名作文学(笑)シリーズ第2弾は、『ヤブノナカ』! 本作に出演の中村悠一さん、寺島拓篤さん、安元洋貴さんからコメント到着!!
芥川龍之介による名作『藪の中』を新解釈し、ドラマCD化した作品「名作文学(笑)ドラマCD『ヤブノナカ』」が、2009年8月26日に発売される。
「名作文学(笑)シリーズ第2弾」となる本作『ヤブノナカ』は、一つの殺人事件に対して、「殺したのは自分だ」と同じ証言をする関係者が3人いるというストーリー。
3人のうち、犯人は一体誰なのか?事件の裏にある彼らの想いとは?
名作文学の描く濃密な人間関係を、登場人物は全員「男」という妄想たっぷりに新解釈している作品なので、原作を知らない人も知っている人も充分に楽しめる内容だ。また、キャストトークとオリジナルエピソードも収録予定とのことなので、本編もオリジナルエピソードも楽しんでほしい。
今回、中村悠一さん(田丸城太郎 役)、寺島拓篤さん(金沢真砂 役)、安元洋貴さん(金沢武弘 役)に収録後に直撃インタビュー、作品についてお話を伺ったのでご紹介しよう!
<あらすじ>
「ああ、そうだ…。すべてはここから始まったんだ」
息絶える男、金沢武弘は思い出す。
親友・城太郎との確執、弟・真砂とのすれ違い。
なぜ、武弘は死ぬことになったのか?
城太郎、真砂、そして武弘自身の回想から見える真実とは…。
事件に対する三者三様の物語は矛盾を孕んだまま展開していく――。
――収録を終えての感想をお願いします。
中村悠一さん(田丸城太郎 役):基本、3人+1人という形で収録をしましたので、その分1人あたりのお芝居の密度が濃くて、今日は色々かけあったお芝居が出来たなと思いました。普段だと10人近くだったり10人以上の役者さんが出て、それぞれがそれぞれのキャラクターで喋るので1人あたりの台詞量がどうしても減ってしまうんですよね。今日はお芝居の量が多かったので、良かったなと思いました。
寺島拓篤さん(金沢真砂 役):中村さんもおっしゃっていましたけど、1人あたりの台詞量だったり仕事量が多いので、これはしっかり読み込んでいかないと現場でぶれるんじゃないかなと正直びくびくしながら(笑)、家でしっかり読んできました。
中身はオリジナル作品ですけど、根底に『藪の中』という名作があるので、その辺を意識しつつ別物に出来たらなと思い、やらせて頂きました。また、お芝居も3人なので、2人といっぱい絡むことが出来て「凄いなぁ」と思って、演じながら楽しませて頂きました。
安元洋貴さん(金沢武弘 役):今まで僕らがやってきたドラマCDというのは、さっき中村も言っていましたけど、役者の頭数がすごく多くて、会話劇として全体で見ると成立していても、自分がピンポイントでしか出番がないと、自分自身が乗り切れていなかったりする部分もたまにあったりするんです。でも、今日は全部が3部に分かれているんですけど1個1個が全部会話劇として成立していたので、充実感はとてもありましたね。やりきった感は凄くありますね。体力的な面ではなくて、精神力を凄く使ったなというのが感想ですね。
――今作は名作文学を新解釈、ということでしたが、聞き所や印象に残ったシーンはありますか?
中村さん:キャラクターがキャラクターなりの三者三様の言い分を言っているのかなと思うんですけど、3人それぞれ思う所があっての1つのドラマなんです。みんなが違う方向に向かっているお話になっているので、どれが共感出来るかというか、どれが自分の精神と合致しているかという所を考えて頂ければ、楽しんで頂けるかなと思っています。
「こいつが主役だ」と、明確に主役が誰という作りにはなっていないんですけど、安元さんが演じていた武弘が、僕の中では一番主になる人物になるんじゃないかなと思って聞いていたので、皆さん良ければ、彼視点で改めて作品を聞いて頂けると楽しみ方がまた違うんじゃないかなと思います。
寺島さん:作品全体の作りが、他のCDとは違うというのは何度も出てくる言葉だと思うんですけど、三者三様の見方で物語が全く変わってくるというのは面白いなというのはあります。
聞き手の皆さんに、想像力をかきたてさせる、余白を残してあると言うのでしょうか。結末は結末として全部用意してあるのですが、最終的な着地点をかっちりと決めていないような。聞いている皆さんが三者の物語を聞いて、この物語はどういうお話だったのかな?という答えを見つける楽しみがあると思うので、その辺を聞いてみて頂ければと思います。
安元さん:正解も結論も真実も何もないんですよ。いい意味でなんですけど、何がそれなのかというのが何もない。みなさんの中での各々のそれを見つけて頂くのが聞き所というか、楽しい所だと思いますし、たぶんそれを狙って作っている作品だと思うのでその部分が聞き所です。
――演じたキャラクターや役どころについて教えて下さい。
中村さん:う~ん…ちょっと難しいな…というのもですね。お話としては、3話分入っていて、3話というよりも1つの本線があって、それぞれの見方で3話のお話が描かれているという感じなんです。
他人をどう見るかというのは、人それぞれ違うじゃないですか。なので、武弘から見た城太郎はこういう人に見えたけど、真砂から見た城太郎はまた違う風に映って…ということになっているので、“キャラクター”というのが一貫して「こういう風に演じて下さい」という指示がなかったんですよね。本線は一緒なんですけど…僕の役は、人はいいんでしょうけどちょっと世間と一線引きたいのかなって勝手に思いました(笑)。よく分からない人なんですよね。
冒頭で「この海に来た1週間誰にも話しかけられないし、誰にも話しかけない」って、わざわざ言う意味が分からない。「僕は何でこんなことをいちいちモノローグで言うんだろう」って思ったくらい分からないんですけど、城太郎はロンリーウルフ気どりかな。
「1週間俺は一人だったぜ!」という話をしているキャラクターで、他人と距離を置きたいのかもしれませんけど、わりと真砂の所に絡んできたり「東京帰ったら来て下さいよ」って言われたらあっさり行っちゃう所からすると、やはり人と交流を持ちたいけど自分から寄っていけない人なのかなと。始まりの部分は、人当たりという点ではごまかしが見える、人と正面から向き合うことに対してごまかしが見える人なのかなと思って、やらせて頂きました。
寺島さん:大前提として中村さんがおっしゃったように、見え方が違うことでキャラクターに違いがあるというというのは勿論あります。でも、それをおいても主軸となる部分というのは、真砂はお兄ちゃんである武弘のことが大好きという所ですね。
それは物語の中で、微妙な変化に気づいていただけると思いますが、根本にあるのは兄貴のことが大好きで、少しそこに依存してしまう部分があるということです。心がそこまで自立できていないまだ幼い少年という感じですかね。
安元さん:キャラクターとしては、3つの話が入っている中で一番ブレたんじゃないかなと思います。1つ目の話で武弘が何故死んだのかというプロセスと、2番目のお話で何故死に至ったのかというプロセス、そして3つ目…と、それは彼の性格が違うからこそ死んでしまったんですけど、そのブレ幅が凄くあるのでキャラクターについて語るのは凄く難しいです。ですので聞いて下さったみなさんが感じるままに思って下されば幸せです。
――最後にドラマCDを楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします。
中村さん:“名作文学(笑)”ということでニヤニヤしながらやらせて頂きましたが、僕はこの『ヤブノナカ』の原作を知らなくて、ちょっと形の違うものではありますけど、この作品に関わって初めて知ることになりました。
“(笑)”って言っているので、ライトなものかなって思っちゃうんですけど聞いて頂くと、書かれているもののへの本質の部分は生きていると思います。ちょっとした色の付け方が現代風というか制作者さんのカラーでお送りしていますが、僕としては本質は外れていないと思うので、その辺から感じとって頂ける所があればいいんじゃないかなと思っています。
僕のシナリオ、真砂のシナリオ、最後は武弘のシナリオと、それぞれで人間が本質的に持つ所のメッセージがあるんじゃないかなと思っているので、先ほども言いましたが、僕は武弘の作品の所のメッセージが一番胸に刺さる思い出ですね。考えることもあったなと思っていますので、皆さんも是非深く聞いて頂けると嬉しいなと思っております。
寺島さん:“(笑)”とついている名作文学ですけど、笑える要素がこの作品にはなく、深刻な話になっています。なので、“(笑)”というのは、元にはしているけど元のものとは違うよって、「笑って許してね」みたいな所がきっとあると思うんです。このドラマCDを聞いて、こういう作りの作品が芥川龍之介先生の作品にあるんだなと思って、前作の『走れ☆メロス』も含め、昔からある名作文学に触れるきっかけになればいいなと思っております。これを機に、元になっている作品を読んでみようと思っていただけると幸いです。
そして元の話を読んだ後にまたこれを聞くと、違った見方が出来るかもしれないので是非何度も聞いて楽しんで下さい。
安元さん:“(笑)”をとっぱらってくれと言いたいですね。
おまけ的な要素はあるんですけど、ちっとも笑えるものではないので…ドギツイ感情がいっぱい入り乱れてますからね。劣情だったり非情だったり。愛情もあるし。でもそれが更に捻じ曲がっちゃっているので、聞いて皆さんが気持ちよくなれるかは正直分かりません。でも何かしらは残せると思うし、感じさせることは出来るのではないかなと思うので、1回、心をひっかきまわしたい人は是非聞いて下さい。
CD■名作文学(笑)ドラマCD「ヤブノナカ」
2009年8月26日発売予定 2,625円(税込)
発売・販売:フロンティアワークス
発売協力:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
<キャスト>
田丸城太郎:中村悠一
金沢真砂:寺島拓篤
金沢武弘:安元洋貴 他