『侍戦隊シンケンジャー』主題歌ヒット＆劇場版公開記念企画！サイキックラバー＆高取ヒデアキさん座談会（前編）

　2月からスタートしたスーパー戦隊シリーズ最新作『侍戦隊シンケンジャー』。侍や武士道などのシリーズには珍しい和風テイストを盛り込みつつ、新機軸となる趣向が随所に見られ、戦隊ファン、特撮ファン以外にも多くの視聴者を獲得している人気作品となった。

　また3月18日にリリースされたOP曲「侍戦隊シンケンジャー」、ED曲「四六時夢中 シンケンジャー」などを収録したCDは、一般チャート6位を記録する大ヒット。そんな話題の作品『シンケンジャー』のOP曲を担当する、YOFFYさんとJOEさんのユニット、サイキックラバーと、ED曲を担当する高取ヒデアキさんはスーパー戦隊シリーズなどの楽曲を担当するスペシャル音楽集団、Project.Rのメンバーで、長年、戦隊シリーズの楽曲に関わってきた。

　今回は『侍戦隊シンケンジャー』のCDヒットと劇場版が8月8日より公開されるのを記念して、スペシャル座談会を敢行！3回に渡って、作品の魅力や楽曲の聴きどころなどについて語っていただいた。

　前編となる今回はCDヒットの感想、『シンケンジャー』の魅力や主題歌決定の過程などについてお話ししていただいた。

●チャート初登場6位にアーティストもビックリ！

――先日、リリースされた『侍戦隊シンケンジャー』の主題歌CDがシングルチャート初登場、第6位を記録しました。

高取さん：なんか自分のことじゃないような感じで。めちゃくちゃうれしかったですけど。今、『ザ・ベストテン』があったらよかったのにと。でも僕はエンディング担当だから結局、呼ばれない（笑）。

YOFFYさん：僕、『カウントダウンTV』も見逃しちゃって。

JOEさん：見たよ！　他のアーティストはPVが流れるのに、僕らの時だけ写真を下からなめる感じで（笑）。逆に目立ってよかったかなと。

YOFFYさん：発売してから毎日、デイリーチャートはチェックしてました。

高取さん：俺も（笑）。スーパー戦隊シリーズでは『忍風戦隊ハリケンジャー』からOP曲を歌わせていただいてますが、こんなことになるなんてビックリですよ！

YOFFYさん：僕らも『特捜戦隊デカレンジャー』でOP曲を歌わせてもらって、その時、17位でも「すげー！」って大騒ぎだったのに。


――高取さんやサイキックラバーも参加しているProject.Rによる前作の『炎神戦隊ゴーオンジャー』の主題歌CDが4位を記録していたので、今回の成績もすごいと思いつつも実は自然に受け入れられました。もうスーパー戦隊シリーズは作品も主題歌も既に認知度もクォリティに対する信頼感も確立していますし。

JOEさん：僕らが流れを断ち切らないでよかった（笑）。

高取さん：うれしかったけど、もう一人、冷静な自分もいて、「トップ3に入りたかった」。人間というのはなんて欲深いんでしょう。

YOFFYさん：たくさんの方に買って聴いていただけたことは本当にうれしいですし、感謝しています。


●侍をコンセプトに和風テイストで時代に流れにのった作品

――2月からスタートした『シンケンジャー』はCDの売り上げが好調なことからもわかるように、視聴率的にも素晴らしいと聞きました。『シンケンジャー』の人気の秘訣と魅力はどこにあると思いますか？

YOFFYさん：戦隊シリーズは勧善懲悪で正義と悪という関係性がわかりやすいんですが、今回は更に戦隊のメンバーのレッドが殿、他の4人は家臣という主従関係も確立されていて。まさに時代劇のようなシンプルな人間関係であり、またメンバーそれぞれも心の中に葛藤を抱えている人間臭さもあるのがドラマとしてもおもしろいのかなと。昔の正義である武士道に通じているところもうまくハマってますね。

高取さん：今回は侍をコンセプトに和風テイストの戦隊になっていますが毎年、戦隊シリーズは時代の空気を読んできて、例えば王者だったり、エコだったりして、今年はまさにWBCの侍ジャパンがあって。

YOFFYさん：WBCの応援に『シンケンジャー』の曲を使ってほしかった。総集編でもいいから（笑）。


●斬新で魅力的な趣向がいっぱい！

高取さん：今までの戦隊は全員が一緒に強くなって、成長していく姿が描かれてきましたが、今回のレッドは圧倒的なリーダーシップと強さを持って戦っていて、そのクールな姿は僕が子供の頃に見ていたライダーシリーズに通じるところがあるかなと。


――戦隊もののレッドというと熱血漢が多いですからね。

高取さん：悲しい過去や秘密を背負って戦っているのが昭和の時代のヒーロー像と重なって僕的にはど真ん中のストライクでした。


――出てくる武器が刀というのも侍っぽいですが、筆上のツールで文字を書く攻撃というのも斬新です。

JOEさん：そうですね。仮面のデザインも「火」、「水」、「木」、「土」、「天」という漢字というのもすごい！　最初は「えっ？」って思ったけど見慣れるものですね。

YOFFYさん：初めて見た時はしょこたん（中川翔子さん）デザインのスカシカシパンマンかなと思ったけど……でも動き出したり、戦う姿を見たらカッコイイですよね。

JOEさん：紋付をイメージしたようなスーツもいいです。


●JOEさんはお気に入りのシンケンジャーは？

――それと戦隊ものといえば合体してロボットになり、巨大な敵と戦うシーンですが、今回はボスだけでなく、手下まで大きくなるんですね。

YOFFYさん：そこもおもしろいですね。

JOEさん：あと注目してほしいのは出演する役者さん。この作品でデビューみたいなフレッシュな人達で、作品のキャラクター達同様にまだ見えないゴールを目指して一生懸命なところも重なるし、視聴者の皆さんも新鮮さを感じたり、共感しやすいんじゃないでしょうか。個人的には女の子がかわいいかなと。

YOFFYさん：お気に入りはシンケンピンク？

JOEさん：ピンク。「今日は耳を出してる！」だけで大騒ぎ（笑）。


●タメが効いた演出にアーティストもジリジリ

――今回の制作チームは新機軸を狙った演出や試みが見られて意欲的だなと思いました。

YOFFYさん：僕ら的に意外だったのは、前半はなかなか劇中に主題歌がかからなくて、「今週もかからないんだ！」とジリジリしました。メロディはインスト的に流れることはあったけど……。

高取さん：いいじゃん！

YOFFYさん：でも戦闘シーンで主題歌がかかる流れがこれまでの戦隊シリーズではあったから。

JOEさん：このまま、かからないのかなと思った。串田（アキラ）さんのソロ曲「侍合体！シンケンオー」も最初はインストだったし。

YOFFYさん：今年はタメが効いてますね（笑）。あとEDがズルいなと思ったのがこの間、急に2番が流れて、そうしたら翌週は1番に戻ってた。

高取さん：前触れもなかったから驚いたけど、うれしかった。

YOFFYさん：字幕も全部ひらがなで流れるし、更に予告編も盛り込まれてるから絶対EDを見ますよね。でもOPも最初は戦闘シーンでBGMからというのもカッコイイと思った。

高取さん：武士は余計なことを語らないということなんじゃないの？（笑）


――OPとEDはだいたい決まったフォーマットなのに、そこさえも毎回何が起きるか、わからないスリル感があると子供だけでなく、目が肥えた特撮ファンも気が抜けないですね。

高取さん：ED映像も絵が使われて、丈瑠の家臣、彦馬役の伊吹（吾郎）さんがギターを持って入ってきて、踊り出すのかと思ったら、みんなスローになって、「え～！」って（笑）。

JOEさん：大人の期待を裏切りますね（笑）。

高取さん：子供達は普通に見てると思うけど、僕ら大人達は……。実は台本を事前にいただいていましたが、もう見ないことにしました（笑）。自分が関わった作品はネットなどで情報収集してましたが、それもやめました（笑）。


●5行の短文から全員で競い合う楽曲コンペで決定

――では主題歌の話題に入りますが、担当されるまでの過程やどのように決まったのか、教えていただけますか？

高取さん：スーパー戦隊シリーズの主題歌は完全コンペなので、曲とある程度の歌詞を入れたデモテープを最初に作るんです。

YOFFYさん：僕も高取さんも監督から5行くらいの文字と設定資料が送られて、あれこれ考えながら曲を作るんです。だから素材は僕らも高取さんも一緒なんです。みんなが言葉のヒントをもらって、アレンジしていくんです。“レッツ武士道！”のところはデモテープでは“天下御免 何かゴメン 侍戦隊シンケンジャー見参！”でしたから。でも言葉が足りなくて設定資料から三途の川とか膨らませたり。作詞家の方が入ってから変わってくるんですけど……。ただ「一筆奏上」とか「天下御免」という言葉は最初から入れてました。アレンジも三味線の音とかデモの段階から大方入れてあって。その時点で考えられることすべてを詞と曲に注ぎ込んでデモを作るんです。

高取さん：コンペに関しては、僕らはライバルですから。みんな、しのぎを削って。

YOFFYさん：「今年も岩崎か！」みたいな（笑）。


――Project.Rのメンバー同士であっても？

YOFFYさん：そうです。『ハリケンジャー』だってコンペに出したんですから（笑）。

高取さん：仲間でもあるけど、ライバルでもあって。それにProject.R以外からもたくさん応募がありますから。その中で自分の曲をどうやって選んでもらおうか、必死なわけです。だからこそ自分の曲が選ばれたことは自信になります。
（続く）


「侍戦隊シンケンジャー」
3月18日発売
限定盤　1,575円（税込）
通常盤　1,260円（税込）
発売：コロムビアミュージックエンタテインメント


『侍戦隊シンケンジャー オリジナルアルバム 秘伝音盤 第一幕』
6月3日発売
2,940円（税込）
発売：コロムビアミュージックエンタテインメント

「侍戦隊シンケンジャー」
3月18日発売
限定盤　1575円（税込）
通常盤　1260円（税込）
発売：コロムビアミュージックエンタテインメント

『侍戦隊シンケンジャー オリジナルアルバム 秘伝音盤 第一幕』
6月3日発売
2940円（税込）
発売：コロムビアミュージックエンタテインメント