音楽
梶浦由記 インタビュー/セルフカバーアルバムやアニメ主題歌情報も

アーティスト・梶浦由記さんへインタビュー! 名曲の数々をセルフカバーしたアルバム『Everlasting Songs』のリリースや、ファンクラブ&アニメ新番組主題歌の情報も!

アニメや映画、CM音楽などの音楽プロデュースに、FictionJunction YUUKAやSound HorizonのRevoさんとのコラボレーションではパフォーマーとしても活躍し、『空の境界』でブレイクした音楽ユニット、Kalafinaのプロデュースなど、多方面に渡って活動を繰り広げている梶浦由記さんが、ソロワークプロジェクト・FictionJunctionのファーストアルバム『Everlasting Songs』を2月25日にリリースする。

梶浦さんがこれまで提供してきた名曲の中からセレクトしたセルフカバーアルバムで、FictionJunction YUUKAの活動でおなじみのYUUKAさん、Kalafinaとしても活動しているKEIKOさん、WAKANAさんに、梶浦さんが信頼するボーカリスト、YURIKO KAIDAさん、ASUKAさんという個性豊かな6人のシンガーによって注ぎ込まれた新たな魅力を発見しつつ、オリジナル楽曲の素晴らしさを再確認できた。

新曲としてYUUKAさんがボーカルを担当する『ツバサ・クロニクル』の新作OAD『ツバサ春雷記』のED曲「記憶の森」も収録されている。また小川範子さんが歌っていた「ベルベットの祈り」は歌詞を新たに書き直している。

梶浦さんの特長である様々な楽器を使ったサウンドの厚さ、水音など細部のディテールにこだわった緻密さ、コーラスワークの美しさなどが十分に堪能できる15曲が収録され、梶浦さんの音楽が提示されており、FictionJunctionの志す方向性が見えてくる。音楽ファンが満足できるアルバムであり、タイトルのように末永く愛されるアルバムになるであろう。ぜひ手元に置いておきたい1枚だ。

このアルバムのリリース後は3月1日より公式ファンクラブ「FictionJunction CLUB」の活動がスタート。更に4月から始まるアニメ新番組『PandoraHearts』のOP曲を担当することも決定。「昨年のライブ活動が原動力となった」と語る一方、「そこから広がったものを形にしていきたい」という梶浦さん。2009年もきっとファンへ、うれしいニュースと素晴らしい音楽をもたらしてくれることだろう。



前作から6年ぶり、ファン待望の“梶浦名義”作品


――昨年はご自身のライブやSound HorizonのRevoさんとのコラボレーションライブなどステージでのパフォーマンスが目立った年になりました

梶浦さん:ライブはすごく楽しかったですね。ライブは1回やったらハマってしまって。あんなにやらなくてもよかったかもしれないけど、ライブが終わるとすぐに私から「やろうよ! やろうよ!」って(笑)。ここ何年かはスタジオや自宅での制作作業中心で、じっくり音楽を作るのは好きなのでストレスがたまっていたつもりはなかったんですけど、ステージで目の前にお客さんがいて、顔を見ながら直接音楽をお届けするのは「こんなに楽しいことだったのか」と。もちろん私だけでなく、「お客さんにも楽しんでいただけている」という手応えも感じることもできました。


――今までFictionJunction YUUKA(以下FJY)のライブも何回か見ましたが、梶浦さんのライブは初めてで。また違った楽しさがあって。多彩なボーカル陣やバンドなどのリズム隊なども豪華で素晴らしかったです

梶浦さん:やりたい放題でしたね。FictionJunctionは私のソロワークですけど、FJYの場合はYUUKAはソロの歌い手さんだと思っているし、彼女の役割や存在感も大きいのでYUUKAに寄せたアーティストイメージを意識してやってきました。でも梶浦由記ライブでは何でもやりたい放題でいいと思っていて、曲の相性とか考えずに「とりあえずやりたい曲、全部やっちゃえ!」みたいな(笑)。いいミュージシャンと歌い手さんがそろってくれたことも大きいですね。あれだけ歌えるボーカリストが4人(KAORI、KEIKO、WAKANA、YURIKO KAIDA)そろったら歌えない曲はないし、あれだけのミュージシャンだからできない曲もない。非常にぜいたくなライブで、やっている私が一番楽しいのかもしれませんね。


――梶浦由記ライブは昨年2回行われましたが、夏のステージのDVDが昨年末にリリースされましたね

梶浦さん:あの4人の歌が残せてよかったという想いがあります。FJYのようにアルバムが出ていてライブをやりましたという形ではなく、元々、別の人が歌っていたサウンドトラックの曲で、今回はCDではないけど、映像という形で彼女が歌った曲達を残せたことがうれしかったです。彼女達にもとても意味があることだったと思うし。あと1回のライブでやった曲を全部CDで集めようとしたらサントラ盤を何十枚も買わなくてはいけないという敷居の高さもあったのでその面でもよかったかなと(笑)。


――昨年末の横浜BLITZでのライブでFictionJunctionのアルバム『Everlasting Songs』が出ることを発表された時、客席が沸きました。梶浦さん名義のアルバム『Fiction』から約6年ぶりで、期待も大きいですよね

梶浦さん:『Fiction』から6年、まさに光陰矢のごとしというか。『Fiction』は新曲もありましたが、ベストアルバムという感覚がありました。今回はまずYUUKAが歌っていなかった曲を集めて、シングルカットされたとかヒットしたとか関係なく、そんなに知名度は高くなかったけど好きだった曲、スタッフが好きだった曲という感じで曲選びをしてしまったので『Fiction』よりも趣味に走った1枚になったかなって。


CDに収録限界があってよかったです(笑)


――ライブでおっしゃっていた「皆さんのお気に入りの曲達」というのは……

梶浦さん:まず私のお気に入り優先で入れて、他にはスタッフのみんなから「俺はこれ絶対入れてほしい」という曲があったのでそれも入れたりして。あと歌姫4人でやろうというイメージがあって、いろいろ候補を挙げた中から歌姫達にすべて歌ってもらって、そこから4人でやる意義がある曲を選びました。


――また「たくさんの曲を入れようとしていて、収録時間が75分を切ったら負けたと思ってください」とおっしゃっていましたが結果はいかがでしたか?

梶浦さん:勝ちました(笑)。あの時点では曲数は決まっていて、「これだったら余裕かな」と思っていたらどんどん足りなくなっていって。残りの2曲のアレンジが長くなったら入らないという状況になって、何とかうまくまとめることができました。その2曲をシンプルにしたことでアルバム全体もまとまりがよくなりました。CDに収録限界があってよかったです(笑)。その2曲がどの曲かは皆さんで考えてください。


――最初の2曲で12分以上になっていたのでどうなることか思いました(笑)

梶浦さん:そんなはずじゃなかったんですけど……。普段だとサウンドトラックの曲やシングルなどは映像で使いやすいとか、オンエアしやすいようにと考えるとまずイントロが長過ぎるのは完全にアウトなんです。イントロが1分もあったらすぐに終わってしまうので。でも今回はアルバムということで、たががはずれた、というか。スタッフもいつもは「イントロ長いんじゃない?」とか「アウトロもっと早く切り上げたら」とか言ってくるのに、今回は何も言わないでくれて。「好きにやっていいよ」と言われ、やっていったらどんどん収録時間が足りなくなっていきました(笑)。


――今回収録された15曲は作品のテーマ曲だったり、アーティストへの提供曲だったり、聴き覚えのある曲が多くて懐かしい感じがしました

梶浦さん:自分でも懐かしかったです。以前までは昔の曲を引っ張り出すことにあまり興味がなくて。ライブをやるようになって、ライブもある意味でセルフカバーなので昔の曲を聴き直してみると悪くないなと思い始めたところに、セルフカバーアルバムのお話をいただいて。昔の曲を聴き返す時は反省会でしかなかったけど、新たに聴き直すと結構おもしろいことをやっていて。「こんな思い切ったことやってたんだ」と感心するような、今の自分だったらやらないことだったり、「こんな歌詞を書いてたんだ」という発見があって、曲達をより愛しく感じられて。そんな部分もおもしろかったですね。


6人の歌姫、そのハーモニーに酔える曲も収録


――梶浦さんが提供した楽曲を今回、梶浦さんが選んだ6人のボーカリストの方が歌われています

梶浦さん:考えてみたらすごいですよね。みんな、本当にいい歌い手さんで。それぞれの味を出してくれていて、うれしいです。選曲を決定する前にみんなに歌ってもらった時、カッコイイと思えることが曲の選択において大きなポイントの一つでした。


――ソロ曲が多いですが、コーラスワークは相変わらず美しくて。また「星屑」のKEIKOさんとKAORIさんのデュオ、「銀の橋」のWAKANAさん、KEIKOさん、KAORIさんのトリプルボーカルなどの複数ボーカルの曲も際立っています

梶浦さん:ひとりでも歌い切れる歌い手さんばかりだけど、2人、3人で歌うことで苦手な部分をカバーしたり、良い部分も出しやすくなることもあって。それにソロ曲をパートで分けて歌ったらどうなるだろうというおもしろさもありますよね。そういう遊びができるのは歌姫がたくさんいるからです。


――カバーされている曲のオリジナルを聴いたことがあって、その時とは違った新鮮さやおもしろさを感じることができました

梶浦さん:アレンジも変えるものは変えましたが、変えられないものはまったく変えられない、変えたくないものもあって、あえてオリジナルのままのアレンジもあります。歌い直すこともあって、ボーカルが変わればイメージもだいぶ変わるだろうし、ミックスも変えていますからそれだけでも印象は違うだろうなって。歌い手さんが変わると同じ曲でも伝わり方や感じ方も変わってくるんですよね。ですからこのアルバムを聴いて、オリジナルのバージョンと合わせて聴き比べるのもいいと思います。


――あと今回のために詞を書き直した曲もあるとおっしゃっていましたが……

梶浦さん:1曲目に収録されている「星屑」は、オリジナルは小川範子さんが歌ってくれた「ベルベットの祈り」という曲なのですが、その曲も好きだったんですけど、歌姫達が歌うということで私の歌詞にさせていただこうと書き直しました。


『ツバサ・クロニクル春雷記』EDが新曲として収録!


――またこのアルバムでは1曲、新曲も収録されていますね

梶浦さん:OAD『ツバサ・クロニクル春雷記』のED曲の「記憶の森」です。『ツバサ・クロニクル』の楽曲ということで、FJYも縁が深い作品なので、この曲はYUUKAのボーカルにしようと彼女が歌うことを前提で作りました。だからこの曲は『ツバサ・クロニクル』の新作用の曲がたまたまアルバムに収録されたという感じかなという気がします。『ツバサ・クロニクル』を書かせていただいて楽しかったです。


――昨年末のライブでも早くもお披露目されて。梶浦さんはステージでいつも新曲を出し惜しみしないのでサービス精神旺盛な方だなと

梶浦さん:曲ができたら早く聴いていただきたいのが人情じゃないですか(笑)。作ってからだいたい4カ月くらい経たないと聴いていただけないのがいつも歯がゆくて。作品の兼ね合いでダメな場合もありますが、快く了承いただいたのでやらせてもらいました。


――実際にステージで演奏して、お客さんの反応を見た印象は?

梶浦さん:案外つかみどころがなく、お客さん達も「どんな曲なんだろう」と興味深く聴かれていたのかなと。でもあの時は完全にバンドアレンジっぽくやったので、今回収録した曲と印象は違ってくるかなと思うので、楽しみに待っていてほしいです。


――サビに向かっての高揚感と激しくもせつないサビなどはFJYらしいなと感じました

梶浦さん:今までのFJYにないタイプの曲ですが、雰囲気的には今までのFJYを踏襲してますね。YUUKAが歌うとFJYの世界になるというか。彼女は役者でもあるので歌で演技してくれたこともあると大きいと思います。


1曲ごとにストーリーがある15曲。特大ボリュームの超大作


――新録がほとんどで、しかもリアレンジやリミックスなどもされていて、かなり手がかかった1枚になっていますね

梶浦さん:思ったより時間をかけちゃいました。


――梶浦さんの作るサウンド自体が緻密で凝っていて、それが15曲。サウンド的にもボリューム感がありました

梶浦さん:ノイズ好きですね。空気感がある音が好きなので。どうしてもイントロや他の部分で、ノイズや弦、いろいろな楽器の使い方を含めて、絵が見える音がいいんですよね。昔から自分が弾く曲も絵が見える曲が好きで、曲を聴いてる時も自分の頭の中でPVを作って思い浮かべるのが楽しくて。自分の曲を聴いた途端に何かの絵が見えるようにしたいなといつも思っているんです。静かな曲でも複雑に絡み合った曲でも映像的なものが浮かんでくるものにしようと。


――1曲1曲にストーリーがあって、イメージが浮かび、絵本をめくるような楽しみもありました

梶浦さん:そう感じていただけたらうれしいですね。ブックレットも素敵に作っていただいたので、絵本を見るように歌詞も読みながら聴いていただけたらうれしいです。


――ダイナミックな音だけでなく、水の音だったり、繊細で、本当にじっくり聴かないと聴き漏らしそうな音もあるのでヘッドフォンで聴いてほしいですね

梶浦さん:そうですね。細かい遊びは私が「ヒヒヒヒ」とほくそ笑みながらやっているので(笑)、気付いていただけなくてもいいんです。でも曲を構成する要素になっているので、気付いてもらえればうれしいし、近くにこのアルバムを聴いた人がいたら、「あの音おもしろかったよね」と語り合うのもいいかも。聴き方や楽しみ方はお任せしますが、どのようにも楽しめる1枚ですのでぜひ聴いてください。


ファンクラブ、そして4月スタート新番組のOPも!09年にも期待してください


――2009年の活動はアルバムのリリースから始まりましたが、今後もいろいろ予定がありますね。まず3月1日からファンクラブも結成されます

梶浦さん:このアルバムを出すのもライブ活動を始めたことがすごく大きかったと思っていて。ライブを契機にいろいろな活動の幅が広がってきたかなと。やっぱりあの4人の歌姫を中心としたライブ活動をこれからもどんどんやっていきたいし、FictionJunctionの活動も続けていきたいんです。そのためにも、今までは情報を発信できる場所もなかったのでそういう場を作ることにしました。私だけではなく、私の音楽活動に関わってくれる様々なシンガーやアーティスト、ユニットなど、みんなを含めたファミリーという形のファンクラブです。もちろん応援してくださる方もファミリーで、一緒に楽しい場所を作りたいです。FictionJunctionの活動については部活的な感じがしていて、アーティストイメージがどうこうというより、「楽しい音楽をみんなでやろうよ」という気持ちなんです。ジャンルとはどうでもいいし、あんまり細かいことにとらわれないで、音楽楽しみたい倶楽部みたいな。そう意味でもFictionJunctionクラブは私がこれからやっていきたい活動に皆さんに加わっていただいて、みんなと楽しめるよう、何らかの形で実現できるように頑張ります!


――そしてアニメ化が決定し、4月から放送が始まる『PandoraHearts』のOP曲を、FictionJunctionが担当するそうですね

梶浦さん:今、鋭意制作中ですが、春になれば皆さんのお耳に届くと思いますのでもう少し待っていてください。


――今後の予定や展望などありましたら教えてください

梶浦さん:まず去年始めたライブ活動を、どうやって定期的に続けていくのか、ですね。あとライブの内容もFictionJunctionと一緒に進化させていきたいです。その一つの原動力になるのがこのアルバムだなと思っています。歌姫達の歌声の素晴らしさを味わってもらって、興味を持っていただければライブにも足を運んでいただきたいです。やはり去年、ライブをやったことでいろいろ広がってきたことを、どう進化させていくかが大切で、そのためにも今後も試行錯誤をしていくつもりです。


――最後に皆さんへメッセージをお願いします

梶浦さん:FictionJunctionとしてファーストアルバムになる『Everlasting Songs』が完成しました。昔の曲のセルフカバーではありますが、今のFictionJunction、今後の方向性などを自己紹介した1枚になりました。聴いていただけたらうれしいです。そしてFictionJunctionに興味を持ってくださった方、私達の音楽を好きになってくださった方は、ファンクラブやライブなどでお近づきになれたらいいなと思います。FictionJunctionはこれからも進化していきますので、これからもよろしくお願いします。


『Everlasting Songs』/FictionJunction 商品情報




2009年2月25日発売
3,045円(税込)
発売:フライングドッグ

DVD『Yuki Kajiura LIVE 2008.07.31』商品情報




2008年12月24日発売
6,090円(税込)
発売:フライングドッグ


梶浦由記ファミリー公式ファンクラブ「FictionJunction CLUB」概要


3月1日より活動スタート。入会方法など詳細は下記URLへ。
http://www.spacecraft.co.jp/fjc/
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