飯塚雅弓さんがライブツアー『Strawberry Summer Stories 2008』を開催!ニューアルバム『Stories』を軸に初となるストーリー仕立ての2部構成のステージを展開!!
7月23日にニューアルバム『Stories』をリリースした飯塚雅弓さんがライブツアー『Strawberry Summer Stories 2008』を開催した。ツアー初日の8月3日は飯塚さんの地元・横浜ランドマークから始まった。
夏にアルバムをリリースすることもライブツアーを行うことも久しぶりの飯塚さんだが「夏が大好き」と公言する夏女だけにツアーに駆ける意気込みは大きい。『Stories』が物語をテーマにしたアルバムで収録曲の10曲それぞれが一つのストーリーを紡ぎ、更に全体で通して聴いてもつながるような流れになっている。「ライブでも会場のみんなとひと夏のストーリーを奏でていきたい」と語っていた飯塚さん。さてどんな夏のストーリーを聴かせてくれるのだろう……。
●『Stories』の曲順をなぞった構成となった前半
会場が暗転すると飯塚さんの「すべての人の数だけ物語があり、大切な物語の最初の1ページには出逢いについて書かれていた。まるで季節の公転する二つの星のように私達は出逢った」というナレーションからストリングスのイントロが流れ、「この夏のストーリーを君と共に」と言うと、『Stories』の1曲目となる「Sincerely」でステージの幕が開いた。飯塚さんのさわやかな歌声とスカイブルーのドレスの衣装が会場に清涼感と夏らしさを運んできたよう。七夕の夜に好きな人への想いを託す「明日晴れなら」の後は、二人の出逢いを語るナレーションに花火の効果音。そして祭りばやしに続いての「初めての1ページ」では浴衣姿で登場。恋が成就した喜びを表した曲らしく、「明るくキラキラした雰囲気になり、会場もクラップで盛り上がった。
浴衣姿でステージ袖へ消えると、今度はステージ上にソファーとテーブルが用意され、飯塚さんのお部屋を再現したようなセットに。パジャマ姿の飯塚さんが携帯電話をかける。デートのお礼から他愛もない会話をする……そんな幸せを綴った「Always...Forever...」へ。しかし二人に訪れる突然の別れを告げる語りと暗く落ちる照明に会場は緊張したムードになる。別れの物語「忘れない。」では恋破れた少女の心情を表すような黒いドレス姿に着替えた飯塚さん。大きな赤い花を模した髪飾りはいまだ消えない残り火なのだろうか……。星を眺めながら別れた恋人を想う「Starry Night」はせつない。星降る夜を意味するタイトル、想いがとめどなく降り注ぐ。
想いのままに二人にとって想い出の場所を訪れる。雨の中、光注ぐ方向に向かって歩くとそこには好きだった人の姿。素直な気持ちから言葉が一言。「ただいま」。そんなストーリーを語った後、今度は白いドレス姿で明るい表情で登場し、アップテンポのナンバー「きっとずっと」を歌った。二人の恋模様を見守ってきたお客さんもここでやっとホッとした表情になっていた。
●ストーリー性を重視した構成に見た“役者魂”
いきなり雰囲気が変わり、「L・O・V・E! LOVE KNOT! YEAH!」というコールを会場にも促した「Love Knot」へ。ノリノリのナンバーで笑顔いっぱいの飯塚さん。お客さんも大きな拍手とジャンプを繰り返した。「これからもずっと一緒にいようね。つないだ絆を握り締めて。君という星に向かって」という語りからハッピーエンドを締めくくるバラードナンバー「Polaris」。そしてライブ冒頭のナレーションにつながり、アルバムのタイトルチューンの「君へ続くストーリー」に。まるでミュージカルのような音楽劇と朗読劇をミックスしたステージに最後は大きな拍手が起こった。その時、ライブ会場はオペラハウスのように、自然とスタンディングオベーションが続いた。気が付くと1曲目から10曲目まで『Stories』の曲であり、しかも収録曲順通りになっていたことにも驚いた。「悩んだけど、流れ通りに聴いていただきたいなと思ってこの流れになりました。それぞれの曲の物語に皆さんの想いを投影して聴いてもらえたり、一人の物語の主人公の物語を追って聴いていただくなどいろいろな聴き方ができたと思います」。アルバムで作り上げた物語をライブのステージ上でも再現させてみせた。アルバムに付いたDVDのPV集も物語の流れを大切にした飯塚さんらしいこだわりに感心した。
飯塚さんとバンドメンバーが一旦ステージを去ると再登場を求める拍手の嵐が起こる。すると黄色のまぶしい衣装を着た飯塚さんが元気に走ってきた。「ひまわりをイメージした衣装だけど、たくわんっぽくなっちゃった」と笑いながら話すかわいい衣装で、大きなまーちゃんコールに「もっと呼んで!」と応える。ここまで約1時間あまり経つが1回目のMCになる。これもたぶん初めてだろう。おしゃべり好きの飯塚さんもここで想いのたけをぶつけた。ただバンドマスターの長谷川智樹さんからは「いつもの長いMCがなくてよかった(笑)」と言われていたが……。また初めての2部構成で今までのライブでも長時間のほうに入るが、「やっている間はすごくあっという間だったねとメンバーと話していました」と語っていた。
●第2部は「ひまわり」から、ラストは定番の「君といたmemory」で
そのメンバー紹介で楽しいかけ合いを見せた後、「2部も物語を軸に、今まで皆さんと重ねてきた絆の物語を歌っていきたいと思います。この曲も大切な出逢いの曲です」と紹介した「ひまわり」から2部が始まった。続く「remember」も出逢いと絆を綴ったミディアムナンバー。「あの時、数年後を見ていた歌をこうやって今、歌えていることにありがとうという想いと、こんな未来に行けたらいいなという場所はあったけど、自信とかはなくて、行くんだという強い想いだけで今がある気がします。皆さんにも一緒に歩いてきてくれてありがとうという想いが強いし、歌を歌えているのはみんなのおかげですと想いながら歌いました。他の曲も数年後、こんな想いで歌えていればいいなと心から想います」と歌える喜びをせつせつと語った。
そんな想いを込めるように「次の曲は7~8年前の曲ですが、みんなの前で歌えてうれしく思います。大切なあなたに送ります」と紹介したのは初期からの人気曲「Eternity~ひとひらのlove song~」。飯塚さんに合わせるように、お客さんの手が左右にきれいに揺れた。次の「ロマンチックだね」もお客さんと一緒に振り付けをする参加型の歌。今度はサビで左右の手が前後に大きくスキップするように動き、決めの振りももちろんみんなバッチリ。次は飯塚さんのかわいいラップが印象的な「Baby,dance with me♪」。クラップに気を良くした飯塚さんはステージ狭しと左右に走り回る。
「みんなの汗がキラキラ輝いていてとっても素敵です。今回のステージは第1部で熱い想いを感じてもらって、第2部ではみんなと熱い絆をかわしました。最後はライブで皆さんといろんな想いを重ねた曲で欠かせないかなと」と本編ラストは定番となった「君といたmemory」。このライブを表すような1曲で、バンドメンバーもドラム以外は全員ステージフロントに出て、飯塚さんと笑顔をかわしながら演奏。会場も虹を描くように両手を何度も左右に振った。最後は「君と」と言いながら、いろいろな人を指差し、「君といたmemory」のフレーズで締めた。
●久々の夏ライブにこめた想いは次回のライブへとつながる
アンコールの声に呼び寄せられた飯塚さん。この日、7度目となる衣装替えはツアーTシャツで、バンドメンバーが「L」、「O」、「V」、「E」の文字が描かれた背中を見せてニッコリ。「今回は7回衣装替えがありますが、もう50秒くらいで着替えられるようになりました。でも4人の方に手伝ってもらってますけど」と笑った。ステージ衣装にもこだわりがある飯塚さんらしく、その七変化も見ていて楽しかった。
勢いのまま「Destiny」へなだれ込む。コール&レスポンスや、まーちゃんコールがあり、ファンとの絆を表わした曲で、ライブでも人気のある曲だ。ラスト2曲の「とびたつ季節」、「恋の色」はとにかく明るくアッパーなナンバー。2部は開放的な夏のイメージの元気でキラキラまぶしい曲で構成されていた。8月に入り、これから迎える大好きな夏の扉を蹴破るくらいパワフルなナンバーでライブが終わった。「最高の夜をありがとう!これから私達の素敵な夏に向かってとびたっていきましょう!」と結んだ。
ここ最近、秋、冬のCDリリースに合わせ、夏のライブもなく、残念そうだったが、その想いを全開でぶつけたステージだった。初めての2部構成のステージ、特に1部の音楽劇風の内容は斬新でアーティストだけでなく役者・飯塚雅弓の表現力も見せてくれた。8月23日の東京・SHIBUYA-O Eastでツアーは終了したが、今回大きなチャレンジを成功させた飯塚さん。このライブツアーまですべてが『Stories』だったのだと終わった今、気付いた。次はどんな物語を奏でてくれるのかは来年1月に行われる予定の恒例のバースデーライブで明らかになるだろう。
Live■08.7.23『Strawberry Summer Stories 2008』SET LIST
1.Sincerely 2.明日晴れたなら 3.初めての1ページ 4.Always...Forever... 5.忘れない。 6.Starry Night 7.きっと ずっと 8.Love Knot 9.Polaris 10.君へ続くストーリー 11.ひまわり 12.remember 13.Eternity~ひとひらのlove song~ 14.ロマンチックだね 15.Baby,dance with me♪ 16.君といたmemory ENCORE 17.Destiny 18.とびたつ季節 19.恋の色 |