「角川映画祭」開催記念!りんたろう監督インタビュー|『幻魔大戦』制作時の思い出や、監督おすすめ映画を語る
11/19(金)から角川映画45年記念企画として、「角川映画祭」が開催決定! テアトル新宿、EJ アニメシアター新宿ほかにて全国順次実施となります。
同イベントでは、日本映画界に影響を与えた一流のクリエイター(監督)たちの作品31作品が一挙劇場公開!
それの中には、りんたろう監督が手掛けた『幻魔大戦』、『カムイの剣』、「ラビリンス・ラビリントス」(オムニバスアニメ『迷宮物語』内作品)も上映されます。
今回、角川映画初のアニメとなった『幻魔大戦』に着目し、アニメイトではりんたろう監督にインタビューを実施しました。
『幻魔大戦』制作当時の思い出
── 『幻魔大戦』を手かげることになったきっかけを教えてください
りんたろう監督(以下、りん):『銀河鉄道999』(79)の後だったと思うんですが、知り合いを通して角川春樹さんが会いたいっていう連絡が来たんですよ。で、その時「アニメ作りたいんだけど、どうか?<幻魔大戦>が企画として上がっている」って言われまして。
当時、出版社が自らお金を出して映画を作って配給するとかありえないんですよね。でも彼はアニメ界のトップに立ちたいと言ってきて、それが面白いなと。
だったら、僕も東映や松竹でも作らないようなこれまでなかったアニメを作ろうと思いました。だから「幻魔大戦」もすでに漫画として描かれていて、アニメ化もしやすい石ノ森章太郎さんのものではなくて、原作の平井和正さんのものでやるべきだなと、瞬間的に即決したんです。
──大友克洋さんにキャラクターデザインも印象的です。彼に頼んだのは何故でしょうか。
りん:『AKIRA』とか『童夢』とかが世に出る前だった頃の話ですが、僕が大好きだった大友君に頼みに行きました。これまでに無いアニメーションを作るには、彼のキャラクターが必要だと思いました。
でも、相談しに行った時最初「僕のキャラクター、アニメで動きます?」と本人から言われましたね。確かに彼の絵は、アニメーターが描きやすかったり、わかりやすくアニメ向きの絵だったりではない。でも、だからこそ“これまでに無い”アニメを作るためには彼が必要だった。だから「いや、動かします」と。その辺りを懇々と吉祥寺の喫茶店で説明した記憶があります。
──『銀河鉄道999』以後手がけられた『幻魔大戦』や『カムイの剣』など、大人をターゲットにした作品だと思います。「アニメは子供向け」と言うのが当たり前だった時代に、革新的だったのでは?
りん:そうですね。それまでアニメといえば、親子向け・子供向けだった。『銀河鉄道999』でさえ、「中高生向けのアニメーションを作りたいと言う東映の一大決心によって作られたんです。同じ時代で、あとは『宇宙戦艦ヤマト』ですよね。
これによって一気に中高生や大人に<アニメ>が広がったと思います。きっと春樹さんはそれを見ていて、より大人をターゲットに想定した『幻魔大戦』を作ろうと思ったんだと思います。
──新宿や富士山など、現実世界の風景が出てくるのも印象的でした。
りん:それまではどんなドラマであっても、アニメーションの舞台は架空のものというのが当たり前でした。だから、アニメーションに新宿や富士山など実際にある場所を登場させるというのもこの映画が初めてだったんじゃないかな?
大友君とも、キャラクターたちがそれぞれの性格によって、どんなタイプのファッションを好むのかなど、洋服や靴の種類まで徹底的にリアリティを追求して表現しましたね。
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