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『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』レビュー|童心に帰りながら大人だからこそ感じられる物語の深み

【レビュー】童心に帰りながら大人だからこそ感じられる物語の深み──『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』は任天堂で育った大人に刺さる映画

2026年4月24日(金)から上映中の『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』。テレビゲーム「スーパーマリオ」の世界を元にした、イルミネーションと任天堂によるアニメーション映画で、2023年に公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の続編です。

前作で、ひょんなことから迷い込んだキノコ王国でピーチ姫と出会い、彼女との強引な結婚とキノコ王国の支配を目論むクッパを見事打ち負かしたマリオと双子の弟・ルイージ。

本作では、ピーチ姫を助けながらキノコ王国で暮らすマリオとルイージが、今度はクッパJr.の野望を阻止するため宇宙への冒険に出るストーリーとなっています。

本稿ではそんな『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』を幼い頃から任天堂で育ってきた筆者がレビュー。また、後半では本作を見る前に押さえておきたい前作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のポイントも併せてご紹介しています。

物語としての面白さと映像美に加え、ゲームをプレイしているような感覚も楽しめる、まさにエンターテインメントを詰め込んだような本作は、任天堂で育った大人にこそ観てほしい作品です!

本稿では映画本編の内容にも触れていますので、未視聴の方はご注意ください。

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ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー
マリオとルイージは、キノコ王国でピーチ姫を助けながら、捕らわれたクッパのお世話をしたり、みんなの困りごとを解決する双子の配管工。ある日、新たな相棒ヨッシーに出会う。ピーチ姫の誕生日パーティーをきっかけに、クッパJr.の邪悪な野望を阻止するため、ロゼッタを守る宇宙への冒険の旅に出る。作品名ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー放送形態劇場版アニメシリーズザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービースケジュール2026年4月24日(金)キャストマリオ:宮野真守ピーチ姫:志田有彩ルイージ:畠中祐クッパ:三宅健太キノピオ:関智一ロゼッタ:坂本真綾クッパJr.:山下大輝フォックス・マクラウド:竹内栄治スタッフ脚本:マシュー・フォーゲル監督:アーロン・ホーヴァス マイケル・ジェレニック製作:クリス・メレダンドリ(イルミネーション) 宮本茂(任天堂)音楽:ブライアン・タイラー公開開始年&季節2026アニメ映画(C)NintendoandUniversalStudios.AllRightsReserved.『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』公式サイト『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』公式X(Twitter) 「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」のグッズを探す

リーダーとしての悩みや葛藤を抱えるピーチ姫と優しく寄り添い支えるマリオ

平成初期生まれの私は、スーパーファミコンの「スーパーマリオワールド」やNINTENDO64の「マリオストーリー」など、様々な「スーパーマリオ」シリーズのゲームをプレイしてきたのですが、マリオのゲームにおいて基本的に常に助けられる存在であるピーチ姫。そんな彼女が本シリーズにおいては、自ら最前線で戦う強くたくましい女性として描かれています。

前作からキノコ王国でキノピオたちをまとめ上げ、援軍要請のためジャングル王国に直談判に赴き、大魔王クッパに立ち向かうなど凛々しい姿を見せていた彼女でしたが、本作ではそんな彼女が抱える繊細な内面も明かされ、より深い人物像が浮かび上がりました。

マリオたちと出会うまでキノコ王国でただ一人の人間だった彼女。おしゃぶりをするほど幼い頃にキノコ王国に迷い込んだ彼女は、キノピオたちによって育てられ、国を治める姫としての鍛錬を積み、現在の彼女となっています。

キノピオたちからは慕われ敬われているものの、自分はいったい何者で、どこから来たのか、本当の家族はどこにいるのか──彼女は密かにその悩みを抱えているのです。

キノコ王国ではピーチ姫の誕生祭が盛大に行われていますが、その誕生日もキノピオたちがピーチ姫を見つけた日であり、本当の誕生日は本人でさえ知りません。

国民であるキノピオたちはそんな彼女の心中を全く察していないようで、主役そっちのけでお祭り騒ぎ。煌びやかに彩られた城下町を城の上から一人見下ろすピーチ姫が孤独感に苛まれていることなど知る由もないでしょう。

そんな中、唯一彼女のことを気にかけていたのはマリオ。服装こそいつものオーバーオールですが、トレードマークの髭を丁寧にセットし、ピーチ姫にプレゼントを用意したマリオは、城の上に1人たたずむ彼女に優しく寄り添います。

マリオの優しさに触れたピーチ姫は「誕生日なんて大嫌い」と胸の内をぽつりと吐露しますが、悲し気だったその表情がマリオの思いやりが詰まったプレゼントでパッと明るくなる瞬間がとても印象的でした。

その後、ピーチ姫はロゼッタ姫を救出するため宇宙の冒険に出かけるのですが、その際キノピオたちは「キノコ王国はどうなるんだ」「自分達にはピーチ姫がいないと」と猛反対。彼らはピーチ姫を敬ってはいるのでしょうが、あまりにも自己中心的かつ彼女に頼りきりで、この環境が姫を孤独にしてしまっているのだと痛感しました。

このときもピーチ姫に寄り添うのはやっぱりマリオ。大騒ぎして部屋に押し掛けたキノピオたちをなだめて退室させ、ピーチ姫にひとりで考える時間を作ってあげていました。私はてっきりマリオも部屋に残るのだろう思ったのですが、彼は自分もキノピオたちとともに部屋を後にします。

重要な問題はピーチ姫が自分自身で考えて答えを出すべきであること、そして彼女がひとりで結論を出せる芯の強い女性であることをマリオはわかっているのだと感じました。

繊細な心を抱えながらも芯のある強さと逞しさを持つピーチ姫と、そんな彼女に密かな恋心を抱きつつ優しく寄り添い、時には共に戦うマリオ。

かつてはドット絵だった彼らが、ここまで奥深い人間性や心の機微を感じさせ、ドラマチックな物語を描き出しているのは映画というメディアだからこそできることではないでしょうか。

親子愛に感動!? 憎めないクッパ親子

前作でマリオに負かされ、青キノコで小さくさせられてピーチ城で牢に入れられているクッパ。本作では息子であるクッパJr.が父を取り返すべくマリオたちの前に立ちふさがります。

ピーチ姫と無理やり結婚しようとしたり、世界征服を目論んだりとクッパが非常に身勝手な敵であることは間違いないのですが、クッパJr.含め、この親子がどうしても憎み切れないのです。

元々は悪さをしたクッパに落ち度があるとはいえ、クッパJr.が父を取り返しに来たこと自体は悪いことではありません。暴力で解決しようとしたことは褒められたことではありませんが、彼がそうしたのは大魔王である父の背中を見て育ったからでしょう。

作中ではクッパの父親ぶりも描かれており、毎晩息子のために自作の物語を小道具を使って面白おかしく語って聞かせる姿は、愛情たっぷりに子育てをするまさに理想のパパ。

前作でも豪快に炎を吐く大魔王然とした姿を見せる一方で、大きな手で繊細なピアノを奏でるなど、様々な表情を見せていたクッパでしたが、ここにきて良き父親としての一面を見せてくれるとは思いもしませんでした。

また、クッパJr.に関して印象的だったのは彼の次世代感。父を助けるため、そして父と自分の理想郷を作るために、父不在の間にクッパ軍の科学力を高め、父も驚くような兵器や建造物を作り出します。

それらを初めて目にしたクッパは呆気にとられるほど驚き、時には理解が追いつかず戸惑うような場面も。そんな彼らのやりとりはまるで最新機器を自在に扱う若者・子供たちと親世代のジェネレーションギャップのよう。

悪者としての立場を保ちつつも、人間味があり、親しみさえ覚えるクッパ親子。筆者も子を持つ親なのですが、クッパに共感するようなシーンがあったのは自身が親になったからこそだと感じました。

任天堂とマリオ要素たっぷりの世界がとにかく楽しい!

幼い頃から任天堂のゲームでたくさん遊んできた筆者。前作に引き続き、本作にもそんなゲームの要素がたっぷり散りばめられており、それらに気づいたときの喜びや楽しさも大きな魅力のひとつです。

土管やハテナブロック、ファイアフラワーといったアイテムは当たり前のように登場するのですが、ゲームダンジョンのようなシーンやお馴染みのドット絵で描かれるシーンなどもあり、懐かしさに心をくすぐられます。

さらに、本作では任天堂の別作品のキャラクター・スターフォックスが登場。それだけでなく、頭に花や葉っぱをつけたあのキャラクターや全身真っ黒ななあのキャラクターなども姿を見せ、「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズをやり込んだ筆者は大興奮してしまいました。

そして、ゲームにも映画にも欠かせないのは音楽ですが、これももちろんマリオ! 暗いエリアで流れる音楽やステージクリア時のBGM、ジャンプした時やヨッシーが舌を伸ばした時の効果音など「そうそう!マリオはこの音楽!」とつい言いたくなってしまいます。

任天堂やマリオの世界を知っていればいるほど、目でも耳でも楽しめる作品です。繰り返し見ることで新しい発見がありそうで、何度も映画館に足を運びたくなります。

推しキャラ・ヨッシーへの想いを語りたい!

任天堂のゲームとともに育ってきた筆者にとって、特に思い出深いソフトは初めて買ってもらったスーパーファミコンの「ヨッシーアイランド」でした。

そのため小学生の頃から私はヨッシー推し。ヨッシーが大活躍する本作は私にとってまさにご褒美のような映画。ここで少しヨッシーへの想いを語らせてください。

まずもってとにかくヨッシーが可愛い! 作中のキャラクターたちはマリオを含めてみんなゲームよりも少し丸くデフォルメされている印象で、とても可愛らしいのですが、ヨッシーはその中でもさらに群を抜いて可愛い!(個人の感想です)

ボールみたいに大きくて丸い鼻や物を口に含んだときに膨らんだ頬っぺた、ひょうきんな表情などどこをとっても可愛くて仕方ありません。

作中ではマリオが赤ん坊になってしまうシーンもあるのですが、思い出のゲーム「ヨッシーアイランド」は赤ん坊のマリオをヨッシーが背中にのせて冒険するというストーリー。それを彷彿とさせる演出に思わず身震いしてしまいました。

また、途中で出てくる敵のおさるさんも「ヨッシーアイランド」に登場するキャラクター。「よくタマゴとか盗むんだよなこいつ…」と思いながら見ていたのですが、やっぱりキノピオがリュックを盗まれていて心の中で大爆笑。

観終わってから調べてみたところ、このおさるさんは「ヨッシーアイランド」にしか登場していない敵キャラクターのよう。本作でヨッシーが活躍することに合わせての登場だったのでしょう。

このように、ひとつでも思い入れのあるマリオ作品がある方には、必ず刺さるポイントがあるはず。ゲームをプレイしていた頃の思い出とともに楽しめる映画なんてそうそうありませんよね。

前作を見ていなくてもいい? 押さえておくとより楽しめるポイントをご紹介!

本作は前作を見ていなくても十分楽しめる映画だと思いますが、それでも前作の設定を押さえていれば映画をより楽しめるのもまた事実。ということで、ここからは前作で押さえておくべき設定を簡単にご紹介していきます。

まずは、マリオとルイージについて。前作では、彼らはアメリカ・ブルックリンで配管工を営んでいました。その仕事中に不思議な土管に入り、キノコ王国に迷い込んだマリオはピーチ姫との出会いを果たします。

マリオは普通の人間でしたが、ピーチ姫の指導のもと鍛錬して強化され、クッパとも戦えるように。元々ピーチ姫の方が強いという設定がユニークでした。

しかもなんとキノコが苦手! 鍛錬の中で赤キノコを何度も食べるうちにキノコ嫌いも克服し、今では問題なく食べられるようになったようです。

二つ目はピーチ姫のこと。先述のとおり、ピーチ姫はキノコ王国ただ一人の人間であり、マリオと同じように土管から王国に迷い込み、キノピオたちに拾われました。

そのため彼女は自身の出生について何も知らないままキノコ王国の長になっています。本作では彼女の出生の秘密も明かされるため、この点を知っておくとより楽しめることでしょう。

とはいえ百聞は一見に如かず。前作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、現在各動画配信サービスにて配信中ですので、ぜひ一度ご覧になってから最新作を楽しんでいただければと思います。

任天堂で育った大人たち、集まれ!

1985年に誕生してから40周年を迎えたマリオ。マリオとともに育ってきたという大人はきっと日本中、そして世界中にいるでしょう。

マリオたちの人間ドラマや格好良い姿・可愛い姿を堪能できるのはもちろんですが、あの頃のゲーム体験と重ねながら本作を楽しめるのは、マリオとともに育ってきた私たち世代の特権ではないでしょうか。

任天堂で育った大人たちにこそ、『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』を観てほしいと願っています。

作品情報

ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー
作品名 ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー
スケジュール 2026年4月24日(金)
あらすじ マリオとルイージは、キノコ王国でピーチ姫を助けながら、捕らわれたクッパのお世話をしたり、みんなの困りごとを解決する双子の配管工。
ある日、新たな相棒ヨッシーに出会う。ピーチ姫の誕生日パーティーをきっかけに、クッパJr.の邪悪な野望を阻止するため、ロゼッタを守る宇宙への冒険の旅に出る。
キャスト マリオ:宮野真守
ピーチ姫:志田有彩
ルイージ:畠中祐
クッパ:三宅健太
キノピオ:関智一
ロゼッタ:坂本真綾
クッパJr.:山下大輝
フォックス・マクラウド:竹内栄治
スタッフ 脚本:マシュー・フォーゲル
監督:アーロン・ホーヴァス マイケル・ジェレニック
製作:クリス・メレダンドリ(イルミネーション) 宮本茂(任天堂)
音楽:ブライアン・タイラー

(C) Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。

この記事をかいた人

わたなべみきこ
出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

担当記事

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