アニメとヤマハ発動機のバイク愛が強すぎて作品に参加することに!?『Tokyo Override』で夢見たバイクの未来【有名企業に突撃!オタク訪問】
オタクという言葉が一般に浸透し、今では推し活ブームにまで発展している昨今。ニッチだったアニメ、ゲーム、漫画といったものは、多くの人々に愛されるコンテンツになりました。
そして、「これ、どう見てもオタクがやった仕事だ…と思わせる企業の施策を目にする機会も増えてきたように思います。
そんな企業がここにも。バイクや電動アシスト自転車、ボートといったモビリティなどを製造する企業、ヤマハ発動機です。ヤマハのバイクといえば、近年では『ゆるキャン△』に登場したスクーターが「Vino」をモデルとしていることでも話題になりました。
さらに2024年には、ヤマハ発動機がバイクの提供・デザイン協力をしたアニメ、Netflixシリーズ『Tokyo Override』がNetflixで独占配信。世界的な注目を集めています。
そこで今回の【有名企業に突撃!オタク訪問】では、前回のNetflixから『Tokyo Override』という作品を通じてバトンをつなぎ、横浜にできたばかりのヤマハ発動機の新オフィスに訪問。『Tokyo Override』の制作に関わった阪田康平さん、三浦希実さんに登場していただきました。
このお二人、編集部が思った以上にオタクで、まさかの取材時間ギリギリになるまでお話いただけることに……!『Tokyo Override』のことはもちろんのこと、お二人のオタ活事情についてもたっぷりとお聞きしてみました!
アニメ・ゲーム・漫画が好きな方も、ヤマハのバイクが好きな方も必見の内容になっています。最後までどうぞお楽しみください!
インタビューバックナンバー
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──まずはお二人とも、簡単な自己紹介をお願いできますか?
阪田康平(以下、阪田):ヤマハ発動機株式会社 クリエイティブ本部 プランニングデザイン部 共創デザイングループの阪田康平と申します。少し長いですが、基本的には、未来の新規事業領域や新規ビジネスの企画立案、またそれに伴うデザイン業務を担当しています。元々は、モーターサイクル、特にバイクの商品企画やデザインの企画も手がけており、量産から先行デザインまで幅広く経験してきました。
オタク的には漫画とアニメが好きですね。漫画のほうが好きで、その流れでアニメ化になった作品などを中心に見ています。
──デザインの仕事というと、会社の中でも花形なイメージがありますが、実際はどうですか?
阪田:そう言っていただけてありがたいです(笑)。うちの会社はものづくりが好きな人が多いので、設計の方々を含め、みんなモチベーションが高いです。物を生み出すことに情熱を持っている方が多いですね。デザインにおいても楽しく仕事をさせてもらっています。
──未来に関するお仕事というのは、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか?
阪田:たとえば、今回の『Tokyo Override』のように、100年後の世界を考えるプロジェクトもその一例です。また、現在のモビリティを違う使い方で新しい価値を生み出せないかといった試みも行っています。ただ試すだけでなく、デザインを加えたものの方が未来のイメージがしやすいので、そうした挑戦的なプロジェクトを進めることが多いです。
──なるほど。それでは、三浦さんも自己紹介をお願いできますか?
三浦希実(以下、三浦):同じくヤマハ発動機株式会社 クリエイティブ本部 ブランドマーケティング部 ブランド発信グループ横浜の三浦希実です。今年の3月までは、本社のある静岡県磐田市で企業SNSや企業コンテンツ、特にアニメやゲームとブランドをコラボさせた企画を担当していました。4月から横浜に移動し、6月にオープンしたショールーム「Yamaha E-Ride Base」の運営企画に携わっています。
──コラボ企画というのは、具体的にどのようなものですか?
三浦:たとえば、アニメでは『ゆるキャン△』に弊社の製品をモデルとしたスクーターが登場していることをきっかけに、ゆるキャン△カラーのリアル車両を制作しモデル地を巡るなどしました。また、ゲームではスマホ向けゲーム『アズールレーン』とコラボし、弊社の社員レースチーム「磐田レーシングファミリー」と一緒に8耐(鈴鹿8時間耐久ロードレース)に出場する企画を担当しました。チーム名は「IRF with アズールレーン」で、3年間活動しました。2024年で一区切りとしていますが、非常に楽しいプロジェクトでしたね。
──オタクとしては、どのようなジャンルが好きですか?
三浦:漫画とアニメ、どちらも好きですが、最近はアニメの方が多いです。声優さんもかなり気にしてしまうタイプで、「この声優さんが出ているなら観たい!」となることも多いですね。
──お二人ともなかなかの経歴ですね……!「オタクの道を歩んだきっかけの作品」についても教えてください。
阪田:僕が漫画を好きになったきっかけの作品は、週刊少年ジャンプで連載されていた『家庭教師ヒットマンREBORN!』ですね。あれが初めて自分のお小遣いを使って全巻揃えた漫画なんです。最初はギャグ漫画として楽しんでいたんですが、いつの間にかシリアスなバトル漫画に変わっていて、そのギャップがすごく面白かったんですよね。ギャグもバトルもどちらも楽しめる作品だと思いました。そこから『BLEACH』などのバトル系漫画も読むようになって、漫画の幅が広がったきっかけになったと思います。
アニメだと『天元突破グレンラガン』が特に記憶に残っています。熱くなる系の作品が好きなんですが、あれはまさにそういうアニメでした。しかも、日曜の朝に放送していましたからね。毎週楽しみにしていました。あの作品を見て、「胸が熱くなる」という感覚や、「こっ恥ずかしいことでも叫んでいいんだ!」みたいな勇気をもらった気がします。それ以来、感動する熱い系のアニメが大好きですね。
──最近読んで面白かった漫画はありますか?
阪田:最近はなぜかラブコメにハマっています。先日読んだものだと『8月31日のロングサマー』という作品がすごく面白かったです。タイムリープものなんですが、毎日8月31日が繰り返される設定で、ヒロインと主人公だけが記憶を蓄積していくんです。他の人たちは毎回リセットされるんですが、その中でいろいろなことが起こるという展開がとても惹きつけられました。
あと、ジャンプ+の『正反対な君と僕』も大好きです。ギャル系の女の子と真面目な男の子の恋愛を描いた作品で、心理描写が丁寧なんですよね。ラブコメにありがちなご都合主義ではなく、本当に自然な流れで展開していくところが好きでした。連載が完結してしまったのは寂しいですが、アニメ化が決まったのは嬉しいですね。
それから有名どころだと、『アオのハコ』は連載開始当初からずっと読んでいます。スポーツと恋愛がちょうど半々のバランスで描かれていて、スポーツ漫画としても恋愛漫画としても楽しめます。バドミントンの試合シーンも普通に面白いですし、恋愛部分もちゃんと描かれているので、スポーツラブコメとしては非常に完成度が高いですね。
最近ラブコメを読んでいると、自分にはなかった青春を疑似体験しているような感覚になります。現実にはたぶんないんでしょうけど(笑)。でも、そういう没入感があるからこそ、ラブコメは現実逃避的な意味でもいいコンテンツだなと感じています。
──本当にそうだと思います。
三浦:私はどちらかというと新しい作品に手を出すよりも、昔から好きだった作品を何度も見ることの方が多いですね。特に『NARUTO -ナルト-』は何度も読み返しています。アニメが始まったのが小学生の頃で、その頃サンタさんに「単行本をください」とお願いしたんですよ(笑)。最初は1巻から3巻をお願いするつもりで手紙を書いたんですけど、「もっといけるかも?」と思って「3」を「5」に書き換えたんです。でも、サンタさんは既に準備済みだったみたいで、3巻分しか届かなかったんです。
──可愛らしいエピソード……! それ以降の巻はどうされたんですか?
三浦:その後は1ヶ月に1冊、習い事を頑張ったご褒美などで買ってもらったり、自分で買ったりして、小学生から大学生までずっと読み続けていました。他にも何度も読んだ作品としては、『HUNTER×HUNTER』や『スラムダンク』、『黒子のバスケ』がありますね。『ハイキュー!!』も好きですし、大人になってからハマった『Dr.STONE』も繰り返し読んでいます。基本的にはジャンプ系が多いですね。
唯一ジャンプ以外で挙げるなら『宇宙兄弟』です。高校生の時に読んで感動しましたが、就活時に改めて読み直して本当に励まされました。名言が多くて、「頑張ること」や背中を押してくれるセリフがたくさんあるんです。実は就活解禁から一週間後に、就活をせずにアニメで主人公を演じていた平田広明さんの講演に行ってしまったくらいで……(笑)。でも、そのおかげで就活も頑張れた気がします。
──声優さんもお好きなんですね。
三浦:そうなんです。アニメ化作品を見る時に、「この声優さんが担当するんだ」と気にしてしまうタイプです。ガチ勢ほど詳しいわけではないですが(笑)。『Tokyo Override』の制作段階で、キャストが決まる時には監督からリストが送られてきて、「この人が演じるんだ!」と感激しました。
特に平田広明さんは好きで、『TIGER & BUNNY』の鏑木・T・虎徹役が印象的です。演技が自然で、聞いていて引き込まれる声優さんが好きですね。