2008-10-08 00:00

気鋭のクリエイター・山本寛監督が豪華スタッフとともに挑む『かんなぎ』！山本監督＆戸松遥さん、花澤香菜さん、下野紘さん、沢城みゆきさんからコメントを頂いてきました！

　武梨えり氏原作のコミック『かんなぎ』（一迅社「月刊ComicREX」連載）が10月よりTOKYO MX他にて放送を開始する。アニメ化に際し監督を『涼宮ハルヒの憂鬱』のシリーズ演出などを手がけた山本寛氏が務め、シリーズ構成に『BAMBOO BLADE』『かみちゅ！』などを手がけた倉田英之氏、音楽担当として大ヒットシングル「もってけ！セーラーふく」の作・編曲を担当した神前暁氏といった豪華スタッフが参加。アニメーション制作は『おおきく振りかぶって』や『PERSONA-trinity soul-』を手がけたA-1 Picturesが担当するということで、期待が膨らむ新番組『かんなぎ』。その放送に先駆けてアフレコ取材が行われ、ナギ役の戸松遥さん、御厨仁（みくりやじん）役の下野紘さん、青葉つぐみ役の沢城みゆきさん、ざんげちゃん役の花澤香菜さんから、作品やキャラクターの印象についてコメントを頂いた。そして山本監督からも作品の魅力や目指すものなどについて話を伺うことができたので、ここにご紹介しよう！

――キャラクターのご紹介と作品に参加する感想をお聞かせください

戸松遥さん（ナギ役）：原作を読ませていただいたときから面白い作品だなと思っていて、これがアニメーションとして動くと、きっとさらに面白い作品になるんだろうなと思いながら、アフレコに参加させていただきました。案の定これまで収録してオンエアが楽しみでしょうがないです。
　仁はナギのことを“自称神様”（程度の存在）と思っているんですが、ナギ自身は「どっから出て来るんだその自信は」というぐらい自分は神様だという自信を持っています。ナギには表と裏の顔があって、表の顔は活発で、仁に跳び蹴りをしたり、周りはドン引きなのに、真面目におもちゃのステッキを一生懸命振り回しちゃうという空気が読めないところが面白いと思うので、そこは引いていたり冷めていたりする他のキャラクターとの差をつけられるように、ナギを熱く演じていこうと思っています。裏の顔は「長く生き抜いてきた神としてのオーラを纏っているお芝居を」と言われたのですが、そういった部分を表現する演技というのはこれまでやったことが無く、ある意味挑戦でもあるので普段の無邪気なナギとの差が出せるように、原作を読みつつ色々考えて出来る限りの力を出していこうと思います。

下野紘さん（御厨仁役）：仁は純粋で素直、何に対しても真っ直ぐな少年です。自称神様というナギが現れてから、周りのおかしなキャラクター達に色々といじられてめちゃくちゃになっていくんじゃないかなと思っています。仁君の魅力を引き出しつつ面白い作品にしていくのが、この『かんなぎ』をやっていく上での僕自身の目標だと思っていて、作品を作っていくのもそうなんですが、現場作りをしていくのも、僕がやっていかなければいけないことだなと思っています。偉そうに言っておりますが、監督がざっくばらんで色々なものを受け入れてくれそうな方なので、面白い作品を楽しく作っていく上で、キャストとスタッフの関係をより密接にしていく役目を果たせたらと思っています。
　監督から、アドリブをたくさん入れて面白い作品を作っていきたいので、アドリブを頑張ってくれと言われ、「面白くする方向に頑張らないといけないんだ」と思いましたが（笑）、実際4話まで録り終えましたがアドリブを入れる隙間がないですね。とにかく面白い作品を皆で楽しく作っていこうという思いがあって、その中で楽しくやらせていただいていますので、これから先、もっともっと面白いものにしていきたいなと思います。久しぶりの主人公役だったので個人的にも気合いを入れて頑張ろうと思いました。

沢城みゆきさん（青葉つぐみ役）：つぐみは仁の幼馴染で、いいお母さんになるだろうなという感じの女の子です。オーディションの時から「普通が彼女の一番の魅力です」ということで、普通に演じることを意識しています。普通な女の子であるつぐみですが、あの年になって幼馴染のことを好きでいられたり、あの距離で幼馴染の男の子といられたりというのは憧れます。そういうシチュエーションは、私の中で都市伝説に近いぐらい無いことだろうと思っていて、人型に“権現”している神様のナギや、生身の人間にとりついているざんげちゃんよりも、実はドラマチックなキャラクターかなと思っています。原作で女性の共感表が多い子だと聞いていますので、喋っても素敵なつぐみになるよう頑張らねばと思っています。
　収録に来るたびに、現場に置いてある原作を読みながらアフレコを進めているんですが、今日は5巻まで読ませていただいて、前回のアフレコでは仁のことが好きになり、今日のアフレコではではざんげちゃんのことがすごく好きになりました。見ていて楽しいし、好きな作品に関われているというのはとても嬉しいことで、“普通に演技することを極めるぞ”と意気込みは増すばかりです。

花澤香菜さん（ざんげちゃん役）：ざんげちゃんは“ドS”です（笑）。ここまでドSな役は初めてです。“ドSさ”をいっぱい引き出させたらいいなと思います。ざんげちゃんは計算したことが上手くいかないことが多くて、それで困ったことになっている様子がすごく可愛らしいと思いますので、そこをチェックしていただけたらと思います。作品については掛け合いがすごく多くて、テンポが良い作品だと思いました。

山本寛監督：キャスティングについて、学園モノなので、学園生活の記憶が新しい、最近まで学生だった方に演じていただいたほうが、よりリアリティが出るだろうということと、そうすることで和気あいあいとした若々しい雰囲気がかもし出されると思い、それが作品にプラスになると考え、今回は若い役者の方を中心にキャスティングしました。
　若い方のエネルギーそのものがフィルムに注入されていく様は、収録を見ていても、すごくダイナミズムを感じて良いなといつも思っていますし、ほとばしるエネルギー・エナジーみたいな物を作品から感じ取っていただければいいなと思っています。それと同時に、作品の中にいるキャラクターも、ドラマを経て成長していくというのは作品の常でありまして、それと共に若いキャストたちが成長していく様を見るのも非常に楽しみなところです。4話まで収録してそういう兆しが見え始めているので、その辺もまた面白いところだと思います。1話から最終話までのキャストの成長、作品と共に充実していく感じも、この『かんなぎ』の中で見えるんじゃないかなと思っていて、今後が楽しみです。

――キャラクターを描いていく上で気をつけていることは？

山本監督：つぐみについて“徹底して普通”だという話しがありましたが、つぐみだけでなく皆、普通の人間として描きたいなと思っています。キャラクターを差別化するために、アブノーマルな部分を強調してキャラクター性を引き出すというのは往々にしてあるんですが、今回に関してはそういうことよりも、むしろ各キャラクターを等身大の人間として描いていて、当たり前の話ですが“心理描写を丁寧に”とか“言動に矛盾の無いように”とか、ひとつひとつのアクションに対して、ちゃんと解釈してキャラクター性に合っているかどうかを逐一確認しながら作業を進めています。当たり前のことを改めて丁寧にやっているのは、基本に立ち返って物を作っていこうという姿勢からのことでもあり、多くの人に共感してもらえるキャラクターを描きたいからです。それはこの4人のキャラクターに限らず徹底しやっていこうと思っています。

――作品の魅力とファンの皆様へ一言お願いします

戸松さん：他のコミックでは見たことが無いような会話のテンポや、電車の中で読んでいてもつい笑ってしまいそうなギャグが盛りだくさんな、原作の素晴らしい部分をそのままアニメに活かしているので、原作が好きな方は、原作のテイストがそっくりそのまま再現されていることに感動されると思いますし、原作をしらない方も「なんだこの面白いギャグは？」と思ってもらえると思います。貴子や紫乃といった他のキャラクターもすごく面白く、秋葉の早口もすごくて、アフレコは大変なんですが見たら「おおー」ってなるんじゃないかなと思います。楽しみにしていてください。

下野さん：この作品は僕の中でものすごくツボな作品で、仁をやる上で、どのようなキャラクターか知りたくて資料程度にコミックを数冊読んだのですが、普通に面白くなってきてとりあえず5巻まで揃えちゃいました。全てのキャラクターが魅力的で、ちょっと変わっているところもあるんですが、たくさんの人に共感を持って見てもらえる作品だと思いました。アニメならではの違った面白さをコミックと見比べて、両方楽しんでいただければと思います。

沢城さん：どのキャラクターにも共感できるところが魅力だと思っていて、仁は異性だしナギは神様なのに「共感できるな、その気持ち」というような素敵な台詞がたくさんあります。その中でも5巻で、ナギが自分の正体が分からずに悩んで家で寝転んでいるときにTVで流れた、「本当のキミを見つけよう」という専門学校のCMのコピーを見て「じゃあ、わらわは専門学校に行けばいいのか？」というのがすごく素敵だなと思いました。多分学生を卒業して社会に出たばかりの私みたいな世代や、今まさに渦中にいる学生の人たちにとっては、ちょっとずつ勇気を貰いながら楽しんでもらえる気がしていて、それが伝わるといいなと思います。

花澤さん：原作を読んでいて好きな方は、物語が原作通りに進んでいるので楽しめると思いますし、劇中のテレビレポーターやキャラクターが面白いことを言っているので、そこもチェックしていただけたら面白いと思います。ざんげちゃん的にはナギと対立していて、ぞんざいな態度でいるのですが本当は勝ちたいと思っているので、その辺のバトルも見ていただきたいなと思います。

山本監督：子供の頃の記憶をたどると、多少エッチなところがあって、その瞬間は気まずい空気になりつつも、トータルとしてはすごく面白いため、家族そろってお茶の間で見ることがきたアニメやドラマがあって、そんな番組のように広く老若男女に見てもらえる作品になって欲しいし、なるべき作品だと思っています。そういう意味で徹底して、“普通の作り”を心がけようと思っています。普通に作るのが一番難しいと言われたんですが、僕個人としてもアニメーション業界全体にしても、一番難しいことでありながらも、物作りやドラマ作りの基礎に立ち返る時期に来ているんじゃないかなという問題意識を持っていて、（『かんなぎ』を作ることが）その一助になれるはずだと思っていますので、期待してご覧いただければと思います。