
正に「戦友」だったと思います──タイセイとビーナ、一緒に相棒役でやってきた者同士の絆とは? TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』石橋陽彩さん×集貝はなさんスペシャル対談
ジェイアール東日本企画・小学館集英社プロダクション・タカラトミーの3社が原案となる『シンカリオン』シリーズの最新作、TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド(以下、シンカリオンCW)』がついに最終話を迎えました。
アニメイトタイムズでは放送前から関係者・出演者の皆さまにお話を伺ってきましたが、最終回を記念して大成タイセイ役・石橋陽彩さんとビーナ役・集貝はなさんのスペシャル対談が実現!
1年間を共にしてきたから感じる想いやオーディション時の思い出など、互いに相棒役だからこその視点から『シンカリオンCW』についてお話しいただきました!
石橋さんの背中を見ながら心の中で相棒としての絆を育てていきました(笑)
──念願叶ってお二人の対談が実現しましたが、まずは過去のインタビューで何度も話題に出てきたビーナについてお伺いできたらと思います。集貝さんはビーナ役に決まった時のことは覚えていますか?
集貝はな(以下、集貝):率直に言ってビックリしました。テープオーディションを受けた時に、マネージャーさんからは「歴代のサポートキャラクターは全てベテランの声優さんが担当されているから難しいかもね」と言われていたんです。
それでも、何かの役でご縁があればという気持ちでテープを提出していたので、スタジオでのオーディションに進めてビックリ、合格して更にビックリという感じでした。
先輩方の積み重ねてきた歴史がある『シンカリオン』シリーズへの出演ということで、責任感というか、しっかり頑張らなければと改めて気が引き締まった思い出があります。
──以前、別の作品でオーディションの話を伺った際に、作品によってはキャラクターの掛け合いを実際に演じて決めることがあるとのことでした。本作のオーディションでは掛け合いはありましたか?
石橋陽彩(以下、石橋):掛け合いのオーディションもありましたが、お互い違う回だったんですよね。
集貝:オーディションは石橋さんではなく別のキャストさんとでしたが、その方だけ連続で演じてビーナ役は交代していく流れだったんです。それでタイセイはこの方に決まっているのだと勝手に思っていたので、初めて現場に行ったら「石橋さんがいる!」とまたまたビックリしたんです(笑)。
──オーディションでは掛け合いする機会が無かったとのことですが、視聴者目線では第1話からお二人の息がピッタリだった印象です。もう1年近く前になるとは思いますが、初回収録時のことは覚えていますか?
石橋:実は集貝さんとは収録ブースが違ったんです。みんなは大きなブースで一緒に収録していますが、ビーナだけは編集時に声を加工する必要があるので、別のブースで収録していました。
もちろん「今回のシーンはこういう風に演じよう」とかは話したりしていましたが、パートナー役なのになかなか現場でお話しするタイミングが無かったんですよね。
集貝:収録が終わった後にみんなでグッズサンプルとかを見ながら「ビーナありますよ」「タイセイのもカッコイイですね」みたいに、ちょっと遠慮がちな会話をしたり(笑)。そんな感じだったので、ちょっと心残りはありました。
でも、私のブースはガラス面だったから石橋さんが演じている様子を見ながらアフレコができたので、石橋さんの背中を見ながら心の中で相棒としての絆を育てていきました(笑)。
石橋:お恥ずかしい(笑)。僕も集貝さんが入っていたブースで録らせていただいたことがあるんですけど、他の方の背中は見えるのに声が聞こえてこなくて「集貝さんはこんなところで録っていたんだ……」と感情移入してしまいました。
集貝:あのブースは少し孤独を感じるんですよね。
石橋:でも、普段の収録ではヘッドホンから集貝さん演じるビーナの声が聞こえてくるからこそ、逆にナビゲートAIであるビーナとの会話がやりやすかったのはあります。特に第1話ではタイセイがイヤホンを付けてビーナの声を聞いているので、周りの人には聞こえずに自分だけは聞こえている状態は凄く演じやすかったです。
集貝さん演じるビーナがしっかりとタイセイを叱ってくれるからこそ、僕も自然なお芝居に近かったかなと思います
──集貝さんはナビゲートAIというビーナを演じるにあたって、どのように役へとアプローチをしましたか?また、どのようなディレクションがありましたか?
集貝:第一に言われていたのは、ビーナはタイセイのナビゲートAIとして生まれているので「タイセイ・ファースト」ということです。
ビーナがいることでタイセイの生活がスムーズになり、タイセイがカッコイイ人になるためのサポートをするという、ビーナの中ではタイセイという存在が一番大きいんです。それは話数が進むにつれて、より自分の中でも意識して演じていた部分ですね。
これまでナビゲートAIというキャラクターを演じたことがなくて、しかもビーナはかなり自我が確立されているので、機械と人間味の塩梅はかなり悩みながら演じた部分です。
新しい情報を得ることでAIは豊かになっていくので、ビーナの「知らないことを知る」という好奇心みたいなものは、これまで自分自身が感じてきたものを大切にしながら演じようと思っていました。
──そんなビーナと会話をされる石橋さんは、他のキャラクターとビーナとでは話す時の演技プランも変わってくると思います。その辺りはどのようにされていましたか?
石橋:アカネやリョータと話している時よりも、もう少しタイセイとしての自我が出ているイメージでしたね。普段は二人の言い合いを見たら一歩下がっている感じなのが、ビーナとは言い合いができるというか。
ビーナとはタイセイの素の心が強調される会話が多かったので、自分の意見を言い合える仲というのは意識していました。
あと、イナが失踪している時に、ビーナは第二の姉まではいかなくてもタイセイを支えてくれる存在だったと思っているので、そこは少し意識しましたね。でも、集貝さん演じるビーナがしっかりとタイセイを叱ってくれるからこそ、僕も自然なお芝居に近かったかなと思います。
──お目付け役というキャラクター設定が収録現場にも活きている感じですね。
集貝:ビーナが「タイセイの友達?」と聞かれた時にも、訂正してまで「お目付け役」を強調していましたから。多分、ビーナはそこを凄く大切にしていたのかなと思います。
──そんなお目付け役のビーナが、テンと話す時にはハイテンションになるので、その演技の変化にいつも笑ってしまいます。
集貝:その時だけはタイセイが近くにいてもテン君に飛んでいきますからね。オーディションでは数個の台詞を抜粋して演じましたが、その中にもテン君と話す時の台詞はあったと思います。
石橋:あれはオーディションの時からあったんですね。
集貝:私からするとタイセイもテン君も同じくらい可愛いと思うので、彼女の中で何が違うのかはずっと考えていました。
私は可愛いものを見てもビーナみたいなテンションにはそうそうならないので、自分の中であそこまでテンションが上がるものを思い浮かべて嘘の演技にならないようにしていました。
──具体的にはどんなものを思い浮かべていたのですか?
集貝:保育園でお散歩に出る時に使うバギーカーの中にいる子どもが凄く好きなんですよ。だからテン君が来てテンション上がる時のビーナは、あれを思い浮かべながら演じていました(笑)。
私としてはビーナからテン君への感情は男の子への恋のハートマークではないと思うので、そこは可愛いものが好きというのを強く意識して、ときめきにはならないように演じていました。
石橋:ビーナとテン君との会話と言えば、ビーナが濃い目にメイクしてきた時にはテレビの前で笑っちゃいました(笑)。収録時から「このメイクが濃くなっているシーンを、集貝さんはどんなお芝居に持ってくるんだろう?」と凄く楽しみにしていたので、完成した映像は想像以上でした。
集貝:ビーナは対タイセイになると、イナの代わりにタイセイをしっかりした大人にしようとする面が強いので、そんなビーナがはっちゃけられるこのシーンは楽しみながら演じさせていただきました。
石橋:あと、最終回付近の収録で浦さん(西大路ヤマト役・浦 和希さん)が「テンきゅーん!」ってビーナのモノマネをやったのも面白かったですよね。
集貝さんがお手本を見せて、その後に浦さんが数テイクかけて、ちゃんと語尾にハートマークが3つくらい付いた渾身のビーナのモノマネが出たんですよね。それもあってビーナがみんなから愛されているのを改めて感じました。
──ビーナが愛されていると言えば、過去のインタビューでも出演者からは欲しいグッズとして「ビーナのぬいぐるみ」が挙がっていました。
石橋:喋るビーナのぬいぐるみは欲しいですね。
集貝:ずっと怒られそうだけど(笑)。でも最終話を見た後だと、そのぬいぐるみもちょっと切なくなりそう。