言えない雰囲気がとても引き込まれるエピソードです。
『有閑倶楽部』の魅力はこれだけじゃない!
ここまで3つに絞って魅力を紹介してきましたが、『有閑倶楽部』の魅力はこんなものではありません。
6人に負けないくらい個性的な家族や、たくさんの名言など語りきれない魅力がまだまだたくさんあります!
シリアスから恋愛、アクション、ホラーまで幅広い要素を含むこの作品は今読んでも色褪せない面白さが詰まっています。
本稿をきっかけに、『有閑倶楽部』を読んでみたいと思っていただけたら嬉しいです!
[文/五反田ちさと]