『幻魔大戦』ブルーレイ試写会！スペシャルゲストにりんたろう監督が来場！

　10月17日から25日まで、東京・秋葉原で開催された「秋葉原エンタまつり2009」。10月25日には「秋葉原UDXシアター」にて、アニメーション映画『幻魔大戦』のブルーレイ試写会が行なわれ、スペシャルゲストとしてりんたろう監督が登壇した。

　『幻魔大戦』は、1967年に「少年マガジン」に連載された平井和正原案、石森（現・石ノ森）章太郎作画によるマンガが原作。世界中から集結した超能力戦士たちと、大宇宙の破壊者＜幻魔＞との壮絶な戦いを描いたSFアクション大作だ。『AKIRA』の大友克洋氏がキャラクターデザインを担当、劇場版角川アニメの第1作として1983年に公開されている。

●アニメーションの新しいスタイルを示した『幻魔大戦』

　上映前のステージに登壇したりんたろう監督は、角川書店代表取締役社長の井上伸一郎氏を司会にトークを展開。「角川春樹さんから『アニメをどうしても作りたい』と連絡を受けて、それなら全く新しいスタイルを考えようとして始めたのがこの作品だった」と『幻魔大戦』に参加した経緯を語り、「それまでは映画会社がアニメーションを作るもので、出版社が作るなんてありえなかった。角川書店がリスクを背負いながら映画に挑戦したのは重要なことだと思う」と続けたりん監督。『幻魔大戦』に続き、1984年には徳間書店が『風の谷のナウシカ』を公開、アニメーション製作の分野でも新しいスタイルが作られるきっかけとなった作品だと語る。

　また、当時は新進気鋭だった大友克洋氏をキャラクターデザインに起用したことについて、「都筑道夫さんの推理小説に大友くんが挿画を描いていて、そのなかの1枚に大蛇を首に巻いているすごい絵があった。それを見たときに『幻魔大戦』にぴったりだと思って」と話す。さらに「喫茶店で何時間もかけて口説きおとした」と裏話を披露したりん監督は、「キャラクターはどんな靴を履いているのかまで、全部大友くんと話し合ってリアリティを持たせていった。今では当たり前になっていますが、そういったスタイルのひとつの分岐点になった作品。僕にとっては非常に忘れがたい作品です」と語った。

●りん監督が豪華スタッフ陣との思い出を語る

　司会の井上氏から「『幻魔大戦』は背景の圧倒的な情報量で見せていくスタイル。後のアニメにも影響を与えている」と話すと、作品を象徴するカットとして“西新宿の高層ビルの夜景”を挙げる。りん監督は「僕と大友くんが住んでいる吉祥寺から新宿の当時の高層ビルまでロケハンをして、そういうところをきちんと見せることによってドラマのリアリティを出したかった。でもリアルに描きすぎても面白くない。西新宿の夜景は『高層ビルが墓標に見える』という僕のイメージから作っていった」とコメント。

　そして『幻魔大戦』の作画陣には、森本晃司氏や梅津泰臣氏をはじめ、今年7月に亡くなられた故・金田伊功氏など、当時の若手からベテランまで豪華なスタッフが集結していたことにも注目。クライマックスシーンを担当した金田氏について、りん監督は「最初に知り合ったのは『銀河鉄道999』かな。『幻魔大戦』に関してもアニメの真骨頂である1コマの表現をどうするかっていうのを、2人で延々と話しながら作っていた。彼のセンスの良さというのが充分に出ていると思います」と当時の思い出を振り返っていた。

　さらにトークショーでは12月23日公開予定の最新作『よなよなペンギン』の映像も紹介。この作品で3DCGに挑戦したりん監督は「ピクサーと同じものを作る気はない。今までにやってきた2Dのノウハウとテイストに引きずり込めば、日本独自のフルCGができるだろうと思った」と新たな表現への意欲を見せていた。

　なお『幻魔大戦』ブルーレイディスクは、2009年11月27日に発売される。


『幻魔大戦』Blu-ray
2009年11月27日発売
価格：5,460円（税込）
発売元：角川映画
販売元：角川エンタテインメント

＜映像特典＞
・特報
・予告編
・スタッフ＆キャストプロフィール

＜封入特典＞
・解説書
・《初回出荷分 封入特典》フィルムブックマーク

＜スタッフ＞
原作：平井和正・石森章太郎
監督：りんたろう
脚本：桂千穂、内藤誠、真崎守
音楽監督：キース・エマーソン
キャラクターデザイン：大友克洋

＜声の出演＞
古谷徹／小山茉美／池田昌子／
原田知世／美輪明宏／江守徹

>>「秋葉原エンタまつり 2009」公式サイト

(C)1983角川映画

『幻魔大戦』Blu-rayのジャケット