音楽
“生きているアルバム”佐々木李子『RI PATHOS』インタビュー

“世界を創り紡ぐ、憑依系シンガー”佐々木李子が、枝を伸ばした先に実らせたものフルアルバム『RI PATHOS』ロングインタビュー|歩き続けていたら、いつかそれが美しく輝くときが来る――

 

決意表明のリード曲「桃李成蹊」

──基本的にはSkipjackさん、佐藤厚仁さんが曲を手掛けられているなかで、1曲目でありリード曲であるハードコアナンバー「桃李成蹊(とうりせいけい)」は、the bercedes menzなどで知られる田中喉笛さんが作曲・編曲を手がけられています。

佐々木:リード曲はハードコアなサウンドを本格的に手がけている田中喉笛さんにお願いしようということになりました。自分の名前(“李”/すもも)が入っているこのタイトル通り、自分の人生を特に表している1曲なので、田中さんにお願いして本当によかったなと思っています。

──「桃李成蹊」という言葉は私はお恥ずかしながら初めて知ったのですが、すごくいい言葉ですよね。

佐々木:故事成語で、すももや桃の木の下には何も言わなくても自然と人が集まり、そこに道ができていくように、誠実な人物のもとには自然と人が集まるという意味があるんです。「私もそういう人になりたい」と思いますし、憧れでもあります。だから、この曲は決意表明のような1曲になりました。

この曲の主人公は“すももの木”なんです。なかなか実らず、冬を耐え忍んでいる姿に、自分の辛かった時期を重ねています。枝分かれしていく様子に、人生のいろいろな分岐点を思い出したり。以前、枝が多ければ多いほど植物は強く立っていられると聞いたことがあって。たとえ1本折れても、またそこからつながっていくし、枯れたとしても、また伸びると信じて立っていられると。それにすごく共感するものがあって。

それこそ、私は自分の道に簡単に花を咲かせることができたわけではなくて、私もこれまで何度もくじけそうになりながら、それでも諦めずに立ってきました。いつか終わりは来るかもしれないけれど、その先に必ず残るものがあると思うんです。音楽も残るだろうし、自分の思いや夢が、また誰かにつながっていくこともある。そういうスケールの大きさを、この曲では歌っているんだと思います。

──「桃李成蹊」にある<ここまで来るだけでも果てしなく遠かった>という言葉も、とても印象的でした。

佐々木:本当に、その通りだなと思います。ただ花を咲かせるだけでもだめなんですよね。今も、ずっと悩んでいることではあるんですけど、うまく歌うことだけがすべてではないし、成功だけがすべてでもないし……失敗したことや、夢に破れたことも全部抱きしめながら、それでも自分を受け入れて生きていく。そういうことを歌えるようになったのは嬉しいです。

──ハードコアやパンクには“生き様”という言葉がよく使われますけど、まさにそういう曲だと感じます。

佐々木:本当に、ままならない人生というか。夢って、叶わないことのほうが多いと思うんです。でも、叶ったことと叶わなかったこと、その絶妙なバランスで成り立っている果樹園の中で、それでも生きていくという決意・覚悟を持って歌えるようになりました。

この曲を聴いてくださる方の中に、夢がある方はもちろん、今はまだ夢がないという方もいると思うんです。そういう方が聴いたときに、「それでもいい」と少しでも思ってもらえたら嬉しいですし、夢に破れた方も、夢がまだない方も、その先に時間は流れているから、とにかく自分の木を育て続けてほしいなって。そんなことを考えながら歌った曲です。

──<腐った夢が夢を救うまでは>という言葉が、まさにぐさりと刺さりました。

佐々木:私もあの部分がすごく好きです。一度挫折した夢が、また違う夢を持たせてくれるきっかけになることもあるんですよね。この歌詞は、初めて見たときに泣きました。「早く歌いたい」、と思いましたね。

──以前「詩をまく者」で<枯れない想い 何が実るんだろう鼓動は続いていく>と歌われていましたが、そこから今この「桃李成蹊」を歌うことにも、ひとつのステップを感じました。

佐々木:確かにそうですね。「詩をまく者」を歌ったころも“枯れない想い”はもちろんありましたが、以前の自分とはまた違う、一皮むけた自分になれたからこそ、今この曲を歌えているのだと思います。

 

歌手と声優、どちらも大切だから歌えた「オランジェット」

──先行配信第一弾として「まるでマトリョーシカ」がリリースされ、そこから5ヵ月連続でアルバム収録曲が届けられていきました。トリコ(ファンの呼称)の反応をどのように見ていましたか?

佐々木:エゴサーチしてめちゃくちゃ見ていました(笑)。反応は本当にさまざまでしたね。例えば、最初に「まるでマトリョーシカ」が配信されたときは、「りこちのこんな一面を知れるんだ」「こんな歌詞を歌うんだ」「佐々木李子のメタルはこういう感じなんだ」と驚いている方もいました。曲でしか知れない私の一面もあると思うので、驚いてくださる方もいれば、「やっぱり、りこちはこういう気持ちを秘めているよね、知ってたよ」と納得してくださる方もいて。皆さんが1曲1曲を楽しんでくださっているのが嬉しかったです。

──なかには「魂の麻辣湯」といったユニークな曲もあって。佐々木さんは何事もストイックに突き詰めている一方で、すごくチャーミングなところもあると思っていて。そういう一面も、このユニークな楽曲にも詰まっているのではないかと感じました。

佐々木:確かに、自分の好きなものを突き詰めて、究極の麻辣湯を探すという曲なので(笑)。ただ、歌詞にもある通り、<レシピ通り作ればいいわけじゃない>し、<ピッチ通り歌えばいいわけじゃない>。この曲も、自分の歌手人生と重ねながら歌える一曲なんです。遊び心があって、とんちきソングではあるんですけど(笑)、共感する部分もたくさん散りばめられていて、私もすごくお気に入りです。

私は結構、人に教わりたがりというか、すぐにレッスンを受けたくなってしまうタイプなんです。教えられたことがすべてだと思い込んでしまうところもあって。でも「魂の麻辣湯」では、最後に師匠が、“お前にゃもう教えることはない”。探したってない。本当は自分の心の中にあると言ってくれて。そこがすごく刺さりました。たとえ本場の味ではなくても、自分が「これだ」と思って魂を燃やしたものが本物なんだ、というところがすごく好きです。

──そう考えると、今回のアルバムは全曲燃えていますよね。遊び心がありつつ、すごく熱量のある曲が多い印象です。

佐々木:本当にそうですね。「レクイエムボンファイヤー」とか「カミガカリ」とかも。“憑依系シンガー”をテーマにした「カミガカリ」はライブで盛り上がる曲を作りたいねというところからはじまって。タオル曲にしたいと思っていたんです。

──タオル曲に! 爽やかな疾走感のある曲なので盛り上がりそうです。

佐々木:メロコアのスピード感も大切にしたかったので、ただ聴かせるだけではなく、沸かせるような歌にしたいと思っていたんです。自分なりの“神がかった佐々木李子”に憑依して歌いました。

──5曲目の「極超新星(ハイパーノヴァ)」もライブで盛り上がりそうな曲ですよね。ど頭からシンガロングで。

佐々木:初めてリリースイベントで歌ったときに、みんなが歌ってくれて感動しました。ここが私の宇宙だ!と思うくらい、みんなそれぞれが輝き合って、それが連鎖していくように感じてすごく嬉しかったですね。この曲は、自分がこういう存在になりたいという憧れを詰め込んだ曲でもあって。すごく強気な歌詞なんですけど、終わりを覚悟しているからこそ光を放つことができる。スーパーノヴァを凌駕するハイパーノヴァの領域まで行きたい、輝くぞ、という思いで歌いました。最後のフレーズの<本当は心が凍らないように燃えているに過ぎない>には、特に自分らしさが出ていると思います。ワンマンで歌ったときに、どんな景色やエネルギーが見えるのか、今から楽しみです。

──さらに少し戻りますが、3曲目「オランジェット」は、甘さとほろ苦さをあわせ持つお菓子のオランジェットのように、歌手としての佐々木さん、声優としての佐々木さん、その両方の表現が入っている曲ですね。

佐々木:この曲は、歌手と声優、どちらの味も楽しんでね、という曲なんです。二刀流でやっているからこそ歌えた曲だと思います。「歌手と声優、どちらの比重が大きいですか?」と聞かれることも多いんですけど、一生懸命考えても決められないくらい、どちらも大切なんです。アプローチは違っても、芯はひとつ通っていて、最終的にはつながっている。そういう思いを「オランジェット」に込めました。“ひとくちで二度おいしい”という部分は少しポップに、でも揺るがない思いも込めて歌っています。私自身、実際にお菓子のオランジェットが好きです(笑)。

 

 

おすすめタグ
あわせて読みたい

佐々木李子の関連画像集

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2026年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年秋アニメ一覧 10月放送開始
2027年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2026春アニメ何観る
2026夏アニメ最速放送日
2026春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
放送・放送予定ドラマ作品一覧
平成アニメランキング